【養育費No.2】 別れた相手が再婚しても養育費は支払うの?
離婚して養育費を支払っていましたが、妻が再婚しました。このような場合でも養育費を支払い続けなければならないのでしょうか?
弁護士からのアドバイス
1 再婚の相手と子供が養子縁組をした場合
養育費は、父親として子供を扶養する義務ですから、子供が成人するまではその義務が消えるということはありません。
ただ、妻が再婚して新しい夫が子どもを養子に迎えた場合には、新しい夫も法律上の父親となります。
つまり、父親が2人になるわけです。
この場合には、片方の父親だけが養育費を払うのは不均衡ですし、子どもの生活を考えても、法律上扶養する義務のある父親ができれば、減らしても不利益はありません。
そのため、養育費を決めたときには予測できなかった「養子縁組」を理由に、家庭裁判所に養育費の減額請求の調停を申し立てることができます。
この場合には、養育費の減額又は免除が認められています。
この調停を申したてて、裁判所が審判をすることになった場合には、「まずは養親が養育すべき」とする裁判例が多いです(一部、異なるものもあります)。
なぜなら、未成熟子(主に働いていない未成年)と養子縁組には、子供の養育を全面的に引き受けるという暗黙の合意が含まれるとみるのが自然だからです。
これによると、原則として実親(多くは父親)は養育費の分担義務を負わないことになります。
但し、例外として、養親が十分な扶養をすることができない状態にある場合には、その不足する分は実親が扶養義務を負います。
不足する分については、裁判例でも様々な計算方法をとっており統一したものはありません。
ざっくりと言うと、養親が、生活保護の最低生活費から算出される子供の養育費すら負担できない場合に、実親による養育費支払いのカバーが必要となるようです。
2 再婚しただけで養子縁組をしない場合
これに対して、妻が再婚しただけで、新しい夫と子どもとの間で養子縁組がされていない場合には、養育費減額は原則として認められません。
なぜなら、新しい夫は、子どもとの関係では他人で扶養義務がないので、子どもを守るためには養育費は維持する必要があるからです。
もっとも、新しい夫に十分な経済力があり、子供も事実上扶養を受けて十分な生活をしているのに、新しい夫よりも収入が低い実親だけに養育費を負担させるのは不公平です。
その場合には、子供が事実上の扶養を受けていることを証明して、養育費の減額を申したてていくことになるでしょう。
裁判例の中には、新しい夫と妻との間に夫婦としてお互いに扶養する義務があり、妻は実の親として子供の扶養義務を負っていることを根拠に養育費の減額を認めたものもあります。
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