【単独親権者になりたい】別居しても良いの?子供は連れて行くべき?
離婚後、自分が子供と一緒に住んで育てていきたいのですが、別居しても良いのでしょうか。また、別居するときに子供は連れて行ってもよいのか教えて下さい。
弁護士からのアドバイス
1 親権者について
これまでの民法では、結婚中は「共同親権」といって夫婦で子供を育てる権利や義務がありますが、離婚をすると「単独親権」としていました。
2024年5月にこれを改正して、「親権は、父母が共同して行う」と定めました。
これまでは、共同親権は夫婦であることが前提でしたが、それを「父母」であれば離婚しても共同親権とすることができるようになったものです。
もっとも、離婚の時に共同親権、単独親権のどちらかが原則となるものではなく、まずは話し合い決めるべきとされています。
話し合いで合意できない場合には家庭裁判所が決めることとなりますが、先例がないため、共同親権、単独親権いずれが多くなるのかの運用はまだ分かりません。
もっとも、この改正は法律としては成立していますが、実際に適用される(施行される)のは、2026年5月24日までに決めることとなりますので、現時点(2024年9月)では調停や裁判で共同親権は認められませんので、ご注意ください。
2 別居と親権
夫婦の仲が悪くなり、離婚を真剣に考える段階になると、多くの方が一緒の家で生活することが苦痛になります。
そこで、離婚手続に時間がかかりそうな場合には「ひとまず別居しよう」と考える方が多いです。
そして、離婚後に子供の単独親権者となるためには、別居後に子供と一緒に住んでいることも重要な要素となると思われます。
この場合のセオリーとしては別居のために家を出て行く場合には子供を連れて出て行った方が良いということになります。
別居にあたっては、引っ越し先を考える必要があります。大きく分けると、①実家に帰る場合、②新たにアパートなどを借りる場合の二つがあります。
それぞれ、別居する方ごとにメリット、デメリットが異なるとは思うのですが、こと親権のことを考えると、実母や姉妹など親族のサポートを受けられる場所に引っ越すことが良いでしょう。
別居後の子供の養育環境がしっかりしている方が、後の調停や裁判手続で有利になるからです。
調停や裁判では、単独親権者を誰にするのか?を検討するにあたって、まず子供が心身共に健全に育つためにはどうすべきか?という子供中心の観点から見ていきます。
それにあたっては、別居後に子供の生活を片方の親だけで十分にできるのか?という疑問が生じてくるので、サポートができる親族がいる所が望ましいのです。
ただ、子供が自分で判断することが難しい小学生くらいまでは、単独親権者としては母親が圧倒的に有利であることは一般にも言われていることです。
そのため、母親であれば、必ずしも親族のサポートが得られなくても、それに代わる手段を用意しておけば大丈夫です。
例えば、自分の仕事の時間短縮をして保育園への送り迎えをしっかりできるようにするとか、小学校の児童クラブとの連絡をしっかりととって子供1人の時間をできるだけ作らないなどです。
これに対して、父親は幼い子供の単独親権者となるには基本的に不利ですから、改正法の施行後は共同親権の主張を検討することになるでしょう。
どうしても単独親権を主張したい場合には、やはり子供を連れて出て行くにあたって、実母や姉などの親族のサポートが得られるところに引っ越すことはより重要となります。
勤務時間についても余りに残業が多かったり、勤務時間が不定期だったりすると、子供と直接関われるのか?と疑問を持たれてしまうので調整が必要です。
そして、子供が中学生くらいの年齢になると子供の意思が最優先となります。
そのため、仮に父親と一緒に出て行く形で別居したとき、子供自身から「父親と一緒に暮らしたい」という意思が自然な形で裁判所に出せれば、父親が単独親権者となる可能性もあるとは思います。
もっとも、中学生くらいの年齢で親を選ばせること自体が精神的に大きな負担となることも多いですし、両親との関係が悪くなければ「選べない」という回答が出てくるかもしれません。
このような場合に、果たして裁判所が共同親権にするのか?が、施行後の運用の注目点でもあるでしょう。
いずれにせよ、離婚問題が起きていなかった過去の家庭生活の中で、どれだけ子供から信頼を得られていたのかは重要な判断要素となります。
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