架空請求が出回っているようです

今週は、静岡でもとても寒かったです。

 

水曜日には、法律相談で掛川市に行きました。

 

東名高速道路を走っていて、牧之原(まきのはら~静岡県内のお茶の名産地で、台地になっている所です。)で、雪がフロントガラスにふきつけてくるという、静岡では珍しい体験をしました。

 

ところで、ちょっとご注意情報です。

 

私の知人に架空請求メールが来ました。

 

そのメールを見せてもらったところ、やはり法律的にはウソだらけで、だいたい次のような内容でした。

 

----------------------------------

重要なおしらせ

 

インターネットにおけるトラブルの調査・和解業務を行っております○○○と申します。

 

この度、お客様がご使用の携帯端末より依然ご登録頂いた総合情報サイト(着メロ・着うた・天気・占い・出会い等、画像・動画等)から無料期間中に退会処理がされておらず、登録料金が発生し、長期延滞となっており、運営会社から依頼を受けてご連絡申し上げます。

 

本通知から翌日正午までにご連絡頂けない場合には「電子消費者契約法」に基づき端末電子名義認証を行い、お客様の第3親等までの身元調査後、民事裁判となります。

 

【中 略】

 

相談窓口 03-○○○○-○○○○

担当 ××

10時~19時まで

まだ間に合います。

 

ご自身の未来のため手遅れになる前に早急にお電話ください。

----------------------------------

このメールは携帯電話から送信されており、迷惑メール拒否設定をしていても届いてしまうようです。

 

対応は、「何もしないこと」です。

 

決して、電話で問い合わせなんてしてはいけません

 

電話してしまうと、自分の情報を取得されて、今回の請求だけではなく、将来にわたって被害を被るおそれがあります。

 

もし、皆さんが無料サイトを利用した記憶があっても、それだけで自動的に使用料などの料金を支払う義務が発生するわけではないので、大丈夫です。

 

業者は、「皆さんに有料契約の申込みをする意思があるかどうか」の確認を求める措置をとらなければなりません。

 

そうしないと、皆さんが全て無料だとカン違いして、クリックして申し込んでしまっても契約は無効となります。

 

ですから、仮に、最初の一定の期間だけ無料で、その後に有料となる契約であれば、業者は、画面上で、はっきりとその契約や規約の内容を説明しなければなりません。

 

ただ「お試しの無料サイト」と書いてある所を利用しただけでは、業者から勝手に有料にすることはできません。

 

あくまで、皆さんが有料サイトの契約の説明を受けた上で、その契約の申込みをしてはじめて契約が有効なんですね。

 

そのような消費者の保護を定めた法律が

「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」

です。

 

この法律を通称で「電子消費者契約法」とも呼びます。

 

この法律は、私達、消費者保護のための法律なので、消費者に不利なことは定めてありません

 

それを、この法律の名をかたって、「第3親等までの身元調査」などあり得ない圧迫をしているところも、ひどいですね。

 

もし、このような請求メールを受け取った方は、メールアドレスが流出している可能性もあるので、気持ち悪かったらアドレス変更をするのは良いかもしれません。

 

その場合には、例えば「Reiko」のように、アドレスから女性であることがわかるような文字は使わない方が安全でしょう。

 

なお、全く覚えのない請求でも、裁判所からの郵送で来た場合には放っておかないで、至急、お近くの弁護士にご相談ください。

 

理由のない裁判などでも、何もしないと欠席判決で負けてしまいます

 

封筒の表面や中の紙に裁判所の名前が書いてある場合には、要注意ということですね。

 

消費者被害の一般的なご説明についてはこちら

 

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カテゴリー: 消費者の被害 |

内容証明郵便って何?

クーリングオフ、つまり契約の取り消しの意思は「内容証明郵便」という方法で行うのが良いです。


「内容証明郵便」とは、誰が誰に対していつどんな内容の郵便を送ったの郵便局で証明してくれる郵便です。

クーリングオフの場合に限らず、例えば損害賠償の請求などの様々な法的な請求を行う場合に使われます。

 

この方法によれば、後々争いになった時に、皆さんが、しっかりと

① 8日間以内に

② 取り消しの意思表示を

③ 郵送した

ということを証明できます。

 

つまり、法律の定めに従って、ちゃんとやったことを証明できるんですね。

 

「内容証明郵便」には、郵便局の窓口でも出せますが、本局などの大きな郵便局でしか取り扱っていないので、事前に確認が必要です。

 

近くに本局が無い場合には、インターネット上で「電子内容証明郵便」という方法を使えば24時間いつでも申し込むことができます。
いずれの方法で行う場合でも、「配達証明」付という、配達時に相手から署名をもらう方法をとるのが安心です。

 

「内容証明郵便」の書式については、字数・行数や作成枚数などについて決まりがあります

 

例えば、窓口で出す場合には、縦書きの書式では20字×26行で、同じ書面を3通作って持参することなどです。

 

3通というのは、

① 相手に送る分

② 郵便局で保管する分(これで、内容を証明します。)

③ 皆さんが保管する分

ということです。

 

その他のくわしい内容は、日本郵政グループのホームページ↓でご確認下さい。
http://www.post.japanpost.jp/service/fuka_service/syomei/index.html

 

でも、「内容証明」を送るっていっても、クーリングオフには、短い期間制限があるのに、郵送で間に合うのでしょうか?

 

その答えは次回に。

 

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カテゴリー: 消費者の被害 |

クーリングオフって電話でも大丈夫?

お正月あけで、何とかがんぱった後の3連休はうれしいですよね。

私も含めて、弁護士で3連休とれる方は少ないとは思いますが・・・

 

では、前回の続きです。

実際に、皆さんがクーリングオフをする場合、どのような方法でするのでしょうか?


急いで業者に「取り消します!」と電話をすれば良いのでしょうか?


特定商取引法では、クーリングオフは「書面で行う」と定められています。


確かに、皆さんが、電話で連絡した場合でも、業者が納得して、取り消しが合意できれば問題はありません。


しかし、業者もせっかくもらった代金を返したくありませんから、そんなに甘くはいかないことがほとんどです。


悪い業者になると、後で、「電話なんて知らない。」とか、「電話はかかってきたが、取り消しの話なんて聞いていない。」と主張してきます。

 

裁判までいくような問題は、ほとんどがそうだと思ってください。


こうなると、「取り消した!」「いや、取り消していない!」という意味の無い言い合いになってしまいます。


このようなケースでは、

① 制限期間(前にご説明した8日間など)内に、しっかり皆さんが、取り消しの意思を業者に発信したのか

そして

② そのことを、皆さんが証明できる

が勝負の分かれ目なんです。


ところが、電話では、証明できるだけの証拠が残りません

 

仮に、皆さんが、通話の記録を電話会社からもらっても、そこには、通話先の番号・日時・通話時間などが書いてあるだけで、通話の内容までは書いてありません。

 

これでは、皆さんと業者との通話内容が、「商品の説明をうけた」ものだったのか、「取り消します!」というものだったのか証明はできないですよね。


そこで、クーリングオフの意思表示は、書面を郵送して行ことになります。


そして、この郵送は、「内容証明郵便」という方法で行ことをお勧めします。


この「内容証明郵便」って具体的にはどのようなものなんでしょうか?

それは、また次回に。

 

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カテゴリー: 消費者の被害 |

買ってしまった後に「しまった!・・・」取り消せるの?

まだ、お正月気分が抜けませんが、まずは、ブログから開始していきたいと思います。


皆さんは、クーリングオフという言葉を聞かれたことがあるでしょうか?


訪問販売のように、その場のふんいきに押されて、うっかり契約して、後で後悔するような契約や、消費者が一方的に被害者になりやすい契約について、後で消費者が取り消ことを認められた制度です。


例えば、次のような事案です。


休日に自宅に訪問してきたセールスについ乗せられて資格の通信教育や学習塾の契約をしてしまった。


街中を歩いていたら、営業の人から声をかけられてお店に連れて行かれ、うっかり宝石を買う契約をしてしまった。


後で頭を冷やす(クーリング)と、「そんなに資格を取りたいわけではなかった。」「宝石を欲しいわけではなかった。」ということは、誰でもあり得ると思います。


 このような契約の場合、特定商取引法(とくていしょうとりひきほう)という法律などで、理由を特に告げずに契約を取り消す権利が消費者に認められています。


 この取り消しには期間の制限があることに注意が必要です。


 契約の申込の書面又は契約書事業者から渡された日(その日も入れて)から数えて、8日間以内に取り消さなければなりません(上の例の場合)。


 例えば、日曜日に自宅に業者が来て契約してしまった場合には、次の日曜日ま  でクーリングオフすることができることになります。


 なお、クーリングオフの期間は、取引によっては10日間~20日間の場合もあので注意が必要です。


また、業者が渡した契約書面等に不備があれば、法律が定める期間を経過していても、クーリングオフできることもあります。


もし、ご不安やご疑問があれば、お早めにお近くの消費生活センターか、弁護士にご相談することをおすすめします。

 

では、クーリングオフは実際には、どのような方法でするのでしょうか?

 

これは次回に。

 

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カテゴリー: 消費者の被害 |

事務所のご案内

今年も皆様にとって良い年でありますように鏡餅

 

年始めということで、私の所属する事務所のご紹介をさせてください。

 

当事務所は、所長の私(弁護士谷川樹史)を入れて弁護士3人、事務員3人で運営しています。

 

当事務所の弁護士は全員、静岡県弁護士会に所属しています。

 

当事務所は、静岡市の街中にあります。

 

静岡鉄道の新静岡駅(セノバ)から徒歩2分、JR静岡駅から徒歩7分という便利な場所にあります。

 

地名は「鷹匠(たかじょう)」と言うので、昔はお城に仕える鷹匠が住んでいた地域なのかも知れません。

 

セノバには映画館がありますので、休日に仕事をしている時には、気分転換に映画を見ることもあります。

 

業務内容は、

① 相続の問題(遺産分割・遺留分・遺言の問題など)

② 借金問題の解決(企業・個人を問わず破産・再生・債務整理・過払い請求など)

③ 消費者被害(訪問販売などのトラブル・投資・未公開株発行の詐欺など)

④ 離婚

⑤ 慰謝料請求(不貞行為・暴行など)

⑥ 交通事故の損害賠償請求

⑦ その他の損害賠償請求

⑧ 借地借家の問題

⑨ 貸金請求など債権回収

⑩ そのほかの契約に関するトラブル

⑪ その他、紛争の交渉による解決

⑫ 民事裁判や調停を起こされてしまった方の裁判手続への対応

⑬ 成年後見・保佐・補助などの問題

⑭ 財産管理

⑮ 企業経営に関する法的問題

⑯ 刑事事件の弁護(暴力団員からの依頼は除く)

など、個人の問題から企業の問題まで広く扱っています。

 

事件の数としては、相続に関する問題破産や再生など借金に関する問題離婚に関する問題契約上のトラブル(特に機械や設備関係)不動産のトラブル労働事件(企業側の方が少し多いです)交通事故について、特に多く経験を積んでいると思います。

 

最近では、建築訴訟などについても事件をお引き受けしており、今後も勉強をして職域を広げていきたいと考えています。

 

当事務所では、特にご紹介を必要としていないので悩まれていたらすぐにお電話いただければと思います。

 

ただ、弁護士は、毎日事務所を出たり入ったりして居ないことも多いので、もし、ご相談をされる場合には、事前に事務員にお電話で時間の予約をしていただけると助かります(電話では、事務員が対応して、日程調整をいたします)。

 

「弁護士に相談予約をいれて欲しい」としていただければ、できる限りご予定の合う日で予約を入れるようにいたします。

 

弁護士を選択する時に、一つだけ注意していただきたいのは、「事務所ではなく、弁護士で選ぶ」ということです。

 

大人数の弁護士が所属する事務所であっても、実際に事件をお引き受けする弁護士はその中の1人です(マスコミで騒がれるような大事件は除きます。)。

 

契約後に、何か困った時に頼る相手は一人の方が、依頼者にとっては間違いなく便利です。

 

なぜかというと、前に話した内容を前提に相談できますので、二度同じ説明をする手間が省けたり、細かい心情や人間関係を把握してもらえるということです。

 

私の事務所でも、ご依頼を受けるときには、依頼者の方のご希望があれば、できるだけおこたえするようにしています。

 

私以外の弁護士も、十分に弁護士経験を積んでおり、必要に応じて弁護士同士で議論をしながら進めるので安心してお任せ下さい。

 

ですから、事務所の規模とは関係なく、みなさんが「どの弁護士なら安心して任せられるか」を重視すべきことは間違いないです。

 

医師に手術をしてもらう場合と比べてもらえば分かると思いますが、実際に執刀をする医師が誰かが大切なのです。

 

そして、弁護士で大切なのは、経験、依頼者との相性、コミュニケーション能力、事務処理能力です。

 

このうち、相性・コミュニケーション能力・事務処理能力は、法律相談をすることで検討がつきますよね。

 

皆さんの質問に的確・迅速に回答ができるか、話す時の雰囲気は良いか、自分の話をしっかり受け止めてくれるかなどは、ご自分で判断できることです。

 

ただ、最も良いのは、いくつか事務所を回って皆さんの完成と判断で比較することです。

 

当事務所のように、最近では初回は無料相談としている事務所も増えていますので、まずは「お試し商品」として法律相談をご利用されると良いと思います。

 

また、個別の事務所での相談が心配であれば、市町村や法テラスの無料法律相談をご利用されるのも一つの方法です。

 

ご自分の人生の重要な問題を任せるのですから、少なくとも複数の弁護士と面会して相談をしてみた上で、弁護士を決めると良いと思います。

 

当事務所でも、ご相談に来られた方が、まずはご相談だけで、依頼するかどうかは検討するということも、もちろん可能です。

 

今後とも、ご相談に来られた皆様が、できるだけリラックスできるよう、弁護士・事務員の対応や室内の雰囲気にも気をつかっていきたいと思っています。

 

ブログとともに、当事務所も、どうぞよろしくお願いいたします。

 

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カテゴリー: ☆まず、初めに☆ |

消費者を守る法律ってあるの?

いよいよ、年末ですね。


当事務所も、本日、12月28日が最後の仕事日となります。


今回は、私が色々と消費者関係の委員をやっていることもありますので、消費者の被害についてお話したいと思います。


契約のところでは、民法のお話をしました。


昔は、契約の問題解決は全て民法でしていました。


消費者が、しっかりした会社と取引をするのであれば、それでも特に問題はありませんでした。


しかし、皆さんも聞かれたことがあるかもしれませんが、消費者の被害は次から次へと形を変えて発生しています。


例えば、

① 高齢者の一人住まいを訪問して高いフトンや浄水器を売りつける


② 街角で声をかけて不当に高いエステの契約や美顔器を購入させる


 先物取引・外国為替証拠金取引(ここでは「投資」と考えてください。)などで「必ずもうかるから」などと言って、お金を受け取り、大きな損害を被らせたりする


などなどです。


上の①②の取引で、普通の消費者は、フトン・浄水器や美顔器にどれだけの価値があるのかや、適正な値段を知りません。


また、については、どのようにお金が動くのか、どの程度の危険があるのかを正確に把握していない方がほとんどだと思います。


なので、契約書にハンコを押してしまった後や、損害が発生してしまった後に、知り合いや親・兄弟などに相談して「だまされたかも!」と気付くことも多いでしょう。


ところが、民法の世界では、しっかりした判断ができる市民同士が、取引をすることを前提にしています。


そのため、民法では、取引は自由にできることにしていて、どちらか一方だけを助けたりしません(これを「契約自由の原則」と言います。)。


そこで、一方が「詐欺(さぎ~だますこと。)」とか「強迫(きょうはく~おどすこと)」など、よほどひどいことをしないと、一回した契約を「やっぱりやめた」とは言えないのが民法の原則です。


でも、消費者がうっかり契約をしてしまうケースは、「詐欺」や「強迫」までは行かないけれど、


重要なことに事実とちがうことがあった(隠していた)」とか


「絶対にもうかる。」「絶対に(美顔器やエステで)きれいになる」と言われた


「一旦は断ったのに会社や自宅に何度も来られて困って契約してしまった」


ということの方が多いんです。


このような、業者が積極的にだまそうとしたとか、脅したとまでは言えないケースについても、業者よりも、消費者の方の味方になって助けてくれる法律が3つあります。


それは、

① 消費者契約法(しょうひしゃけいやくほう)

② 特定商取引法(とくていしょうとりひきほう)

③ 割賦販売法(かっぷはんばいほう)

です。


これらの法律は、民法の原則の一部について特別な定めをして、消費者を助ける条文をいくつかおいています。


なので、消費者が事業者(法人や営業をしている個人)と契約をした場合には、民法や商法(しょうほう~商人のための法律です。)と、の法律の両方が使われることになるんです。


これから、消費者の問題のお話では、民法(商法)の他に、この3つの法律で、どうやって消費者が権利を守ることができるのかお話ししていきます。


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カテゴリー: 消費者の被害 |

黙秘する人ってワルい人?

クリスマスも終わってしまいましたね。

 

町の風景も大分変りました。

 

さて、黙秘権もくひけん)という権利の名前を聞いたことのある方は多いと思います。

 

憲法けんぽうでは「何人も自己に不利益な供述は強要されない。」と定めて、黙秘権保障しています。

 

刑事訴訟法けいじそしょうほう)という法律でもほぼ同じ保障があります。

 

では、被疑者(警察などから捜査をうけている人)や被告人(検索官から起訴された人)はどうして、黙秘つまり黙っていても良いのでしょうか?

 

例えば、仮に皆さんが路上で窃盗(せっとう~ドロボウのことです。)をしたとの疑いをかけられたとします。

 

その路上窃盗が起きた日の同じ時間、皆さんはとある女性(男性)と浮気をしていたとしましょう。

 

一応、皆さんは結婚していて妻(夫)があって、家庭もとても大事、相手の女性(男性)にも絶対に迷惑をかけたくないというケースだとしてください。

 

さて、この場合、皆さんは、そのアリバイを堂々と主張できるでしょうか?

 

少なくとも、最初は黙っていて、言わないと思います。

 

良く、「黙っていて話さないのは、後ろめたいところがあるからだ。」という意見を聞きますが、その後ろめたいことは、必ずしも疑われている犯罪についての事とは限りません。

 

また、何らかの考えや信条によるものかもしれません。

 

それを、「黙っている理由を話しなさい。」としてしまうと、さっきの例だと「浮気していることを知られたくないから。」と説明しなければならなくなります。 

 

これでは、説明する意味がありませんよね。

 

結局、黙っているしかなくなってしまいます。

 

実際には、被疑者や被告人が、犯罪についての後ろめたいことを黙っているケースもありますが、万が一判断を誤ると刑事事件では大変な被害を与えてしまいます

 

そこで、憲法や刑事訴訟法では、

① 何の理由も言わずに黙っている権利

② 黙っていることを不利に推測してはいけないというルール

が黙秘権という形で認められているのです。

 

ですから、黙っていることを理由に、有罪とすることはもちろん量刑刑の重さ)を重くすることもいけないんですね。

 

刑事弁護についての基礎知識についてはこちらをご参照ください。

 

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カテゴリー: 刑事事件のお話 |

刑事裁判の簡単な流れ

刑事事件は、小説やドラマでは見ますが、今まで関わってこなかった方が多いんじゃないでしょうか。

 

ただ、今年から裁判員制度が始まったことで、皆さんも今後、刑事事件を判断する立場になるかもしれません。

 

ということで、少し刑事事件の話もしてみようかと思います。

 

ほとんどの弁護士(東京を除く)は、順番に裁判所からお呼びがかかって、刑事裁判で国選弁護人(こくせんべんごにん)という役割を引き受けています。

 

多くの弁護士の仕事は民事事件が中心ではあるんですが、法律家を目指す人たちは、たいてい刑事裁判に興味や熱意があるので、刑事事件も引き受けるんですね。

 

その刑事裁判には、裁判官(さいばんかん)・検察官(けんさつかん)・弁護人(べんごにん)が普通は必要です。

 

たとえば、Aさんが窃盗を犯した疑いで警察につかまったとしましょう。

 

この段階のAさんを、罪を犯したと警察に疑われている人ということで、被疑者(ひぎしゃ)と呼びます。

 

警察が取り調べた後、さらに検察官がAさんを取り調べます。

 

その結果、検察官が「裁判にかけることが必要だ」と判断したら、裁判を起こします。

 

このように検察官が裁判を起こすことを起訴(きそ)と言います。

 

起訴されると、Aさんの呼び名は、被疑者から被告人(ひこくにん)に変わります。

 

Aさんを取り調べた調書には、①犯罪事実の他に、②Aさんの生い立ちや、③Aさんがいかに身勝手な気持ちで犯罪をしてしまったか、④被害者がどれほど許せない気持ちになっているか、などがくわしく書いてあります。

 

でも、Aさんはひょっとしたら無罪かもしれません。

 

いきなり会社をクビになり、住むところも無く追い出されたので、窃盗で食いつながなければ死んでいたのかもしれません。

 

また、今頃の季節になると、住むところも職も無い高齢者が、「刑務所に入った方が生きていけるかも・・・」という感覚で窃盗をしてしまうこともあります。

 

このように、実際に被告人(Aさん)に会って話をすると、被告人(Aさん)が警察や検察官が言うほどひどい人間ではないことも多いんです。

 

そこで、弁護人は、被告人に有利なことをできるだけ主張して、一方的に被告人が悪人になって、えん罪無実の罪)や重すぎる刑が科されないように注意していきます。

 

そして、裁判官は、公平な立場から、Aさんが罪を犯したかどうか、Aさんにはどの程度重い責任があるのかを判断して、判決をする立場です。

 

裁判員になると、この裁判官同じ立場で判決を考えていくことになります。

 

刑事弁護についての基礎知識についてはこちらをご参照ください。

 

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カテゴリー: 刑事事件のお話 |

弁護士の「悪い提携」と「良い提携」とは

例えば、家を建てる時や自動車を買う時には「提携ローン」などを利用すると、申し込みの手続が簡単で、利息が少ないという便利なことがありますよね。

 

では、「提携弁護士」というのも、同じように便利でおトクなんでしょうか?

 

実は、弁護士業界や裁判所では、「提携弁護士」というのは悪い意味で使われることの方が多いんです。

 

例えば、皆さんが借金に苦しんでいるとき、消費者金融業者の親切そうな担当者が弁護士を紹介してくれたとします。

 

その弁護士に頼んだら、毎月の支払が楽になったとします。

 

何か良いことのように感じますね。

 

でも、この場合、その弁護士は、仕事を紹介してくれた消費者金融会社についてだけ、借金の整理を正しくしていないことが多いんですね。

 

例えば、紹介した消費者金融会社については、過払いだったのに、借金を返していく和解契約を結ばれていることもあり得ます。

 

このように利害の対立する相手から、お客さんを紹介してもらうこと自体がいけないことなんです。

 

他にも、弁護士が「悪い提携」をすることはあり得ますが、難しいのは、「良い提携」もあるということです。

 

では「良い提携」って何でしょう?

 

最近、長妻厚生労働大臣がやっていたワンストップサービスは、どの業界でもキーワードの一つとして言われることです。

 

これを、弁護士の仕事でやっていくためには、やはり専門家どうしの協力が必要になってきます。

 

弁護士が引き受ける事件は、個人の問題から企業の問題まで、本当に幅広いので、あらゆる問題の解決を弁護士だけで行うのはムリなんです。

 

不動産を売らなければならない場合には、お客さんをさがすのは不動産業者、売れた時の登記は司法書士にお願いしなければなりません。

 

また、事件によっては不動産鑑定が必要だったり、土地の測量が必要だったりします。

 

その場合には、不動産鑑定士、土地家屋調査士、測量士などとの人脈が不可欠です。

 

この時に,不動産業者・司法書士・不動産鑑定士などが良心的な価格で仕事をしてくれれば、依頼者にとっては,手間が省けるうえ、早く問題が解決できます。

 

そう意味では、人脈をしっかりと持っている弁護士の方が「依頼して安心」ということもあります。

 

でも、逆に、不必要な不動産売却をされてしまったり、仲介手数料が高い場合には、かえって依頼者にとって損なことになります。

 

前の方は「良い提携」、後の方は「悪い提携」となります。

 

私の事務所でもできるだけ依頼者の問題を良い形で解決したいと思っていますので、「良い提携」はこれまでの仕事や付き合いの中で人脈を作り、いざという時に依頼者のお役に立てるように準備しています。

 

ただ、もちろん依頼者の方に知り合いや人脈があれば、そちらを優先していただき、押しつけることは絶対にしないように注意しています。

 

そういう意味では、事前に依頼者の希望をしっかり聞いて、決して押し付けることなく、ニーズに合った司法書士税理士不動産業者などの専門家を紹介していくのが「よい提携」をしてくれる弁護士なんでしょうね。

 

「弁護士のお話」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。

 

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カテゴリー: 弁護士の視点from静岡 |

「連帯」保証の恐怖

寒くなって本格的な冬が来ましたね。

 

皆さんも体調にはお気をつけください。

 

さて「連帯保証」と「ただの保証」とではどう違うんでしょうか?

 

やはり、皆さんの友達がお金を借りるにあたって、皆さんに「決してメイワクをかけないから!」と保証のお願いに来たとします。

 

この友達のように保証される立場の人のことを「主債務者しゅさいむしゃ)」と言います。

 

もともと、保証は、主債務者がお金を返せないような場合に、代わりに返すという性質のものです。

 

ですから、「ただの保証」では、皆さんは次のことが言えます。

 

① 貸した人(債権者)が、友達に請求しないで、いきなり皆さんに請求がなされた場合には、「お金を借りたのは友達なんだから、まず、友達に請求してください!」と言えます。

また、

②債権者が、友達に財産があるのに、いきなりみなさんの財産を差し押さえてきたような場合には、皆さんは、簡単にお金に変えられる財産(例えば預金や株)を友達が持っていることを証明できれば、「先にそっちを差し押さえるべきだ!」と言えます。

 

お金を借りたのは自分ではないのですから、当然のように思えます。

 

でも、「連帯保証」になると、上に書いた①も②も言えません

 

なので、お金を貸した人が、いきなり皆さんに請求してきても、友人にたっぷり財産があるのにいきなり皆さんの預金を差し押さえてきても(預金をおろせなくして、勝手に借金の返済にあてられてしまっても)、何も文句は言えないんですね。

 

その他にも「連帯保証」で、「ただの保証」より債権者に有利なこともいくつかあります。

 

つまり、「連帯保証」は、自分自身がお金を借りたのと同じくらい厳しい保証なんです。

 

そして、世の中の保証の99.9%は「連帯保証」です。

 

事業をやっていたり、生活のために、どうしてもお金を借りなければならない方がいて、保証を頼まれることもあると思います。

 

ただ、その保証人になる場合には、お金を借りた人と運命をともにしても良いと思える場合だけ、連帯保証人として署名するべきでしょう。

 

もし、連帯保証債務が返せなくて困ってしまったら、弁護士にご相談ください。

 

「契約のお話」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。

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