弁護士に交渉を頼む意味ってあるの?
弁護士は裁判は得意だと思いますが、交渉のトレーニングを受けていなければ、頼む意味がないのではないですか?
弁護士からのアドバイス
弁護士全員に交渉をする能力はあるのか
これはもっともな疑問ですね。
確かに、弁護士が司法試験を受けるときに学ぶのは六法といって、憲法、民法、刑法、商法(会社法)、民事訴訟法、刑事訴訟法という法律(これをまとめて「六法」と呼びます)です。
司法研修所でも、科目は「民事裁判」「民事弁護」「刑事裁判」「検察」「刑事弁護」の5科目なので、裁判のことについてトレーニングを受けてきます。
そのため、裁判については、弁護士は他の資格者よりも圧倒的な知識と能力を持っていると言えるでしょう。
これに対して、交渉となると、法律の知識だけでは対応しきれず、色々な能力が必要となります。
その業界の慣行、相手の手を読む能力、決断力、相手に直接攻撃されても動じない強さなど、裁判のときとは別の力が必要となります。
これは、経験だけでなく、やはり向き不向きがあります。
相談をしながら、判断が適切だったり、相手の手を読んでくれたりするようであれば、交渉が得意な弁護士だと思います。
法律相談は、弁護士を観察する場ということも意識すると良いでしょう。
弁護士に交渉を依頼する意味は?
弁護士が代理人となって交渉をする大きな意味は、
① 法律が関係するトラブルの適法・違法の判断には六法の知識が不可欠なこと
② うまく解決できなくて裁判にもつれ込んだときの予測ができること
です。
まず、①ですが、上でご説明したとおり、弁護士になるまでに全ての法律を学んでいるわけではありません。
司法試験で学ぶのは「六法」ですが、法律の辞典のことを「六法全書」と呼ぶように、「六法」は全ての法律の基礎、土台になるものです。
つまり、六法を学んでいないと、他の法律を本当の意味で理解できないのです。
例えば、不動産登記法は民法をしっかりと理解できていないと、登記権利者や登記義務者の位置づけも理解できませんし、条例違反の刑罰を考えるときには、少なくとも憲法、刑法、刑事訴訟法の知識がない争ったりと先行きを見通したりできません。
つまり、法律違反のケースを弁護士以外の人が検討したり、先を読んだりするのは、非常に難しいということです。
次に、②についてですが、常に「裁判になってしまった場合に有利か?不利か?」を頭の中に入れて交渉できるのも弁護士だけです。
つまり、交渉の段階で相手に提示させる証拠や書面、こちらが渡す書面や証拠について、裁判の経験がないと、何が適切か判断できないのです。
裁判官に誤解されかねないような書類を、交渉段階で相手に渡してしまったら、取り返しがつきません。
この判断は、六法だけでなく、司法研修所でたたき込まれる「要件事実」とか、「裁判・弁護・検察実務」が理解できていないとできません。
逆に、弁護士は、ここが強みですから、交渉段階で常にこれを意識しながら、相手に対応していきます。
そのため、交渉段階から弁護士に依頼される方が多く、必然的に弁護士が担当する交渉事件も多くなるというわけです。
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