自己破産をする前のチェックリスト|花みずき法律事務所

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自己破産をする前のチェックリスト

自己破産を依頼する前に注意しなければならないことは?

弁護士からのアドバイス

1 最初が大切

自己破産を弁護士などに依頼するときに、忘れずに弁護士に話しておいた方がよいことがあります。
 
当事務所でチェックリストをお渡ししながらご説明していることを整理してみました。これを知らないで手続を始めると、後でビックリして困ることもあります。
 
破産(特に会社の破産)に慣れた弁護士であれば、引き受ける段階で確認してくれるとは思いますが、もれがないようご自分でも確認されるとよいと思います。
 
  
 

2 自己破産を始めるときに確認すること

(1)借入の開始時期と返済年数
 
借り始めた最初が2010年(平成22年)以前の場合には、法改正前なので過払金が発生している可能性があります。
 
また、そのときの利率が18%を超えている場合には特に過払金がないか確認する必要があります。
 
他の会社からの借金が残っていても、過払金があれば、破産申立の資金に回すこともできるので、ご負担が軽くなることがあります。
 
 
(2)受任通知によって借入やクレジットができなくなっても構わないか?
 
弁護士が自己破産の受任通知を送ると、借入、クレジットカードの利用ができなくなり、保証人の審査に通らなくなります。
 
また、アパートを借りるときに保証会社を使う場合には、その審査に通らなくなることもあります。
 
今後の生活の予定を十分に考えてから依頼するようにしましょう。
    
 
(3)保証人に一括請求がされても構わないか?
    
自己破産の受任通知を弁護士が送ると依頼者への請求は止まりますが、保証人がいる場合にはそちらへ一括払いの請求がされます。
 
例えば、住宅ローンを借りた人が自己破産した場合、保証人に一括請求がされますので、保証人になっていた家族も自己破産しなければならないこともあります。
 
保証人がいるかどうかは、事前に確認が必要でしょう。
 
 
(4)自分自身が保証人となっていないか?
 
保証人になっている人が破産すると、債権者に通知を出すことになるため、普通は主債務者(借りた人)にも知られることになります。
 
例えば、離婚した後に住宅ローンの保証人になっていた元妻が破産すると、受任通知を借りた銀行などに出します。
 
その結果、銀行などから元夫に連絡が行き、元妻が破産したことが知られるということです。
 
その場合、主債務者(借りた人)である元夫に一括請求がされることは少ないようですが、契約上は一括請求できると定められていることも多いので注意が必要です。
 
 
(5)債権者となっている金融機関に預金口座は無いか?
    
弁護士が依頼を受けて銀行などの金融機関に通知を出すと、その金融機関の預金口座が一時的に凍結されてしまいます。
 
通知が届いたときの預金と借金とは相殺(差し引き)されてしまうことになります。
 
また、給料の振り込み口座を凍結されてお金を出せなくなったら生活ができません
 
そのような場合には、事前に預金の全額をおろして保管したり、給料の振込口座を変えてもらっておく必要があるのです。
 
 
(6)銀行引き落としで支払っている債務はないか?
 
弁護士が通知をお送ると、債権者からの請求は止まります。ですから、毎月の支払いなども止めていただいて構いません。
 
もっとも、毎月の支払いが銀行の口座から自動引落でされている場合には、引落を止めるのに数ヶ月かかります
 
そのため、銀行引落で支払っている口座については残高を0円にしておいていただく必要があります。
 
同じ口座から電気、ガス、水道などの光熱水費が支払われている場合や給料の振込口座の場合には、口座を変更していただくか、光熱水費はコンビニ払いなどにしていただく必要があります。
 
 
(7)借入から名字・住所に変更はないか?
 
債権者は、弁護士から受けた通知を見て、お名前、住所、生年月日などから本人の特定を行います。
 
そのため、借り入れた後に結婚されて名字が変わっている場合、借入の時と住所が違う場合には、借り入れたときに名字や住所を債権者に知らせる必要があります。
 
早めに債権者からの請求を止めるためにも、弁護士には変更があったことを早めに伝えるとよいと思います。
 
 
(8)滞納税金はどれくらいあるか?
 
破産をしても税金免除(免責)されません。
 
また、滞納税金ににより破産の決定前に差押えをうけてしまうと、破産しても差押えを解除することができません(借金の差押えであれば解除できます)。
 
ですから、できるだけ税金は滞納しないで破産手続に進んでいただくと良いとは思います。
 
例外的に、不動産や保険解約返戻金など、相当額の資産がある方は、破産手続の中で税金を支払うこともありますので、ご相談される弁護士にご確認いただくとよいと思います。
 
 
(9)家族は借金のことを知っているか?
 
自己破産手続を家族に内緒で行うことは可能です。
 
自己破産される方と家族との関係は様々なので、必ず家族に話さなければならないというわけではありません。
 
例えば、夫や妻が借金に非常に厳しい人で、理由があっても理解してもらえないような場合には、離婚を避けるために秘密にすることも必要でしょう。
 
ただ、ご自分一人で解決するのですから、自己破産後は自分自身で生活を立て直していくという覚悟も必要となります。
 
 
(10) 住宅ローン(抵当権等)・自動車ローン(所有権留保)の有無
 
自己破産手続の通知を弁護士が送ると、例えば住宅ローンについては支払いが止まるとともに、抵当(担保)に入れている住宅(土地・建物)について売却を求められます。
 
また、自動車ローン債権者が所有権を持っている(所有権留保)場合には自動車の引き上げを1ヶ月程度で求められます。車検証の「所有者」の欄を見ていただいてご自分ではなく債権者になっている場合には引き上げられると予測していただければと思います。
 
自動車を通勤などで必要な場合には、①親族の援助で中古車を購入する、②安い中古車(目安としては20万円以内)を一括で購入するなどの方法も考えられます。事案によって異なるので、相談の際にはお話いただくとよいでしょう。
 
 

3 自己破産で忘れがちなこと

(1)依頼後に資産をお金に変えたときには、そのお金は分けて保管すること
 
自己破産を依頼した後に、保険を解約して解約返戻金を受け取ったような場合には、そのお金は依頼した弁護士に預ける必要があります。
 
もし、預けない場合には、別途分けて保管いただくことになります。
 
給料については、生活ができないと困るので、生活費に使っていただくことは構いません。
 
 
(2)親族や知人からの借入も支払ってはいけないこと
 
債権者の中には、銀行や消費者金融だけでなく、個人もふくまれます。
 
ですから、親・配偶者・子・兄弟姉妹などの家族友達から借りているときには、弁護士からそれぞれに通知を出さなければなりませんし、支払いをすることもできません。
 
「債権者平等の原則」といって、全員が同じように破産による免除を受けなければならないのです。
 
できれば、支払いが苦しくなる前に、迷惑をかけたくない方には全額返しておいた方がよいでしょう。
 
 
(3)滞納家賃があると大家さんも債権者となってしまうこと
    
自己破産のご相談を受けるときに、家賃の滞納をされていると非常にこまります。
 
この場合、大家さんも「賃料債権」を持っている立派な債権者なのです。
 
かといって、弁護士が「滞納家賃は支払えません」と通知を出してしまうと、当然、退去を求められます
 
支払いが苦しくなってきても、退去したくなければ、家賃だけは滞納しないようにしましょう。
 
 
(4)裁判を起こされていたり、判決が出ていたりすると早い対応が必要なこと
 
お金を返せなくなって裁判を起こされたり、支払いを命ずる判決が出ていても、自己破産が認められればその支払いも免除(免責)されます。
 
もっとも、破産が認められる前であれば、判決が出ていれば、給料の差押えなど強制的に財産を債権者が取り上げることができます。
 
そのようなことが起きないよう、裁判がおこされているようなときには早めに自己破産の手続をすすめる必要があります。
    
 
(5)不動産(土地・建物)を持っているときには処分する必要があること
    
自宅ももちろんですが、自宅以外の不動産も処分する必要があります。
 
 
(6)父母等が死亡して名義変更(相続登記)していない土地・建物も処分する必要があること
 
ご両親や兄弟姉妹が亡くなって、相続人になっているけれども遺産を分ける手続(遺産分割)を行っていない場合があります。
 
この場合には、例えば、土地・建物の名義や預金の名義が亡くなった方(例えばご両親)になっています。
 
一見、ご自分の資産ではないように見えますが、実は法律が定めた相続分(法定相続分)については既に相続されているという扱いをします。
 
そのため、土地・建物や預金の法定相続分については、自分の物と同じように破産手続で売却・解約などをする必要が出てくるので注意が必要です。
 
なお、自己破産を予定しつつ遺産を分ける手続(遺産分割)をして、ご自分は外れて他の相続人の名義にすると、それが後から問題になって返還を求められることがあるのでご注意を。
 
 
(7)退職金の8分の1はご自分の財産と取り扱われること
    
自己破産手続では、ご自分の財産のうち99万円を超える財産は、原則として債権者への支払いに充てることになります。
 
そこで財産が99万円以上あるかを検討するときに、忘れがちなのが退職金です。
 
ここでは2つの問題があります。
 
 ① 退職金8分の1が財産として計上されるがそれが99万円を超えないか?
 
 ② 申立をするときの退職金の金額を会社に計算してもらうことができるか?
 
です。
 
退職金の8分の1が99万円を超えるときにも、事情や金額によっては保留してもらえることもあるので、これは相談する必要があります。
 
②では、「退職金見込額証明書」を会社で発行してもらう必要があります。
 
でも、当然、会社からは「仕事を辞めるつもりか?」とか「何のために必要なのか?」という疑問を持たれてしまいます。
 
私の経験でも、自己破産が一番周囲に発覚しやすいのは、このときです。
 
必ず会社の社長印が必要なわけではないので、総務や経理の担当者で口が信用できる人がいるときには、その人に発行を頼んで印鑑をもらうなど工夫していく必要性は高いでしょう。
  
 
(8)20万円を超える財産には注意が必要なこと
 
預金や生命保険の解約返戻金の額が20万円を超えるものがあるときには、破産の申立をするときに説明をしていく必要があります。
 
 
(9)新しい(初年度登録6年以内)自動車・バイクは資産と扱われること
 
自動車やバイクは、住んでいる場所によっては、通勤や生活のために絶対に必要な場合があります。
 
破産をしても、その後の生活の立て直しができないと困るので、自動車やバイクが常に引き上げられてしまうわけではありません。
 
ただ、破産するのに、ポルシェのような高額の外車や日本車でも新車に乗っていたのでは、債権者が納得しません。
 
そこで、普通の日本車であれば、初年度登録6年を経過していれば、そのまま使い続けることが許されます
 
逆に、高額なが外国車や日本車でも値が下がりにくいもの(例えばレクサスなどがそうでしょう)については、査定をとって、それが預金などと合わせて99万円を超えるようであれば、売却して債権者への配当に回さなければならなくなります。
 
その場合に、通勤や生活に困るようでしたら、破産申立をする前に、依頼した弁護士に相談して、どの程度の中古車だったら買って大丈夫かを教えてもらうことになります。
 
このアドバイスも、破産申立になれた弁護士でなければ適切は判断ができないので、注意が必要です。
 
 
(10)破産によって資格が停止されることがあること
 
破産しても、それだけを理由に解雇することは許されません。
 
もっとも、一定の資格が必要な仕事に就いている場合には、その仕事はできなくなります。
 
一言でいうと、「人の財産に大きな影響を与えるような仕事に関わる資格」が制限されます。
 
例えば、弁護士、税理士、証券外務員、生命保険募集人、損害保険代理店、宅地建物取引業(不動産業)、会社の取締役、警備員など資格一旦制限されてしまいます。
 
そのため、資格を前提に警備業を行っていたり(ただ雇われている警備員であれば大丈夫です)、資格をもってやっている保険の営業などの仕事ができなくなるのです。
 
ただ、資格を失うとか、一生その仕事につけなくなるということでは無く、破産手続が開始してから免責決定(借金をゼロにする決定)が出て制限が解除されるまでの間ということです。
 
制限が解除されれば、また、その資格が復活して仕事につくことはできます。
 
なお、どうしても資格の制限を受けることが出来ない方は、個人再生の手続で減額された金額を支払っていくことになります。
 
 
(11)免責不許可事由にあたるものはないか?
 
破産の決定というのは、「債務を支払うことができないこと」を裁判所が認めるこだけで、借金などの債務をゼロにするものではありません。
 
債務をゼロにするには、別途「免責決定」という決定を受ける必要があります。
 
この免責決定により、債権者は返してもらうことができなくなるのですから、あまりに悪いことをした債務者(破産者)については認めることができません
 
例えば、借金のほとんどがギャンブルや風俗のためだったり、犯罪に関わるものや愛人への援助など常識的に許されないものである場合には、免責が認められないことがあります。
 
また、破産申立をするときに、本当はあるのに保険や預金を申請しないで隠す場合も同じです。
 
更に、破産の直前に「どうせ破産で消えるから」と多額の借金をして、ほとんど返さないで破産を申し立てたときの認められないことがあります。
 
その場合には、一定の金額を債権者に支払って納得してもらうなど、債権者が納得できるような反省の態度を示したり、個人再生で債務の額を減額して支払うことで、借金の問題を解決するしかありません。
 
これらも、弁護士が引き受けるときに確認していかなければならないことです。
 

4 自営業の方が特に注意すること

(1)営業を廃止しているか?
   
取引先への支払いができなくなるため、仕入れをすると「物を受け取ったのに支払いはしない」という詐欺的な行為になってしまいます。

ですから、破産を弁護士に依頼して通知をした時点では、営業を廃止しなければなりません。

そのため「取引先に迷惑をかけたくない」という場合には、完全に営業ができなくなる前に返しておく必要があるのです。

 
(2)従業員は解雇しているか?
 
破産の通知を弁護士が出すと、営業を廃止して、債権者への支払も停止することは、ご説明したとおりです。
 
実は、従業員も会社や雇い主に対して「賃金債権」という権利を持つ債権者にあたります。
 
そのため、例えば銀行などの金融機関と同じように、支払が禁止されてしまいます。
 
ですから、従業員にに迷惑をかけたくなければ、経営が完全に行き詰まってしまう前に、給料(賃金)を支払って解雇しておく必要があります。
 
そうでないと、従業員が賃金を全額もらえないのに働かなければならなくなってしまうからです。
 
 
(3)未払い賃金は無いか?
 
本来、従業員に賃金を支払って解雇しておくことが望ましいのですが、突然、経営ができなくなってしまった場合には、未払の賃金が残ってしまいます。
 
この未払賃金は、破産手続である程度優先されるのですが、多額の税金の滞納があったりすると、破産手続で全く支払を受けられないことになります。
 
でも、賃金は働いている人やその家族にとって、生活を維持するために非常に大切なものです。
 
そこで、国が未払賃金を立て替える制度を作って、独立行政法人労働者健康安全機構というところで立替払い(上限あり)をしてくれます。
                   ↓
   https://www.johas.go.jp/chinginengo/miharai/tabid/687/Default.aspx
 
ここで気をつけなければならないのは、雇い主である会社や個人が無責任で会社が事実上、倒産したのに放置されると立て替えてもらえなくなるということです。
 
働いている方から見て、退職後6か月以内破産の申立労働基準監督署で倒産の認定がされないと、立て替えてもらえなくなります。
 
そこで、もし、未払の賃金があるのに放置されていると思ったら、労働基準監督署に相談に行く必要があります。
 
逆に、会社や事業主が、破産はするけれど、従業員の給与を何とか立て替えてもらいたいという場合には、早めに破産申立をするか、労働基準監督署に認定申請をする必要があります。
 
この手続は依頼された弁護士に経験があれば、適切に素早くすることができます。ご相談のときに聞いていただくと良いでしょう。
 
 
(4)買掛先に迷惑をかけることを覚悟しているか?
 
弁護士に依頼して通知を出すと、営業を廃止するので、買掛先への支払が禁止されます。
 
そのため、仕入れはしておいて、買掛先には支払わないということになり、大きな迷惑をかけてしまいます。
 
その金額が大きいときには、連鎖倒産といって買掛先も倒産してしまうことがあります。
 
かといって、買掛先だけに返済することは禁止されます。
   
経営が完全に行き詰まる前の立て直しの段階で、仕入れ先へは現金払いに切り替えておくなどの工夫が必要となります。

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