事務所開業の準備

クリスマスも終わってしまいましたね。


ということで、背景をお正月用に変更です。


現在、仕事をやりながら開業の準備をしています。


スチール家具類はどれにするか、イスはどのような形が良いか、コピー複合機はどこで頼むか、OAフロアにするかどうか、封筒や名刺は・・・


やることがとても多いです(汗)。


やはり、相談される方の使うテーブルやイスは良いものを使いたいと思いますし、全体的に事務所が清潔感のあるものにしたいと色々考えています。


当事務所は、1月11日から正式に開業する予定で準備を進めています。


年明けの連休前に荷物の運び込みを完了したいと思っています。


仕事の方は、裁判所が28日に仕事納めなので、裁判の期日は最終でも火曜日で終わりです。

年末年始は少しだけゆっくりする時間を持ちたいと思っています。


【花みずき法律事務所】

 静岡市葵区鷹匠1-4-1 R佐野ビル2

 TEL(054)260-5275

 弁護士 谷川樹史(たにかわ・もとし)


 【パソコンホームページ】 https://www.hanamizuki-law.com

 【携帯ホームページ】 http://katy.jp/hanamizuki-law

カテゴリー: ご報告や雑感 |

独立することになりました!

メリークリスマス!


土曜日がクリスマスということで、色々とイベントをされている方もいるのではないでしょうか。


私は、仕事だけで過ぎてしまうような感じです。


それだけ仕事をいただいていることをありがたいと思わなければならないですね。


ところで、タイトルにありますように、来年1月11日~独立して新事務所を設けることになりました。


事務所の名前は「花みずき法律事務所」としました。


この名前を選んだのは、


花みずきは、静岡市の木に指定されていること


「思いを受け止める」という花言葉から、相談者の方や依頼者の方の思いを受け止められる事務所にしたいということ


が理由です。


ロゴは、ランサーというHPで、公募方式で多くのデザイナーの方に応募していただいた中から選びました。


次のようなロゴとなります。

弁護士のお役立ち情報と雑感@静岡

住所は「静岡市葵区鷹匠1-4-1 R佐野ビル2階」になります。

静岡鉄道の新静岡駅から歩いて3分、JR静岡駅からは歩いて10分と交通の便はとても良いです。

独立するにあたっては、色々と悩みもありましたが、とにかく前向きに、一つ一つの仕事を誠実に進めていきたいと思っています。

また、PCのホームページも作成する予定ですので、アップしたらご報告しますね。

新事務所になってからも引き続き、このブログをご愛読いただけるとうれしいです。

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これって放火になるの?

今回は、刑事事件で、放火について考えてみましょう。

 

これは、本当にあった事件のお話です(横浜地裁昭和58年7月20日判決)。

 

ある男がいました。

 

その男は、妻に家出されて人生に絶望していました。

 

「もう焼身自殺するしかない」

 

そう思った男は、自宅の床の大部分にガソリンを約6.4リットルまき散らしました。

 

作業を終わった男はふと思いました。

 

「妻が帰宅を知らせる電話をかけてくるかもしれない・・・」

 

少しの間待ちました。

 

でも、電話はかかってきません。

 

男は思いました。

 

焼身自殺する前に、タバコを一服しよう」

 

男は、ガソリンが蒸発しまくっている家の中で、ライターを点けました。

 

どうなったかはお分かりですよね。

 

そうです。

 

ラ イターの火は気化したガソリンに引火して、家を全焼させたのです。

 

え?

 

男はどうなったかって?

 

命からがら家から逃げ出したんですね・・・

 

「本当に自殺する気があったのか?!」

 

と突っ込みを入れたくなりますが、それは置いて、男に放火罪は成立するのでしょうか。

 

検察官はもちろん放火罪で起訴しました。

 

これに対して弁護人は、次のように反論しました。

 

① ガソリンをまいた行為自体は放火を開始する行為放火罪実行の着手)とまでは言えないし

② 男がライターに火を点けたのは、タバコを吸うためで、家に放火するためではない

として、そもそも故意放火をしようとして火をつける行為」(放火罪の実行の着手)が無いとして、放火予備罪にとどまると主張しました。

 

皆さんが裁判員だったら、どう判断しますか?

 

結論から言うと、この判決では放火罪認めました

 

正確に言うと、現住建造物放火罪げんじゅうけんぞうぶつほうかざい)という犯罪を犯したことを認めたということです。

 

放火罪の実行の着手(放火行為の最初の時点)を厳しく見ると、弁護人が主張したように、ガソリンをまいただけなので、放火行為自体はまだ始まっていないことになりそうです。

 

しかし、判決では、「実行の着手」をもう少しゆるく考えました。

 

放火罪の実行の着手には、火災が起きる現実的な危険のある行為を、故意に開始しなければなりません。

 

そして、この事例では、家に火をつけようとしてガソリンを約6.4リットルも床の大部分にまき散らした時点で、火災がおこる現実的な危険があると考えたのです。

 

その理由として

① まかれたガソリンの量が6.4リットルと多量であること

② ガソリンが床の大部分にまかれていたこと

③ ガソリンをまいた結果、ガソリンの臭気が室内に充満し、男はまばたきをしなければ目もあけられない状態だったこと

をあげています。

 

放火」という言葉の自然な意味からは、何らかの方法で火をつけなければ、放火行為は始まらないようにも思えます。

 

でも、この判決では、「ガソリンを多量に室内にまいたこと」で放火行為は始まったとしたのです。

 

刑法は、人を罰するという強い効果を持つので、より厳格に解釈しなければならないという原則があります。

 

そこから見ると「放火」の始まりを、ガソリンをまいた時とするのは早すぎるという批判もありそうです。

 

でも、判決では、実質的に火災が起きる危険性を考えた結果、このような結論になったということでしょう。

 

皆さんは、どちらが正しいと思いますか?

 

裁判員になられたら、悩むところだと思います。

 

刑事弁護についての基礎知識についてはこちらをご参照ください。

 

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弁護士の仕事の進め方

12月になりますが、静岡ではまだ「本当に寒い!」という日はありません。

 

暖かい冬は歓迎ですが、寒くないと師走の雰囲気が出ませんね。

 

私は、サラリーマンの経験があるので、つい弁護士の仕事の進め方と、以前の仕事の進め方とを比べてしますことがあります。

 

普通、複数人が仕事をする時には、組織的な仕事の進め方をイメージします。

 

それぞれ分担を決めたり、会議をして進め方を検討したりしますよね。

 

ところが、弁護士の仕事をして、余りに組織的でないことに当初は驚きました。

 

弁護士が複数いる事務所では、弁護士同士が、仕事の進め方について不安や疑問に思うことを個別に意見を聞くことはあります。

 

しかし、企業や公共団体のように、問題ごとに会議で方向性を決めて、個別に行う時も、起案・報告という形でミスをなくしたり、知識を共有化することはありません。

 

ですから、共同事務所でも、お引き受けした仕事の内容は、担当した弁護士だけが知っていて、他の弁護士は全く分からないということがほとんどなんです。

 

ということは、弁護士に依頼するときには、「事務所で選ぶというよりも、「弁護士で選ばなければならないということです。

 

テレビでコマーシャルをしている東京の事務所では何十人もの弁護士が所属していたりしますが、どの弁護士にあたるかは自分では決められません。

 

また、どの弁護士が適切なのかは分かりません。

 

ですから、大型事務所であろうと、個人事務所であろうと、弁護士を選ぶときには、法律相談を「お試し商品」だと考えて、実際に弁護士に会って、相性はどうか、頼りになりそうかを検討すべきだと思います。

 

「弁護士のお話」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。

 

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カテゴリー: 弁護士の視点from静岡 |

離婚後の名字はどうなるの? 死別の場合との違いは?

ブログを初めて何とか1年経過しました。

 

何とか1年継続できたのも、ご愛読いただいている読者の皆様のおかげです。

 

さて、今日は、結婚が終了した場合と名字の関係について説明してみたいと思います。

 

結婚が終了する場合ってどのような場合でしょうか?

 

それは、①離婚②配偶者の死亡です。

 

その場合に名字はどうなるのでしょうか。

 

例えば、結婚して妻が夫の名字に変更したとします。

 

その後、妻が、夫と離婚した場合と、夫と死別した場合とで、名字の取り扱いが違うんです。

 

まず、夫と離婚した場合には、放っておくと名字旧姓に戻ってしまいます

 

結婚している期間が長くて、名字を戻すと不便な場合や、子供のために名字を戻したくない場合には、妻が市町村役場へ届出をしなければなりません。

 

離婚の際に称していた氏を称する届出」という届出を市町村役場へ提出する必要があります。

 

この届出には離婚の時から3ヶ月以内という期間の制限があるので忘れないように注意する必要があります。

 

では、夫が死亡したことにより、結婚が終了した場合はどうでしょうか。

 

この場合には、逆に、原則として名字は旧姓に戻りません

 

ただ、夫が死亡したので、旧姓に戻したいという気持ちがある場合には、復氏の届出市町村役場へ提出することで、旧姓に戻ることができます

 

どうしてこのように、離婚死別を区別したのでしょうか?

 

離婚する時には「夫の名字なんか名乗りたくない!」というのが普通なので、原則として旧姓に戻すことにしたのでしょう。

 

逆に、死別の場合にはそのような気持ちは無いので、原則として旧姓には戻さないことにしたのです。

 

民法は、人の日常生活を規律する法律なので、「普通はこのようにするだろう」という推測のもとに規定されていることが多いんです。

 

離婚の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。

 

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カテゴリー: 離婚のお話 |

お金が無いと保釈されない?

今日から12月ですね。

 

あっという間に1年がたってしまいます。

 

今のところ、例年より寒さは厳しくないようですが、最近の気候だと、いきなり冷えそうなので要注意です。

 

保釈ほしゃく)という制度を聞いたことがあるでしょうか?

 

これは、起訴された後勾留中被告人について、裁判所身体拘束の解放を請求をしていくことを言います。

 

有名人がつかまった時には、数千万円の保釈金を支払って、保釈されたりすることもありますよね。

 

「やっぱり世の中お金が全てなんだ」

 

なんて思われる方もいると思います。

 

確かに、保釈にはお金が必要です。

 

これは、保釈金というお金を預けさせて、逃げて裁判に出てこない場合には、これを没収することとして、逃げさせないようにするという制度です。

 

お金の価値は人によって違いますから、お金がたくさんあるような人の場合には、保釈金を高くして、「没収されると困るから逃げないようにしよう」と思わせるんです。

 

保釈金の額ですが、だいたい120万円~150万円程度が最低の金額になります。

 

どんな軽い罪に思えても、最低でその程度は必要なことが多いです。

 

ですから、本当にお金が無い人は保釈金を払うことができないことになります。

 

ただ、被告人の身内など、親身になってくれる人がいる場合には、「日本保釈支援協会」という所に申し込んで保釈金を一時的に借り入れることもできます。

 

もっとも、お金さえ積めば保釈が得られるのではなく、やはり逃げる恐れが強い場合や、証拠を隠滅する可能性が高い場合には、お金を積んでも保釈されません。

 

裁判の傾向としては、最近は、昔よりも保釈が認められることが多くなって来ているようです。

 

刑事弁護についての基礎知識についてはこちらをご参照ください。

 

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カテゴリー: 刑事事件のお話 |

俺は無実だ!?

刑事弁護をやっっていると、時々否認ひにん事件にあたることがあります。

 

否認事件と自白事件については以前のブログでご説明しましたよね。

 

つまり、否認事件というのは、被告人被疑者)が疑いをかけられている犯罪を「やっていない」と否定している事件のことです。

 

事件の数から言えば、自白事件、つまり、犯行を認めている事件の方がはるかに多いのですが、やはり、否認事件もあったりします。

 

ここで、弁護人から見ても「ひょっとしたら無罪かも」と思えるような事件であれば、あまり問題ありません。

 

被告人に不利な事実は争い、有利な事実は主張していけば良いんです。

 

ところが、弁護人から見て「どう見ても有罪」としか思えないような事件の場合は困ります。

 

例えば、窃盗事件で、被告人は「無罪だ!」と主張しているのに、

窃盗の被害品は被告人が持っていて、

防犯カメラにもバッチリ被告人が写っている上、

目撃証人もいるような場合です。

 

このような場合、被告人の言うとおり無罪の主張をすると、裁判官からは「反省の色が見られない」として、重い量刑をされる可能性があります。

 

かといって、弁護人は被告人のために行動しなければならないので、被告人が「無罪だ」と言っているのに、有罪を前提として「反省しています」などとは言えません。

 

こんな場合、真実を法廷で明らかにする義務真実義務)と被告人を擁護する義務弁護義務)という弁護人の2つの義務が衝突します。

 

では、どうすれば良いのでしょうか。

 

まずは、被告人とコミュニケーションをしっかりとることが大切です。

 

そして、次のことを説明していきます。

 

① この事件では、証拠からみて有罪になる可能性がとても高いこと

② 否認し続けると不利な情状として、重い刑もあり得ること

③ 素直に認めて反省の情を示した方が裁判が速く終わる可能性もあること

です。

 

これらの事情を説明して説得を図っても、被告人が無罪の主張をやめない場合はどうすれば良いのでしょうか。

 

そのような時は、やむを得ず、被告人意思に沿って無罪主張をするしかありません。

 

例えば、

被害品は誰かからもらったもの、

防犯カメラの画像は別人、

目撃証人は見間違い

というような主張を、無理な主張だと思いつつしていくしかないんです。

 

皆さんが裁判員になって、不合理と思われる主張を一生懸命している弁護人を見たら、事情があるとわかっていただけるとうれしいです。

 

刑事弁護についての基礎知識についてはこちらをご参照ください。

 

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研修会の講師

来月の10日、久しぶりに講師をやることになりました。


宅地建物取引主任者の資格を持っている方の法定講習会の講師です。


不動産に関する権利について、民法を中心に話しをする予定です。


実は、私は弁護士になるための試験(司法試験)の勉強をしているときに、公務員試験対策予備校の講師をしていました。


教えていた科目は、民法・憲法などです。


生徒の数は、多い時で60人くらいいました。


「何とか公務員試験に合格したい!」という熱意を持った生徒と向き合う授業は、やりがいがありました。


今回の講習会では、資格を持って不動産業を実際にされている方だけでなく、銀行にお勤めの方や主婦まで幅広い方が対象となるとのことです。


どれだけ分かりやすく伝えられるかがんばりたいと思います。


法律というと、「取っつきにくい」「難しい」などというイメージがありますよね。


法律は人間同士の関係を調整することが目的ですから、本来、誰にでも理解できるものであることが望ましいです。


ただ、曖昧な内容にならないよう、正確性を意識すると、回りくどい言い方や難しい表現になってしまったりするのです。


例えば、民法では、不動産を「土地及びその定着物」と定義しています。


「土地及び建物」と定義した方が分かりやすそうですよね。


でも、そうすると


樹木はどうか?

土地に固定されている庭石はどうか?


という問題が出てきてしまいます。


そこで、色々な物が土地の上にあることを考慮して、土地に「定着」している物を不動産としているのです。


樹木や固定された庭石は、土地の「定着物」として、土地の一部としての不動産となるということですね。


法律を分かりやすく伝えるということは、このブログの目的でもあり、今後も継続していきたいと思っています。


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契約が守られなかった場合にできること~3

前回、②履行不能(りこうふのう)について説明しました。

 

今回は、③不完全履行(ふかんぜんりこう)について説明したいと思います。

 

不完全履行の場合には、追完が可能かどうかによって分けて考えます。

 

追完というのは、契約などの目的物に欠陥がある場合に、契約後に完全なものと取り替えることを言います。

 

例えば、新車を購入したのに、エンジンが動かなくなったという場合に、別の新車を納入してもらうなどです。

 

まず、追完が可能な場合には、追完の請求ができます。

 

先ほどの例だと、新しい自動車を再度納入してもらうことです。

 

では、不完全履行で追完が不能な場合はどうでしょう?

 

例えば、皆さんが世界に5本しかないワインを購入したところ、運んでくる途中でそのうち2本が割れてしまった場合です。

 

同じワインを2本調達して追完するのは無理ですよね。

 

結局、一部が履行不能ということになります。

 

そこで、皆さんは履行不能と同様に、壊れたワインに代わる損害賠償請求をすることができます。

 

まだ代金を支払っていない場合には、その支払いを免れているのですから、その分は差し引いて損害を計算していくことになります。

 

「契約のお話」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。

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契約が守られなかった場合にできること~2

ハロウィンも終わりましたね。

 

もう11月、紅葉の季節に入っています。

 

前回、履行遅滞(りこうちたい)について説明しました。

 

今回は、②履行不能(りこうふのう)について説明したいと思います。

 

履行不能とは、契約で定めた約束を果たすことが不可能という意味です。

 

ただ、最初から履行が不可能だと契約は成立しません。

 

これを原始的不能(げんしてきふのう)と言って、契約は無効となります。

 

ですから、履行不能というのは、契約の時には約束を果たすことが可能だったのに、その後に約束を果たせなくなった場合を言います。

 

例えば、中古車を皆さんが購入したとします。

 

契約をした時には、確かに自動車はあったのですが、中古車ディーラーがもっと高く買ってくれる客を見つけたとします。

 

中古車ディーラーとしては、少しでも高く売りたいですから、その客に売ってしまい、名義変更も済ませてしまったとします。

 

そうすると、その中古車ディーラーは、皆さんに自動車を売却して名義を皆さんのもににすることは、常識的に見て不可能ですよね。

 

この場合を、契約の履行が社会通念上不可能となったとして、履行不能となるのです。

 

これに対して、契約の時には既に誰かに売却して、名義変更済みという場合は、原始的不能となって、中古車の売買契約自体が成立しないことになります。

 

では、履行不能となった場合に皆さんは何が言えるのでしょうか?

 

まず、契約の解除をすることができます。

 

この場合には、履行は不能ですから、履行遅滞の場合のように期間を定めて履行を催告する必要はありません。

 

そして、本来の給付、つまり中古車を引き渡すという給付は不能なので、消滅します。

 

そこで、皆さんは本来の給付に代わる損害賠償請求をすることができます。

 

そうすると、中古車の価値に相当する請求ができますが、皆さんは代金を支払わなくて済んでいるので、その分を差し引く必要があります。

 

そうすると、結局、自動車の引き渡しが不能になったことにより、皆さんが自動車を利用できなかった不利益を損害賠償請求することになります。

 

「契約のお話」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。

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