ツイッター始めました

桜も葉桜に変わってきたので、背景も変えてみました。

 

もうすぐゴールデンウィークですね。

 

ついこの前年が明けたばかりと思ってしまうのは、齢をとった証拠でしょうか。

 

さて、最近、ソーシャルネットワークに関するセミナーに参加して、ツイッターやフェイスブックの利用方法や楽しさを教えてもらいました。

 

セミナーでのパネリストや参加者の方々が、とても楽しそうに使っているのを聞いて、「これは、やらないと損かも」と先週からツイッターを始めました。

 

一つのつぶやきに、複数のコメントがついていくと、ネット上で簡単な世間話ができて和めます。

 

リアルで世間話をするには、お互いの時間を調整しなければなりませんが、ツイッターだと、お互いに空いている時間を使って話しができるのも魅力です。

 

ブログの更新やちょっとしたマメ知識をつぶやいています。良かったらフォローしていただければ幸いです。

https://twitter.com/shizu_hana_law

 

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【花みずき法律事務所】

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 弁護士 谷川樹史(たにかわ・もとし)

カテゴリー: ご報告や雑感 |

派遣のしくみは労働者を弱くさせる?

らしい陽気になってきましたね。

 

桜の花も見頃です。

 

3月よりは花粉の量も減ったようで、少しは過ごしやすくなりました。

 

さて、今回は派遣について考えてみたいと思います。

 

法律的に見て、派遣契約の特別な所ってなんでしょう?

 

その一つは、実際に働いている企業の事業主と雇用契約(労働契約)を結んでいない所です。

 

派遣の場合、労働契約は、派遣元(派遣をしている事業主)との間でします。

 

派遣先(実際に働いている企業の事業主)との間では、労働契約はしていないんですね。

 

このような派遣という雇用の形は、派遣元が賃金を搾取したり、自社の従業員でないということで、派遣先での労働環境が悪かったりする危険があります。

 

実際に、過去にはそのような歴史があったので、法律で事業の許可・届出制を定めるなど、様々な規制がなされています。

 

法律の名前は、次のとおり、ちょっと長いです。

 

「労働者派遣事業の適性な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」

 

略して「労働者派遣法」と呼んだりします。

 

派遣労働者は、原則として正社員ほどの労働は求められない代わりに、その地位は弱いです。

 

例えば、派遣元のA社と労働契約をしていたXさんが、派遣先のY社で働いていた場合、Y社で仕事が無くなれば、Y社は簡単にXさんをやめさせることができます。

 

Y社の従業員をやめさせるのであれば、解雇にあたるので、観的に合理的な理由が必要です。

 

例えば、

会社の業績が非常に悪くなって、どうしても従業員を減らさなければならないとか、

従業員が会社のお金を横領するなどの悪質な犯罪をした場合などに限られます。

 

ところが、派遣の場合には、XさんとY社との間には、労働契約はありません。

 

ですから、Y社がA社との間でした人材派遣契約の期間が経過すれば、Y社は「もう更新しません。」と言うことができるんですね。

 

このような派遣の形を利用して、派遣社員なのに従業員と全く同じ仕事・ノルマを課したり、残業をさせたりする例もあるようです。

 

もし、Xさんが正社員と全く同じ労働をするのであれば、Y社と雇用契約を結ぶことが望ましく、Y社も賃金や福利厚生も考慮しなければなりません。

 

逆に、Xさんが、正社員とは違う一時的な仕事や簡単な仕事をさせるのであれば、賃金が安くて雇用が一時的でもやむを得ないでしょう。

 

このように、派遣社員と正社員とでは、法律的な契約の形も、実際の勤務内容も違うのですが、その区別が不明確なこともあります。

 

そこで、そのような場合に、派遣先Y社派遣社員Xさんとの間には「黙示の労働契約」があったと言えないかが争われることになります。

 

「黙示の労働契約」の具体例については、また機会をみて、裁判例をひきながらお話できればと思います。

 

労働問題のブログ過去記事についてはこちらをご参照ください。

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カテゴリー: 労働事件のお話 |

研修医って「労働者」なの?

静岡市内でも、桜が咲き始めました。

 

事務所から裁判所へ行く途中に、駿府公園(すんぷこうえん)という公園があります。

 

県庁や国の合同庁舎・裁判所がお堀沿いに建っていて、お堀の中心がその公園になっています。

 

駿府公園でも、桜のつぼみがほどけ始めて、三分咲きというところです。

 

今のところ、寒いせいか、自粛のためか、お花見をしている姿は見かけません。

 

静岡市内では、今週末あたりが、桜の花が見頃になるのかもしれません。

 

さて、弁護士をやっていると、労働問題の相談を、労働者側、使用者側両方から受ける機会があります。

 

法律相談や知人から、労働者としての立場の相談を受けたり、顧問先の企業や団体から使用者としての雇用の相談をされたりします。

 

実際の事案でも、X側・Y側両側の利益を考えていくと、バランスの良い判断ができると思います。

 

では、今回も「労働者にあたるか否かについて、引き続き考えていきたいと思います。

 

有名な事案として、研修医が「労働者にあたる否が争われた裁判があります。

 

 医師の場合、医師国家試験に合格しても、すぐに一人前の医師として活動することはなく、2年以上実地の研修を受けなければなりません。

 

この研修医という地位が、教育関係なのか、労働関係なのかが争われました

 

事案を単純化すると、次のようになります。

 

Xさんは、医師国家試験に合格して、Y大学病院の耳鼻咽喉科に研修医として研修を受けていました。

 

Y大学病院からXさんには、月額6万円の奨学金と1万円の副直手当が支給されており、それらの支給にあたっては、源泉徴収もされていました。

 

この裁判例は平成17年のものですから、支給額は、あまりに低いですよね。

 

Xさんも、そう思って、「最低賃金法の定める賃金よりも低いのはおかしい」として、最低賃金と実際に支給された額との差額の請求をY大学病院にしていったのです。

 

そこで、そもそも研修医が、最低賃金法適用される労働者なのかが問題となりました。

 

Y大学病院は、「研修医は、教えてもらう立場に過ぎず、賃金をもらって、その対価として労務(治療行為)を提供する立場ではない」と主張したんですね。

 

これに対して、最高裁は、「労働者としての地位を認めて、Xさんの請求を認めました。

 

その理由は、次のようなものです。

 本件での臨床研修のプログラムが研修医が医療行為等に従事することを予定していること

→ 単なる教育を受けるだけの立場ではなく、医療行為という労務提供することが予定されている。

 

 Xは本件病院の休診日を除き、Yが定めた時間及び場所において、指導医の指示に従って、Y大学病院が患者に提供する医療行為に従事していたこと

→ Y大学病院との指揮監督関係の下、実際に医療行為という労務提供していた

 

 Xに対する奨学金・副直手当の金銭の支払いにあたって、Y大学病院は源泉徴収をしていたこと

→ 奨学金・副直手当は、賃金と同じように見ることができる。

 

以上の事情から、研修医Xさんは、Y大学病院の医療行為に従事して、その対価として賃金をもらう「労働者」と認められたんですね。

 

しかし、研修医の待遇の悪さにはびっくりです。

 

労働問題のブログ過去記事についてはこちらをご参照ください。

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カテゴリー: 労働事件のお話 |

労災保険が欲しいけど・・・

福島第一原発は、制御室に電気が通ったということで一歩前進ですね。

 

今後、放射性物質を含んだ水を処理するのに一定の時間が必要なようですが、危険の除去に向かって、一歩一歩進んでいって欲しいものです。

 

さて、これから、裁判の事例をもとにお話をしていくことになりますので、分かりやすいように登場人物の呼び方を決めさせてください。

 

裁判の当事者のうち、原告訴えた側)をX、被告訴えられた側)をY、それ以外の登場人物をA・B・Cなどと呼んでいきます。

 

市販の判例集などでも、そのような記載がされているので、これに慣れて損はないと思います。

 

今日は、「労働者」として、労災保険の医療費や休業時の給与の補償がもらえるかが争われた裁判を考えていきましょう。

 

事案としては、次のようなものです。

 

Xさんは、自分の所有するトラックを使って、運送の仕事をしていました。

 

Xさんの仕事は、A会社の工場で、A会社が指定する製品をトラックに積んで、A会社が指定した運送先に、決められた納入時刻に運ぶことでした。

 

ある日、Xさんは、A会社の工場内で、トラックに製品を積み込む作業をしていた時に、転んで怪我をしてしまいました。

 

Xさんは、A会社の「労働者」として働いていた時に怪我をしたのだから、労働災害として、医療費や休業時の給与分の補償が欲しいと請求しました。

 

請求先は、Y労働基準監督署長(横浜南労働基準監督署長)です。

 

でも、Y署長は、Xさんは、A会社に雇われていたのではなく、運送の請負契約をしていたに過ぎないからA会社の「労働者」ではないと判断しました。

 

Xさんの請求が認められなかったことから、XさんはY署長を相手に「不支給の処分の取り消し」を求めて裁判を起こしたんですね。

 

第1審では、Xさんの請求を認めましたが、次の控訴審では、Xさんの請求は認められませんでした。

 

そこで、Xさんは、最高裁判所に上告しました。

 

結論としては、最高裁は、Xさんは「労働者」にあたらないとして、Xさんの請求を認めませんでした

 

「労働者」といえるためには、使用者との間に、指揮監督関係が必要です。

 

確かに、Xさんは、A会社の専属の運送人として製品を運び、A社の指示を拒否する自由はなく、勤務時間も事実上A社の指示によって決まっていました。

 

でも、次の理由で、A会社の「労働者」とは言えないと判断しました。

 

 A社は、運送物品、運送先及び納入時刻の指示をしていた以外は、Xさんの業務に対して特に指揮監督をしていないこと

 

 時間的・場所的な拘束の程度も、A社の一般の従業員と比べてはるかに緩やかであったこと

 

 報酬が運送量・運送距離によって定まる出来高払いだったこと

 

 所得税の源泉徴収や社会保険・雇用保険の控除がなされていなかったことなどからです。

 

は、従業員(「労働者」)であれば、次のようになるのが普通です。

 

 雇い主が、仕事について指揮監督をしている。

 

 勤務時間・勤務場所がしっかりと定められている。

 

 給与は、運送量や運送距離とは関係なく一定の額が支払われている。

 

 所得税の源泉徴収などが給与から控除されている。

 

このような事実が無いことから、最高裁は、Xさんは「労働者」ではないと判断したんですね。

 

労働問題のブログ過去記事についてはこちらをご参照ください。

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カテゴリー: 労働事件のお話 |

「労働者」と「使用者」

最近、刑事事件を引き受けていませんでした。

 

2~3年前だったら、常に何件かの刑事事件をやっている状態が多かったのですが、ここ3か月くらい刑事事件がありませんでした。

 

「静岡県中部地域は、犯罪が少ないようで結構なことだな~」

 

そう思っていたら、久しぶりに昨日、「被告人国選事件」(起訴後に弁護人が選任される事件)がまわってきました。

 

久々の刑事事件なので、記録をていねいに読もうかと思っています。

 

さて、今回からは、雇用労働のお話をしたいと思います。

 

あえて雇用」「労働とタイトルを入れたのは、使用者雇う側)と労働者働く側)両方の視点から考えていきたいという理由です。

 

弁護士の仕事をしていると、色々な立場に立ちます。

 

交通事故では、被害者側と加害者(保険会社)側。

 

医療過誤では患者側と医者側。

 

そして、労働事件では、労働者側と使用者側。

 

おおざっぱに言うと、交通事故の被害者側、医療過誤の患者側、労働事件の労働者側というのが、弱い立場の権利保護の性質があって共通しています。

 

そうすると、ある事件では一方の立場で主張をし、他の事件では他方の主張をするというのは矛盾するようにも思えます。

 

でも、常に一方の立場だけが保護されれば良いとは限りません。

 

例えば、労働事件で、労働者の権利を守ることも大切ですが、それに偏りすぎると、使用者の利益=会社の利益を損なってしまいます。

 

会社が傾いては、かえって労働者の不利益にもなってしまいます。

 

ですから、このブログでは、できるだけ、使用者労働者両方の利益を考えながら、お話をしていけたらと思っています。

 

私は、実際の事件を扱う場合にも、どのような立場にたっても、しっかりした仕事ができる弁護士を目指したいです。

 

色々な立場で事件を経験した方が、自分の人間としての視野も広がると思っています。

 

さて、雇用と労働に関する法律は数多くのものがあります。

 

労働三法」と呼ばれる①労働基準法・②労働組合法・③労働関係調整法や労働者災害補償保険法・最低賃金法など色々な法律があります。

 

その多くが、労働者の利益を保護するためのものです。

 

なぜなら、歴史的に見て、労働者は、使用者の命令に逆らえない弱い立場にあったので、法律でその権利を保護しなければならないからです。

 

そうすると、「労働者」にあたる人は様々な法律で保護されますが、「労働者」あたらない場合には、保護されないことになります。

 

そこで、「労働者」にあたるか否かが裁判で争われています。

 

労働問題のブログ過去記事についてはこちらをご参照ください。

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カテゴリー: 労働事件のお話 |

遺言を「偽造又は変造」した人でも相続することってできるの?

東日本大震災の被災者の方々には、心よりお見舞い申し上げます。

 

何か出来ることはと言っても、募金程度しかできないので、インターネットや弁護士会を通じて、微力ながら協力しています。

 

昨晩は、静岡県東部を震源とする地震もありました。

 

静岡市内も震度4ということで、相当揺れました。

 

不安定に積んであった本などが崩れる程度ですんだのが、不幸中の幸いですが、今後も、静岡でも地震対策を考えていかなければなりません。

 

さて、相続関係のお話ということで、今回は相続権遺言のお話をさせてください。

 

遺言書を偽造したり変造したりした場合に、相続権を失うことは以前にもお話したことがあったと思います。

 

例えば、夫と一緒に同居していた妻が、亡くなるまで夫の面倒を十分に見ていたとします。

 

ところが、夫が死亡して遺言書を発見したら、先妻の子に多額の遺産を贈る内容でした。

 

妻としては、納得いかないでしょう。

 

このような場合に、遺言書の内容を勝手に変造して、先妻の子に遺産が行かないようにすると、相続欠格(そうぞくけっかく)と言って、相続権を失うんです。

 

では、遺言の変造が、被相続人(遺言をした人)の意思を実現させるためだった場合にも相続権を失うのでしょうか。

 

裁判では次のような事例が問題となりました。

 

Aさんが死亡したところ、Aさんが自筆で遺言を書いていましたが、これには署名に続いての押印が無く、文書中の訂正箇所の訂正印もありませんでした。

 

自筆で書いた遺言は、全文を本人が書いて、署名・押印する必要があります。

 

また、訂正箇所には、押印もする必要があります。

 

ですから、このような要件をみたしていない遺言は無効です。

 

そこで、Aさんの妻だったBさんは、押印や訂正印をしてしまったんですね。

 

そこで、Aさんの先妻の子共であるCさんが、「Aさんは遺言を変造したから相続権は無い。」と争ったんです。

 

確かに、無効だった遺言に印を押して、有効な遺言に代えるのは遺言の「変造」にあたります。

 

でも、この事案では、Bさんは自分に有利に遺言の内容を変えてしまったわけではありません。

 

Aさんの意思とおりの遺言を実現するために、不足していた印鑑を押しだけです。

 

そこで、最高裁判所は、このようなBさんの行為は、相続欠格の事由である「偽造又は変造」にあたるとしつつも、Bさんは相続欠格者にはあたらなとしました。

 

つまり遺言の「偽造又は変造」にあたるような行為を相続人が行っても、

相続人が被相続人(相続される人)の意思を実現させるために、その法形式を整える趣旨で行った場合

には、その相続人は相続欠格者にはあたらないとしたんです。

 

結局、Bさんが自分に有利に遺言を変造したのではなく、Aさんの意思はそのままに、押印だけを追加した点を重視したのだと思います。

 

なお、遺言はAさんが死亡後に、Bさんが偽造又は変造したものですから、遺言無効であることは変わりなく、法定相続分に従って遺産は分けられることになります。

 

いずれにしても、自筆の遺言を発見したら、家庭裁判所に検認の申し出をするとともに、内容には一切手を加えないことが大切だということはご承知しておいていただければと思います。

 

相続の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。

 

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カテゴリー: 相続のお話 |

どんな事情があれば相続権を奪うための廃除ができるの?

今日は、昼は事務所で打ち合わせと掛川市役所の法律相談、夜は破産した富士ハウスの問題について、プロジェクトチームの検討会です。

 

掛川市は、静岡県の西部にある市で、静岡県の真ん中にある静岡市からは、自動車で高速道路を使って約50分くらいの距離です。

 

天気が良いので、ドライブするつもりで運転していきたいと思います。

 

さて、前回、廃除のお話をしたので、その内容を裁判例から考えてみたいと思います。

 

廃除」というのは、相続人(相続される人)の申立や遺言によって、相続する人から、相続権を全て奪うという制度です。

 

相続人として、言でも奪えない最低限の取り分遺留分いりゅうぶんまでも奪ってしまうので、とても厳しい制度です。

 

ですから、裁判例でも、廃除を認める場合には要件をかなり厳しく判断しています。

 

廃除が認められた裁判例としては、次のようなものがありました。

 

娘が中学校から高校にかけて、家出、退学、犯罪性のある者等との交友などをして、少年院にも入れられて親にとても迷惑をかけました。

 

その後、娘は、様々な男性との交際・同棲などを経て、複数の前科のある元暴力団員と結婚してしまいました。

 

あげくの果てには、父母が婚姻に反対なのに、父の名を勝手に使用して披露宴の招待状を出してしまったという事例です。

 

この事例では、裁判所はギリギリですが、父親からの廃除請求を認めました

 

ところが、父親の財産を事実上横領していても廃除が認められなかった事例があります。

 

Aさんは甲会社の代表取締役をしていました。

 

Aさんの子であるBさんは、甲会社の取締役だったのですが、その地位を利用して、甲会社の財産を5億円以上も横領してしまいました。

 

もちろん、Bさんは捕まって、懲役5年の刑務所行きです。

 

さて、このような悪い行為をしたBさんに対して、Aさんからの推定相続人の廃除請求は認められるのでしょうか?

 

このような場合でも、東京高等裁判所は、廃除を認めませんでした。

 

理由としては、

 

①Bさんが横領したのは、Aさん自身の財産ではなく、甲会社の財産であること

 

②甲会社が資本金24億円もの大手企業であり、Aの個人企業類似のものではないこと

 

③Bさんの行為が、甲会社の建て直しを妨害するためなど意図的なものとは認められないこと

 

などをあげています。

 

Aさんの気持ちとしては、自分が代表取締役(社長)をつとめる会社の財産を横領されれば、Bさんを廃除したいかもしれません。

 

それでも、Aさんに対する「著しい非行」という廃除の要件をみたすには、甲会社の財産を横領した程度では足りないとしたんですね。

 

Aさんの財産そのものを横領していれば、違った結果になっていたかもしれません。

 

いずれにしても、裁判例では、廃除を認めるには、相当厳しい判断基準をとっているようです。

 

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カテゴリー: 相続のお話 |

浮気した妻の相続権を奪うことはできるの?

今日は土曜日ですが、仕事に出てきています。

 

今週で「プリズン・ブレイク~セカンドシーズン」を最終話まで見てしまいました。

 

「拘束からの脱走というのは人間の本能なのかも」などと、弁護士にあるまじき?感慨にふけってしまいました。

 

刑務所からの脱走ものには他にも「ショーシャンクの空に」など名作がありますよね。

 

原作の「刑務所のリタ・ヘイワース」を先に読んだのですが、スティーブンキングの筆力に負けないすばらしい映画だと思いました。

 

さて、これからしばらくは、相続に関する裁判のお話を続けたいとおもいます。

 

浮気した妻(夫)の相続権を奪う方法はあるんでしょうか?

 

続権を奪う制度としては廃除(はいじょ)」という制度があります

 

廃除というのは、相続人(相続する人)が被相続人(相続される人)に対して虐待・侮辱をしたり、著しい非行があった時に、家庭裁判所の審判で相続権を奪うという制度です。

 

例えば、親が子供からひどい虐待を受けたとします。

 

この場合、親は遺言で「福祉団体に全財産を寄付する。」と書けば子供に相続させないことができるように思えます。

 

でも、子供には遺言でも奪えない権利(これを遺留分(いりゅうぶん)と言います。)があって、本来の相続分の2分の1は相続されてしまうんです。

 

そこで、その遺留分すら奪うことができる制度として、「廃除」が定められたわけです。

 

では、妻(夫)が浮気した場合、相続人の著しい非行があったとして、妻(夫)を相続人から廃除することができるでしょうか?

 

裁判で争われた事例は、妻が他の男性と同棲して内縁関係になってしまったところ、夫が妻の廃除を家庭裁判所に求めたというものです。

 

この場合、廃除しなくても、離婚すれば良いようにも思えます。

 

妻の浮気は離婚事由ですし、離婚すれば妻の相続権は全く無くなります。

 

この点を重視して大津の家庭裁判所は、「廃除を認める必要はない」として申立を認めませんでした。

 

これに対して、夫は、「夫婦としての関係はまだ続けるが、相続はさせたくないという場合もあるはずだ」として、争いました。

 

そうしたところ、大阪高等裁判所では、その主張が認められたんですね。

 

離婚廃除とは、それぞれ別個の制度であって、そのいずれを選択するかは夫の自由だという判断です。

 

このように自由に選択を認めるのが裁判例・通説の考え方のようです。

 

ちょっと細かいお話になりますが、自由な選択を認める実務的な意味は次のようなケースで生じます。

 

夫の余命が残りわずかな時に、妻が浮気をしたという場合です。

 

この場合、浮気して出て行った妻に、夫が「財産を相続させたくない」として、離婚訴訟を起こしても、判決前に夫が死亡してしまえば、訴訟は終了してしまいます。

 

もちろん、判決が出ていない以上夫婦関係はそのままですので、妻は夫の財産を相続できてしまいます。

 

ところが、夫が廃除審判を申し立てていたり、こっそり遺言廃除の意思を明確に示していた場合には、結果が異なります。

 

廃除の審理中に夫が死亡した場合でも、夫の地位を遺産管理人(家庭裁判所が選任)が受け継いで、審理は続きます。

 

そして、廃除の審判がなされれば、夫が死亡した時にさかのぼって廃除の効力が生じます

 

ですから、妻は相続権を奪われ、夫の財産を相続できなくなるんです。

 

このように、自分の命が残りわずかだと知った夫の復讐は、離婚訴訟を起こすよりも廃除の申立の方が良いんですね。

 

このような事件だと、夫婦ともに不幸なので、実際に関わったら重い気持ちになるんでしょうね・・・

 

相続の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。

 

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カテゴリー: 相続のお話 |

弁護士のなれ合いってあるの?

スギ花粉の量が急激に増えたようです。

 

静岡は全国的にもスギ花粉が飛ぶ量が多い上に、今年は特に多い年ということで、去年の薬が効きません。

 

私は、眼に特にひどい症状が出ています。

 

針でちくちく刺されているような痛がゆさが続いて、集中力が落ちてしまいます。

 

先週の金曜日に薬を変えてもらって、やっと通常の状態に戻りました。

 

さて、今回は弁護士の仕事内容で、皆さんが心配されるだろう事についてお話ししたいと思います。

 

弁護士の仕事をしていて良く聞かれることの一つに次のような質問があります。

 

知り合い弁護士訴訟対決するのって、やりにくくないですか

 

はっきり言われる方だと、

 

「知り合い同士だと、訴訟なんかで、なれ合いにならないんですか?」

 

実は、もともと仲の悪い弁護士同士が対決する形になると、依頼者にとって決してトクはありません。

 

訴訟は戦いだから、仲が悪くても良いと思われる方もいるかもしれません。

 

でも、弁護士仕事感情が入ると相手に意地悪をすることが最優先になって、依頼者利益忘れがちになってしまうんです。

 

例えば、相手が嫌いだから和解の提案をするのが嫌で、ただやみくもに戦って、適切なタイミングでの和解ができず敗訴判決をもらってしまう。

 

勝訴判決をもらったけれど、敗訴した方が財産を隠して支払いに応じないという意地悪をして、結局、勝訴判決書紙切になる。

 

などということになりかねません。

 

実は、弁護士にとっては、戦い続けて判決をもらうということ自体は、日常茶飯事なのでそれほど怖くありません。

 

なぜなら、結論が悪い時には裁判官せいにできるからです。

 

ところが、和解の交渉を積極的にする時には、依頼者と密接なコミュニケーションをとっておかないと、後で依頼者から弁護士責任を追及されます。

 

たとえ話で言うと、弁護士の仕事は、プロスポーツの仕事似ているのではないかと思っています。

 

例えば、プロのサッカー選手は、高校時代に同じチームでプレーしていた仲間と対決することも珍しくないでしょう。

 

その時、なれあいで、ゴールをはずしたり、ディフェンスで甘くしたりするでしょうか?

 

プロである以上、ルールの中で最大限の力を発揮するのが仕事ですから、相手が友達でも全力で戦いますよね。

 

ただ、仲が悪い相手だと、感情的なプレーが増えて、イエローカードをもらったり、レッドカードで退場になったりすることもあると思います。

 

これは、自分にとっても、チームにとってもマイナスです。

 

逆に仲が良い選手が相手だと、「ルールのっとって全力を尽くす」というプレーになるのではないでしょうか。

 

そうだとすれば、弁護士の場合も、東京や大阪のような二大都市を除いては、知り合いの弁護士と対決することも多いのですから、むしろ事件と関係の無いところでは関係を良くしておいた方が良いと言えます。

 

また、普段は敵同士でも、プロ野球・サッカーの日本代表になると、今度は頼れる仲間として一緒に戦うこともあります。

 

弁護士も、個別の事件では相手方となっても、弁護団を作ると、全員が仲間として大きな事件を扱うことがあります。

 

このような点でも、共通点があると思います。

 

私がプロとして弁護士の仕事をすることを人生の一部として大切に思っているのと同様に、相手方となる弁護士同様なので、悪い意味での慣れ合いはお互いに許さないんですね。

 

「弁護士同士で仲が良いから、なれ合いをする」

 

というよりは、

 

弁護士同士で、事件解決に向けて良いコミュニケーションがとれたから、良い解決ができた

 

ということの方がはるかに多いんです。

 

訴訟・調停などでは、できるだけ個人的感情は入れずに、冷静に依頼者の利益や紛争の解決点を考える。

 

そして、その実現のために、「法律」というルールの中で、全力を尽くす。

 

それが、結局は依頼者最大の利益になると思っています。

 

自分を振り返ると、弁護士の仕事に慣れれば慣れるほど、自分の感情を優先する危険が増えるような気がしています。

 

いつの間にか、依頼者の利益よりも弁護士の「相手に勝ちたい」という感情が優先されたら、結果的に良い解決は絶対にできません。

 

そして、弁護士同士がいがみ合ったり、憎みあったりしたら、相手の弁護士を困らせたり、痛めつけること自体が目的になり、いわゆる依頼者地上に置いたままの空中戦になりかねません。

 

私は、冷静に自分の依頼者の権利や立場を主張することと、相手方となる弁護士をリスペクトすることとは両立することだと思っています。

 

今後も、冷静に依頼者の方の利益を実現できるようがんばっていきたいと思います。

 

「弁護士のお話」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。

 

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カテゴリー: 弁護士の視点from静岡 |

ハンバーガーチェーン

どのハンバーガーチェーンが好き? 
ブログネタ:どのハンバーガーチェーンが好き? 
参加中

私はモスバーガー
派!


あまりブログの本題とは関係ありませんが、ブログネタに参加します。

モスバーガーが好きな理由は、ライスバーガーがあるからです。

特に、きんぴらライスバーガーやかき揚げのバーガーなんかが好きです。

マクドナルドは、100円バーガーとか、安すぎる販売をするのがかえって不安になってしまいます。

ロッテリアは近くにありませんし、それ以外のチェーン店には入ったことすらありません。

結局、ハンバーガーは時々食べるだけなので、値段よりも、自分の好みを優先したいんですね。

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