お金がほとんど無くても自己破産を弁護士に頼める?
私の自宅には住宅ローンや事業借入ローンの抵当権がついていて、家の価値から差引するとマイナスになります。
他にも借金がたくさんあるので、弁護士に払う費用も、引っ越すお金もありません。
このような場合にも破産手続で借金をゼロにすることはできるのでしょうか?
弁護士からのアドバイス
お金がない場合の自己破産
1 法テラスを利用するケース
預金や現金がほとんど無い場合でも、収入・資産が少ないという条件を満たせば法テラスという公的な機関を使えば弁護士費用を無利息で貸してくれます。
対象となる人は、大まかに言うと、アパートに1人暮らしの方の場合、給与とボーナスを入れた年間手取り収入を月割りにしたときに、22万円以下になるような方です。
また、資産を多く持っている方は対象とならないため、土地・建物を所有していたり、預貯金、保険解約返戻金、投資信託などを含めた資産の合計額が180万円を超えるような場合には法テラスは使うことができません。
ご自分が当てはまるか分からない場合には、法テラスの事務所は全国にありますので、お近くの事務所にご相談ください。
2 法テラスを使えない場合の方法
土地・建物を所有していたり、会社経営をしていて法テラスを使えないような場合でも、弁護士が間に入って、土地・建物を任意売却をすることで、引っ越し費用や破産に必要な費用を調達して、申立まで行うことができます(任意売却のご説明は後述)。
具体的なやり方は、次のとおりです。
まず、弁護士は全ての債権者に受任の通知を出して、「現在破産申立の準備として、任意売却を予定しているから待って欲しい」との通知を出します。
これによって、ご本人への債権者からの請求を止めます。
その後、弁護士が自宅に対して抵当を持っている債権者(例えば、金融機関、信用保証協会、債権回収会社)と交渉してくれるよう連絡を入れます。
弁護士は債権者に、「競売(けいばい)(裁判所での強制的な売却)で処分するよりも高い値段で任意売却ができる」ということを理解してもらえるよう説明をします。
その上で、売却代金から経費として、不動産業者の仲介手数料、不動産登記費用、居住している方の引っ越し費用、破産申立のための費用をできるだけ多く出してもらうように交渉するのです。
各債権者によって対応は異なりますが、現在の実務では一定の範囲では応じてもらえます。
この任意売却の手続では様々な利害が関係したり、農地法や他の法令の知識が必要だったりしますので、経験のある弁護士に依頼しないと、債権者の同意が得られなかったり、時間がかかり過ぎて債権者を怒らせてしまったりすることもあります。
相談した弁護士が、どこまで見通しをたてて説明してくれるのかを必ず確認しましょう。
また、任意売却には、破産に伴う手続について経験がある司法書士、不動産業者と連携して、スムーズに手続を進められるかも大切です。
この点も、相談した弁護士に確認すると良いでしょう。
不動産(土地・建物)の任意売却とは
通常の不動産売買と同じように、売主と買主とが合意して売買契約を結んで、土地や建物を売却することをいいます。
わざわざ「任意」という言葉を使うのは、競売(けいばい)と対比してのことです。
競売では、売主の意思に関わりなく、裁判所で強制的に不動産を売却する手続です。
競売が「強制」的な手続になるのに対し、通常の売買は売主「任意」に売られる手続ということです。
競売だと、少なくとも市価の30%程度は安くなってしまいますので、任意売却する方が、債権者に支払う額も多くなります。
また、不動産に余剰価値がある場合には売主に残るお金も多くなるので、できるだけ任意売却によることが望ましいのです。
譲渡所得税について
不動産を売った場合、取得した価格よりも高く売れると、売主に利益が出ることになります。
この場合には、この利益を所得と見て、譲渡所得税が発生します。
もっとも、居住用不動産を3,000万円以下で売却する場合には、税金がかからないという特別控除の制度や軽減税率の制度があるので、個別に検討が必要です。
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