音楽の聴き方と弁護士の仕事

前にもお話したと思いますが、私は大学時代、下手くそながらバンドをやっていました。

 

大学の音楽サークルに入って、自分たちで作詞作曲した曲をコンサートで演奏していました。

 

音楽のサークルですから、音楽好きが集まっています。

 

ですから、夜通し、お酒やコーヒーを飲みながら、音楽談義をしたものです。

 

今ふりかえると、「同じ曲を聴いていても聴き方が皆違っていたな~」と思います。

 

当時は、若かったですから、自分の音楽の聴き方が「普通」だと信じて疑わなかったのですが、それはどうも違うようです。

 

私は、J-POPや日本のロックを聴く時には、曲と詞との割合が4:6ぐらいで歌詞を重視して聴いていました。

 

ですから、話をするときにも、当然歌詞の話が多くなります。

 

でも、歌が私なんかよりずっと上手い友達は、メロディーを重視します。

 

また、海外の曲を主に聴いている友人は、リズムから入ったりします。

 

そこで、「ここのフレーズが良く書ける」とか

 

「いや、このメロディーラインが」

 

「そこじゃなくて、これはアレンジが良いだろう」

 

「いや、ドラムスとベースの刻むリズムにもっと注目すべきだ」

 

というような、音楽談義になっていきます。

 

熱くなると、お互いに

 

「おまえが音痴だから、メロディーの良さが分からないんだ」とか、

 

「リズムにしか乗れないリズム馬鹿」

 

「詞の意味を理解していないなら、そもそも歌詞のつかない音楽だけ聴けば良いだろ」

 

などお互いに言いたい放題でした。

 

もともと、誰にも頼まれないのに一生懸命音楽をやろうなんて人は、私を除いて変人ばかりですからしょうがありません(「異議」が出されそうです・・・)。

 

その友人たちは全国に散っていきましたが、今でも地域で音楽活動をしたり、音楽に関わる仕事をしたり、趣味でライブを開いたりしています。

 

時々、東京や各自の地元に旅行がてら集まって近況を聞いたりしています。

 

この音楽の聴き方のお話は、弁護士が問題を解決していく場合にも通じるものがあると思います。

 

たとえ話で、姉妹が1個しかない夏ミカンを取り合って譲らないという喧嘩が起きたとき、どう解決するかというものがあります。

 

半分づつ分けるというのも一つの方法でしょう。

 

お互いに、我慢し合う和解ですね。

 

でも、理由を良く聞いてみると、妹は夏ミカンを食べたかったのに対して、お姉さんの方は、マーマレードを作りたいので夏ミカンの皮が欲しかったりします。

 

そうすると、妹は中身を全部食べて満足、お姉さんは全部の皮をもらってマーマレードを作れて満足という解決方法だって考えられます。

 

いわゆる、「ウィン-ウィン」の解決ですね。

 

一個の同じ夏みかんを見ていても、欲しいものは違ったりします。

 

でも、意地になってしまうと、それが見えなくなって、奪い合いになってしまうんですね。

 

離婚の問題では、子供の親権も1個しか無いもので、奪い合いになりがちです。

 

先ほどのたとえ話のように、子の養育は母親に任せつつ、子の面会はできる限り自由にさせれば、母親にとっては、子供を手放さずに十分な経済的援助を受けられるというケースもあるかと思います。

 

離婚する場合には、夫婦に信頼関係が全く無くなってしまっているのが普通なので、中々理屈通りには行かないのですが・・・

 

そのような解決のできる視野の広い弁護士になるために、努力していきたいと思います。

 

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労働者には働く権利はない?

今日は、「ハービー・ハンコック」というジャズミュージシャンのピアノを聴きながら記事を書いています。

 

彼は、公務員の家庭で生まれ、小さなころからクラッシックピアノを習い、11歳でシカゴ交響楽団と共演しています。

 

マイルスのように麻薬におぼれる時期もなく、ジャズ界のエリート街道を進んだような感じです。

 

自分で演奏するだけでなく、作曲やアレンジにも大きな才能をみせています。

 

その反面、ピアノを前面に押し出したトリオのアルバムが1枚も無いということで、ちょっと寂しいです。

 

さて、労働者に働く権利があるかというお話ですが、結論から言うと無いというのが裁判例です。

 

要は、使用者は賃金さえ支払っていれば、原則として労働者に労働の場を提供する必要はないということです。

 

裁判例としては、次のようなものがあります。

 

Xさんは新聞社に採用されましたが、半年間の見習期間が満了すると、会社から解雇の通知を受けました。

 

そこで、Xさんは、「解雇は無効だ」と新聞社を相手に訴訟を起こしました。

 

Xさんは訴訟にあわせて、別途、就労妨害排除の仮処分の申立をしました。

 

つまり、「新聞社で記者として働かせて欲しい」という要求をしたんですね。

 

でも、東京高等裁判所では、労働者が使用者に対して有する権利は賃金支払い請求権が主たるものであって、一般的には就労請求権まではないと判断しました。

 

ただ、例外を二つあげています。

 

一つは、「労働契約特別の定めがある場合」です。

 

これは当然ですよね。

 

契約で、労働者の働く場の確保を特約として約束していれば、それに使用者は拘束されます。

 

二つめの例外は、「業務の性質上労働者が労務提供について特別の合理的な利益を有する場合」です。

 

たとえば、働いていないと技能が著しく落ちてしまうような仕事の場合です。

 

地方裁判所の裁判例ですが、調理人に例外を認めたものがあります

 

調理人は、常に調理をしていないと、腕そのものが落ちてしまうという理由です。

 

ただ、裁判例では、例外をなかなか認めないので、裁判で争っても原則として就労請求権は無いと思った方が良いと思い見ます。

 

弁護士も、上の調理人と似たような面があるとは思いますが、解雇されたら独立して仕事をすれば良いので、例外にはあたらないと判断されそうですね。

 

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懲戒解雇をする時にはご注意を

「マイルス・デイヴィス」というジャズのミュージシャンの演奏を聴きながら、この記事を書いています。

 

裕福な家庭に生まれた彼は、若いうちからトランペットの才能を認められていました。

 

ところが、23歳の頃から麻薬におぼれる日々が続いて音楽活動も十分できなくなったようです。

 

その後27歳頃にようやく麻薬を断つことができてから、本格的な音楽活動を展開していったとのことです。

 

JAZZなど洋楽と麻薬との関係は根深いものがあるような気がします。

 

ビリーホリデイがそうだったように、麻薬は生活を破壊して、音楽活動をも破壊してしまうという歴史があります。

 

鋭い感性が麻薬を呼び寄せてしまうという皮肉な関係があるような気がします。

 

さて、今回は、懲戒解雇をするためには、どのような要件が必要かを考えてみましょう。

 

まず、従業員の問題行動に対して処分が重すぎないことが必要です(処分の相当性)。

 

たとえば、従業員が20年も継続して問題なく勤務していたのに、自動車で人身傷害事故を起こしたというだけで、懲戒解雇するのは重すぎる処分だと言えます。

 

②次に、懲戒解雇は平等に行われなければなりません平等性)。

 

同種、同程度の事案なのに、上司の好き嫌いで、懲戒解雇にしたりしなかったりすることは許されません。

 

その意味で、会社・法人の先例にも注意して、先例と矛盾するような懲戒解雇は避けるべきです。

 

③そして、大切な要件として懲戒解雇の手続が適正に行われることが必要です(手続の適正性)。

 

たとえば、就業規則や労働組合との協約で、懲戒解雇する場合には、弁解の機会を与えることを決めていたとします。

 

この場合には、従業員が刑法に反するような行為(酒気帯び運転による人身事故・巨額の横領など)をしたとしても、弁解の機会は与えなければなりません。

 

従業員が逮捕・勾留されていれば、警察署や拘置所に面会に行って、弁解を聞かなければなりません。

 

その上で、懲戒解雇をしないと、後で解雇無効として、その間の賃金請求や損害賠償請求を従業員から受ける可能性があります。

 

それでは、定めがなければ、弁解の機会を与えなくても良いかというと必ずしもそうとは言えません。

 

手続の適正というのは憲法31条によって規定されていて、民法や労働契約法を通じて、解釈の基準となります(憲法間接適用)。

 

ですから、定めがない場合でも、懲戒解雇の手続は適正に行われる必要があり、従業員に弁解の機会を設ける手続をとることが望ましいんですね。

 

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懲戒解雇と罪刑法定主義

最近、何となくJAZZを聞く時間が増えています。

 

聞いてはいるのですが、ランダムに聞いているので、中々ジャズの歴史やミュージシャンが整理されません。

 

そこで、JAZZの歴史や名盤の本を数冊買ってきて、頭の中を整理しながら聞くようにしました。

 

私は、歴史の勉強が苦手だったので、結局、個々の曲を聴きながらパラパラと本をめくる程度になっていますが・・・

 

さて、懲戒解雇というのは、弁護士の仕事をしていると、ご相談を受けることが多い事案です。

 

会社側からは、「従業員にこのような悪行があった場合に、懲戒解雇できるか?」というご相談を受けます。

 

逆に、従業員の方からは、「この程度のことで懲戒解雇されたが、有効か?」というご相談を受けます。

 

懲戒処分を有効に行うためには、まず、懲戒処分の種類・事由等が就業規則に定められ周知されている必要があります。

 

ですから、就業規則には表彰とならんで懲戒の事由が規定されているのが通常です。

 

例えば、無断欠勤を繰り返したような場合などを懲戒事由としてあげて、最後に「その他各号に準ずる不都合な行為」を入れて、漏れがないようにするのが通常です。

 

懲戒処分については、罪刑法定主義類似した原則があてはまります。

 

罪刑法定主義というのは、

①あらかじめ定められた

②文章の形で記載された法律による

③明確な規定

④法律で定められていなければ

処罰することはできないという、憲法上の大原則です。

 

これを、懲戒解雇にあてはめていくと

 

まず、は、無断欠勤を繰り返す行為をする前に、就業規則で懲戒解雇事由として無断欠勤を規定しておく必要があるということです。

 

は会社の慣習で無断欠勤を懲戒解雇事由の理由とすることはできず、就業規則という文章化された形で規定されていなければならないということです。

 

は、無断欠勤は懲戒解雇事由として就業規則に規定されていない場合に、「会社の業務を妨害したこと」という規定から類推して、懲戒解雇することは許されないということです。

 

刑法を勉強するときに、「類推解釈禁止」と教えられるものです。

 

ただ、刑法ほど厳格な解釈は要求されないので、具体的な懲戒事由を定めた後、「その他全各号に準ずる不都合な行為があったとき」と定めることは許されます。

 

ですから、結局は、「各号に準ずる行為」に当たれば、懲戒解雇できるので、類推解釈の禁止は刑法と比べれば、ほとんど無いに等しいとはいえます。

 

は就業規則に定めなければならないということです。

 

会社側としては、従業員が上司の意に反することや、会社の利益を害することをすれば当然に懲戒解雇できると思いがちです。

 

でも、常時10人以上の従業員を雇用する会社では、就業規則で定めておかないと会社側としては、苦労をすることになります。

 

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休日のひとりごと

寒い日が続きますね。

 

静岡市でも、最低気温が氷点下を記録しているようです。


そのせいか、先週は、体調がいまいちでしたので、日曜日に少しゆっくり休みました。

 

夕方になって、自動車の1年点検の予約をしてあったのを思い出して、あわててトヨタカローラに連絡して、謝ってキャンセルしてもらいました。

 

私の自動車はレガシィなんですが、中古車で買った場所がトヨタのディーラーだったので、トヨタで点検もしてもらっています。

 

私は自動車を運転するのが好きです。

 

サラリーマン時代も、運転手役を良く買って出ていました。

 

弁護士の仕事をやると、法律相談で市役所に行ったり、接見で警察署に行ったりします。

 

警察署や市役所が便利な場所にあるわけでもないので、やっぱり自動車での移動が多いです。

 

この移動時間が、自分にとっては気分転換の大切な時間です。

 

好きなコーヒーを飲みながら、好きな音楽を聴いていけるのは、中々良いものです。

 

もちろん、その時抱えている事件にもよりますが・・・

 

レガシィにはカーナビがついていなかったので、購入を検討しました。

 

家のオーディオやポータブルプレーヤーは、パナソニック製品で、音楽データがSDカードに保存されています。

 

そこで、「これは統一すると便利だ!」と意気込んでパナソニックのカーナビを購入しました。

 

そこまでは良かったのですが、どうも音楽データをSDカードに保存する方式は、流行らなかったようです。

 

最近、ポータブルプレーヤーの付属品を購入しようと、ヤマダ電機に行ったところ、

 

「パナソニック製品はもう販売していません。」

 

とのこと。

 

ipodやソニー製品しか販売していないとのことです。

 

ビデオカメラまでSDカード保存のパナソニックにしたのに・・・

 

これから、SDカードが、ビデオのベータ方式のような歴史をたどらないことを祈るばかりです。

 

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ネットのランキングは違法?

今年の芥川賞をとった田中慎弥さん。

 

インタヴューに対して

 

「当然っていう感じ」

 

という回答と無愛想な態度で話題になりました。

 

芥川賞を取りたくて取りたくて、選考委員だった川端康成を「刺す」とまで書いた太宰治が聞いたらなんて言うでしょう 笑

 

芥川賞なんて取らなくても、太宰治はそれ以上の作品を残しているのですから、結果的には選考委員に「勝った」のかもしれませんが。

 

田中さんや太宰治。

 

私は、こういう一風変わった人たちが結構好きです。

 

表現の自由を体現してくれているみたいで、うれしくなったりします。

 

ネット上でも表現の自由というのはもちろん保障されます。

 

とはいえ何を書いても良いという訳ではありません。

 

では、ホームページで、飲食店のランキングなどをするのは良いのでしょうか。

 

「美味しい店ランキング」という形であれば、出てくるお店には不利益はありませんから、違法ではありません。

 

ホームページ作成者の主観が入るとはいえ、見る方にとっても参考になるという面もあります。

 

では、「まずい店ランキング」はどうでしょうか?

 

これは、具体的に店名を出してやってしまうと、違法となる可能性が高いです。

 

意図的にある店を恨んでやったりすると、業務妨害罪という刑法上の罪にあたります。

 

また、そうではなく、本当に「まずい!」と思う店についてランキングをしていても、味覚というのは主観的なもので、客観的な事実ではありません。

 

ですから、表現の自由として真実性を伝えるために必要かという点でも疑問があります。

 

表現方法が不適切だと、名誉毀損罪侮辱罪に問われる可能性もあります。

 

また、民事上では、お店から営業妨害(不法行為)として損害賠償請求される可能性もあります。


これに対して、法的にボーダーにあると思うのが、最近話題になっている「やらせ投稿」です。

 

流している情報が真実か虚偽かというと、どちらとも言えず、ただ特定の店だけを大げさにほめているというだけです。

 

それを見てお店に行って「だまされた!」と思う人と、「なるほど」と思う人と両方いるのではないでしょうか。

 

特定のお店の営業を妨害している訳でもなく、お客をだましてお金を取っている(詐欺)とまでも言えません。

 

報道が大きい割には、警察も動かないし、訴訟沙汰にもならないのは、違法とまでは言い切れないボーダーラインにあるからなんですね。

 

もちろん、倫理的には好ましいことではないとは思います。

 

ただ、ネット上の情報は、事実を伝えているのか、ただの広告なのか紛らわしいものが多いのは確かです。

 

このブログだって、「事務所の広告じゃないか」と言われれば、そういう側面も否定できません。

 

ネットを利用する方も、賢くなって、自分にとって価値のある情報とそうでない情報を見分けていかなければならないんでしょうね。

 

インターネットと法律の過去記事はこちらをご参照ください。

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子供が連れ去られた時の引き渡し請求には強制力はあるの?

先週の読売新聞に子供強制引き渡しが年間120件行われているという記事がありました。

 

3日に1回は子供の引き渡し強制的に行われているということになります。

 

これは、私自身も実感していなかったので、驚きました。

 

具体例から考えてみましょう。

 

離婚する場合、日本では、どちらかの親を親権者(親として子供を育てて、子供の財産や生活上の管理をする権利を持つ人)と定めなければなりません。

 

そして、子供が小学校の低学年以下ぐらいの場合には、子供の意見にかかわらず、母親が親権者に定められるケースが多いです。

 

そこで、親権者でなくなった父親から、子供を取り戻すために親権者である母親子供の引き渡し請求をすることが多く見られます。

 

良くあるケースとしては二つ考えられます。

 

一つは、夫婦が離婚して親権者が母親となった場合に、父親やその祖父母が保育園や小学校に勝手に迎えに行って連れ去ってしまった場合です。

 

もう一つは、離婚前に母親が一人で家を出て別居して、子供を父親が育てていたのにもかかわらず、裁判で親権者が母親とされてしまった場合です。

 

いずれの場合にも、父親が任意に子供の母親に引き渡さない場合、母親が親権者として、家庭裁判所に、子の引き渡しの審判の申立をすることができます。

 

では、家庭裁判所で引き渡しの審判が出ても、父親が子供を引き渡さない場合に、母親はどうしたら良いのでしょうか。

 

私が司法試験の勉強をしていた頃には、子供は物ではないので、物の引き渡しを強制的にするような手段(直接強制)はできないという見解が多数説でした。

 

そこで、どうするかというと、子供を引き渡さない場合、例えば「1日につき3万円支払え」というような命令を出す方法をとるべきだとされました。

 

子供を引き渡さない父親は、どんどん債務がふくらんでしまうので、それを避けるために子供をやむを得ず引き渡すという間接的な強制方法です(間接強制)。

 

ところが、新聞によると、最近の実務では、直接強制が相当数行われているということになります。

 

少子化に伴って、子供の奪い合いは激化している傾向にあるようです。

 

実務的な観点から見ると、子供が安心できる生活環境にいたのに、そこから連れ去られた場合のために、直接強制という方法も用意しておく必要はあるのかもしれません。

 

ただ、無理矢理子供を連れて行くという方法をとると、子供にとって、誰が自分を守ってくれる存在なのか混乱して、心に大きな傷が残ることがあります。

 

子供の生活のために何が一番良いかを、夫婦としてではなく、父母として考えて、適切面会交流によって解決するのが一番良いのかなとは思います。

 

離婚の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。

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会社の民事再生を成功させるハードルは高い?

新年後の連休もあけて、いよいよ2012年の仕事が始まりました。

 

年末年始で、少したるんでいた気持ちを引き締めてがんばっていきたいと思います。

 

さて、最近、会社の倒産関係についてご相談を受けたり、申立をしたりすることが多いです。

 

やはり、世の中、リーマンショックや円高の影響があるようです。

 

会社の経営が傾き始めた時に、やはり会社を建て直したいと思われる方も多いと思います。

 

そこで、民事再生できるのか、破産した方が良いのかをどのように見分けるかについて、考えてみたいと思います。

 

まず、どの債務が大きな負担になっているかを検討します。

 

銀行など金融機関からの債務だけが負担となっている場合には、取引先の債務はそのまま返済し続けて、金融機関だけと交渉する「私的整理」が向いています。

 

逆に、買掛金など取引先の債務についても大きな負担となって、支払遅延を起こしている場合には、一旦強制的支払の停止をする必要があります。

 

ですから、この場合には、法律が用意した民事再生破産という、裁判所通じた手続の方が向いていることになります。

 

次に、民事再生破産選別する基準です(中小企業を前提としているので、会社更生法は除いて考えます。)。

 

民事再生で、債務の額を減らして、それを収益から返済して会社を建て直す方法をとる場合には、会社の収益性が無ければなりません。

 

そして、民事再生を申し立てると通常は、融資をしてくれる金融機関はありません。

 

このため、自己資金だけで立て直せない場合には、スポンサーを探す必要が出てきます。

 

そうすると、民事再生を現実のものとするためには、自己資金かスポンサーの支援で、債務の返済さえ一旦ストップすれば、仕事を回していくことができる収益性のある会社である必要があります。

 

そして、スポンサーがつくには、会社のブランド、資産、将来性など、何か魅力が必要になります。

 

また、税金の滞納が多額の場合、民事再生では税金減額することはできませんから、再生後に税金を完済できるのか、課税庁に確認しておくことも必要でしょう。

 

そこで、民事再生後に仕事を回していけるだけの余裕が無い場合や、多額の税金の滞納がある場合には、破産手続に進まざるを得ないことになります。

 

民事再生を行うと、債権者債権額減額されてしまいますから、債権者から見れば納得できません。

 

経営陣の責任を追及したくなるのも当然でしょう。

 

また、中小企業だと、会社の代表取締役は、会社連帯保証人となっていることが多いため、会社の債務が減額されても代表取締役の連帯保証債務はそのまま請求されて、代表取締役破産しなければならないことがほとんどです。

 

そして、破産をすると取締役ではいられません。

 

ですから、民事再生になった場合には、現在の経営者代表取締役には退任してもらって、新しい代表取締役によって会社を建て直していくことが多いです。

 

旧経営陣の中で経営に詳しい人は、従業員として会社に残ることになります。

 

ですから、民事再生といっても、経営者、特に代表取締役には、会社は残して、自分は退くという気持ちも必要となってきます。

 

民事再生を進めていく前に、代表取締役の方は大きな決断をすることになるんですね。

 

借金問題ご解決方法についてはこちらをご参照ください。

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新年のごあいさつ

新年おめでとうございます。

 

当事務所は、本日から仕事始めとなります。

 

年末は、本の買い出しや大掃除で何となく終わってしまい、年始は親戚と飲んだり遊んだりして終わってしまいました。

 

三が日を過ぎてから、少しづつ仕事の本を読んだりして、新年からの仕事の始めに備えてきました。

 

恒例の紅白歌合戦は、ジャンルが多様化して、自分の好きな曲やジャンルが流れると見るという方が多かったんじゃないかと思います。

 

日頃、流行の唄についていっていない私にとっては、今年1年を振り返って、「この唄が売れたんだ~」という良い参考とんりました。

 

また、「最高の人生の見つけ方~THE BUCKET LIST」という映画をDVDを借りてきて観ました。

 

余命6ヶ月と告知を受けた2人が、「棺桶リスト」、つまり「棺桶に入るまでにやりたいことのリスト」を作って、それを実現していくというものです。

 

よくよく考えると、自分の余命も分からないわけですから、私も自分なりにリストを作った方が良いかと思い、今年のリストを考えてみました。

 

仕事に関することとプライベートに関することです。

 

その一つに、「仕事を精一杯やったら、定期的に仕事から全く関係の無いことをしてみること。」というのがあります。

 

私は、凝り性なので、一つのことをやり出すと、他のことがお留守になることが多いです。

 

自己分析によると、それが知らず知らずのうちにストレスをためる原因となって、かえって仕事にマイナスになると考えました。

 

そこで、思い切って、仕事と関係の無い人間関係や楽しみを定期的に作ろうと思います。

 

ご無沙汰している友達に会ったり、好きな本を読んだり、ギターを弾いたりする時間を、定期的に強制的に作ってみようと思います。

 

定期的というのが、週1回なのか2週に1回なのか分かりませんが、トライしてみようと思います。

 

皆さんは、新年にあたって、決意したことはあるでしょうか。

 

お互い、良い年になるよう、新年の誓いを忘れずに過ごしていきたいものですね。

 

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イヌの心理

もう、今年も終わりですね。

 

本当に早いもので、1年間が、あっという間に過ぎていきます。

 

さて、犬を飼うブームもあって、犬に関する事件を聞いたりすることが多いです。

 

犬が人を噛んでしまった場合、もちろん飼い主に動物の占有者としての責任が生じます。

 

そこで、よく争いになるのが、被害者の方と犬との噛まれた時の関係です。

 

被害者は、犬に損害賠償請求をしてもしょうがないので、散歩をしていた人や飼い主に損害賠償請求をしていくことになります。

 

このとき、よく問題となるのが、被害者の加害者の過失の関係です。

 

例えば、突然近寄って飼い主の許可を得ないで頭を触って驚かせたりしていれば、被害者にも過失があることになります。

 

これに対して、飼い主(散歩をしていた人)が、犬をひも(リード)で結ばなかったり、リードが長すぎたりすれば、加害者の責任が重くなります。

 

犬の散歩を注目していることは少ないので、他に目撃者がいないことが多く、この事実関係の証明は難しいです。

 

ただ、裁判例を見ていくと、犬の飼い主に不利なものが多いようです。

 

たとえば、犬の散歩で、側を通ったご老人に自分の犬が吠えてしまって、驚いたご老人が転んで大けがをした場合にも、飼い主が責任を負うとしたものがあります。

 

自分の犬が吠えるかどうかは、散歩していてもなかなか事前に予測できないので、これで全責任を負うのは、飼い主からみると相当きついものがあります。

 

自動車保険ほど、動物保険は多くの方が加入はしていないようですが、住宅の火災保険や自動車保険が総合保険型だと、保険金で対応できるので、加害者になられてしまった方は確認すると良いと思います。

 

できれば、しつけをしっかりするとか、散歩の時に注意をするなどしてトラブルを防止したいものです。

 

人間と同じように、犬にも一匹一匹性格が違うので、それに応じた注意を飼い主がしていくしかないんでしょうね。

 

ちなみに、犬が尻尾を振っているのは、喜んでいる時だけでなく、警戒しているときもあるとのことです。

 

尻尾を円をかくように振っている時は、喜んでいることが多いようですが、尻尾よりも表情で確認をした方が間違いないようです。

 

舌を出してリラックスしているようであれば、喜んでいる場合が多いようです。

 

私も何件か、犬の問題について訴訟をやったことがあり、犬の習性と飼い犬に対する人の意識をいつも考えさせられています。

 

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