交通事故の時の治療はお早めに!

寒い日が続きますね。

 

とは言っても、静岡市では雪は降っていないので、「寒い」なんて言えないのかもしれません。

 

ジョギングも3km程度ですが、何とか週3~4日くらいは走れています。

 

走っていると、肩こりがおさまって仕事にも集中できるので、今後も続けていきたいと思います。

 

さて、交通事故で、けがをした場合、ちょっと体が痛いだけだと思って病院に行かないでいたら、それがひどくなってきたというケースがあります。

 

この場合、ひどくなってから病院に行った場合に、交通事故その負傷の状との因果関係が争われてしまう可能性があります。

 

ですから、交通事故の被害にあった場合には、少しでも痛みがあれば、必ず病院に行って、診断書をもらっておきましょう。

 

その後、状態が悪くなったときには、同じ医師に診てもらえば因果関係医師も判断しやすいと思います。

 

また、医師以外の人から治療を受ける場合、たとえば、整骨院、整体師などで治療を受ける場合には、交通事故の治療費として必要性や相当性が認められない場合もあります。

 

このような治療を受けるためには、医師治療として必要との所見を書いた診断書などをもらっておくと、治療の必要性や相当性が認められやすいと思います。

 

もっとも、各地方裁判所の裁判例では、医師の指示のない柔道整復師による治療などについても治療の必要性を認めたものがあります。

 

裁判になったような場合には、請求の中には入れていくべきでしょう。

 

ご相談を受ける時に、診断書を医師から出してもらってきたものを見せていただくと、本当に短い文章で症状が書かれていることもあります。

 

交通事故に限らず、医師によって大分書き方は異なります。

 

夫婦間の暴力の場合に、「○月○日、夫の暴力があったとのことにより受診、頸椎捻挫」などと書いてくれるケースもあったりします。

 

交通事故の場合にも「○月○日、○○での交通事故により負傷」と書いたうえで、次のような事項について症状を詳しく書いてもらえると後で楽だとは思います。

 

① 医師が視診、触診や画像診断などによって症状を裏付けることができる  の(他覚的症状)か、自分で感じるだけの症状(自覚的症状)か

② 他覚的症状がある場合には、レントゲン・CT・MRIなど画像とその所見

③ 自覚症状の場合には、詳しい痛みの部位とその感じ方

特に自覚的症状しか無い場合には、傷害があったのか」自体が争いになったりしますので、医師の評価を伴う詳しい診断書が重要になってきます。

 

とはいえ、裁判になると、医師の診断自体が争われることも珍しくはないんですが・・・

 

弁護士と同じように、注文をつけるには敷位の高い医師ですが、患者さんの立場に立ってくれる良い医師を探して、初めからそこに診察を依頼することも大切になるんですね。

 

交通事故の民事事件の基礎知識についてはこちらをご参照ください。

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事務所の新体制

年が明けて、当事務所も少し変化をしました。

 

前回ご紹介したとおり、1人スタッフが入り、事務員2人体制になります。

 

また、お電話がつながりにくいこともあったので、月曜日に電話回線工事を行って、回線を2回線に増やします。

 

これで、さらに、迅速に、確実にお電話や事務処理のご対応が可能になると思います。

 

私も、事務員が2人ということで、責任が重くなった分、頑張っていきたいと思っています。

 

今後ともよろしくお願いいたします。

 

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過払い金返還請求の根拠とは?

お正月気分もだんだん抜けて、皆様も仕事に慣れてきた頃ではないでしょうか。

 

私も、最近は、年末年始に食べ過ぎて、増えてしまった体重を減らそうと、ほぼ毎日ジョギングをしています。

 

といっても、3km程度の軽いものです。

 

走った後は、やはり気分が爽快になって、色々なことをやる気になりますね。

 

仕事で余り動くことがないので、これからも続けていきたいと思います。

 

さて、交通事故のお話をしている途中ですが、ここ1~2年でコマーシャルでよく宣伝されるようになった過払金のお話をちょっとしたいと思います。

 

利息制限法では、次のとおりの利息を定めています。

① 借りた元本が10万円未満→年20%

② 借りた元本が10万円以上100万円未満→年18%

③ 借りた元本が100万円以上→年15%

 

利息制限法は、これに違反すると無効となる強行規定ですから、上の①~③の利率を超える利息は本来無効です。

 

ですから、たとえば、50万円を利息25%で貸した場合には、18%を超える7%分は無効だということになります。

 

もっとも、貸金業者がこれを超える利息を徴収しても、29.2%の利率までは出資法による刑罰適用されませんでした。

 

そこで、消費者金融業者は、29.2%ギリギリの利率で貸し付けをして、大きな収益を上げていました。

 

この利息制限法には違反するけれど、刑罰を課されない金利をグレーゾーン金利などと説明していました(なお現在では出資法が上限20%と改正されて、グレーゾーン金利は、正規の金融業者では発生しなくなりました。)。

 

最高裁は、利息制限法違反する利息部分について、貸金業者は不当な利益を得ているとして、返還すべきとする判決を下しました。

 

そこで、全国の消費者が、消費者金融業者に払いすぎた利息過払い金)の返還を請求する事例が続出しました。

 

今度は、過払金を返せなくて、クレディアのように民事再生手続きをとったり、武富士のように破産したりする会社が続出しました。

 

そんな過払金の返還請求をするときに、業者が反論として主張してくるのが「みなし弁済」という貸金業法43条1項の規定です。

 

この規定では、借主が貸金業者に、利息制限法の定める上記の利率を超える利息を任意に支払った場合には、一定の要件の下にその支払を有効な利息の弁済とみなすとされています。

 

そこで、貸金業者は、この規定を主張して、債務者の弁済を受け取る権利が自分にはあると主張してくるんですね。

 

過払い金の返還請求は、全国的に減っていますが、必要があれば、「みなし弁済」についても機会を見てご説明したいと思います。

 

借金問題ご解決方法についてはこちらをご参照ください。

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交通事故が起きた時の保険会社への通知

年末年始の休みも完全に終わり、皆様も仕事を開始されていることと思います。

 

当事務所も、月曜日から仕事はじめですが、自分自身の仕事は大晦日から刑事事件が入ったりと、仕事は継続していたので、何とか新年ボケはしなくてすみそうです。

 

さて、交通事故で避けて通れないのが、損害保険会社との関係のお話です。

 

交通事故を起こした場合、加害者が加入している保険会社から損害賠償金が支払われます。

 

ですから、交通事故を起こした場合、加害者自分の加入している保険会社へ事故の状況について知らせなければなりません

 

これは、保険契約上の約款で、加害者(保険契約者又は被保険者)に課されている義務です。

 

誠実な加害者であれば、すぐに通知してくれるのですが、交通事故をごまかそうとして、通知をしようとしない加害者もいます。

 

このような場合には、被害者の方からすぐに通知をしましょう。

 

さて、被害にあった方は、すぐにでも治療費や仕事を休まなければならない場合には生活費が必要でしょう。

 

ところが、この保険の仕組みが複雑でわかりにくいです。

 

大きく分けて、自動車事故の場合の保険は

 

 強制保険=自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)

 任意保険=各自が保険会社と契約している保険

の二つに分けることができます。

 

は、自動車を運転する以上、加入が義務づけられていて、新車登録や車検の時に必ず保険料を支払う仕組みになっています。

 

皆さんも、車検の時に明細書をよく見ていただくと、税金の他に、自賠責保険の支払いがなされているはずです。

 

ただ、自賠責保険は支払額について基準が定められていて、実際に生じた損害の全部を支払えないことがほとんどです。

 

そうすると、交通事故の加害者になった人は、その不足額を支払わなければならなくなり、場合によっては支払いきれないことにもなりかねません。

 

そこで、の任意保険という制度に各自が加入することで、いざという時の損害をカバーしているんですね。

 

よく「対人無制限」などという言葉を聞くと思いますが、これは任意保険のメニューで、交通事故で人を死傷させた場合に、確定した実際の損害額まで保険金が支払われるという制度です。

 

保険のお話については、また、機会を持って、詳しくしていきたいと思います。

 

交通事故の民事事件の基礎知識についてはこちらをご参照ください。

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年末年始の休暇を振り返って

年末年始のこの休みは、皆さんはどのようにお過ごしだったでしょうか。

 

私は、いくつかの場所で行政訴訟に関する講義や専門家としてのアドバイスをすることになったため、行政法の復習を兼ねて勉強をしていました。

 

また、しばらくブログで交通事故について書こうと考えていることから、交通事故の実務の本をおさらいしながら読みました。

 

行政法は講義等のための勉強ということで、学者の書いた本と判例集を読み、交通事故は実務家の書いた本を読みました。

 

学者と実務家の違いが感じられて面白かったです。

 

学者の本は、体系を重視して、理論的なので、しっかりとした時間を作って読まないと理解ができません。

 

その本の内容が個別のケースよりも、概念の整理を重視しているので、個別の問題を処理できるようになるためには、判例や演習書などの具体的な事案での勉強も必要です。

 

その代わり、しっかりと体系だてた理解をしておくと、初めてのケースにあたっても、推論がきくという良さがあります。

 

逆に、実務家の書いた本は、個別のケースからさかのぼって、整理しているので、すぐに使える知識が満載です。

 

ただし、意識して頭の中に整理して入れていかないと、ただの暗記になりかねない危険があります。

 

両方とも長所・短所があるんですね。

 

明日からは、また、バタバタした毎日が始まると思うので、この休みで、二つの勉強ができたことは収穫でした。

 

今後も、仕事と併行して、色々な本を読んでいき、ブログやHPの裁判例ご紹介に生かしていきたいと思います。

 

また、例年なら、往路・復路とも見ている箱根駅伝も、わが母校のアクシデントもあって、復路はあまり見なかったというのも今年特別なことでした。

 

リタイアした選手には、まだ若いことから、責任を感じすぎないで、どこかの場で活躍することを祈っています。

 

失敗しないことも大切ですが、それを恐れてリスクを取らないと何もできなくなってしまいます。

 

「人間は失敗する動物であり、失敗から学べるかどうかが勝負」だと私は思っています。

 

もちろん、仕事では、失敗しないように最大限の努力は事前にしておくようにしています。

 

今年も、明日から、頑張ってやっていきます。

 

どうぞ、よろしくお願いいたします。

 

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「ひき逃げ」の被害にあった時に、まずやることは?

ひき逃げの被害でケガをした場合、相手の加害者は、自動車運転過失致傷罪道路交通法違反に該当します。

 

ですから、被害者の方は、まず警察への届出が大切でしょう。

 

ひき逃げは、事故を知りながら逃げたという点で、故意犯的な性質もあるので、刑事処分、行政処分も相当重くなってきます。

 

とはいえ、自分で加害者を発見することは、相当困難です。

 

ですから、警察の力を借りて、加害者を探してもらうことが必要になってきます。

 

警察に届け出るにあたっては、被害状況をできるだけ明確にして届け出ると警察の捜査も大分楽なはずです。

 

ご自分が動ける状態だったら、すぐに、記憶している範囲で良いので、メモをとるようにしましょう。

 

メモがなければ、スマフォなどのボイスレコーダーを利用すると良いと思います。

 

メモ・録音すべき事項としては、

① 加害者の自動車のナンバープレート

② 製造した自動車会社のマーク

③ 自動車の名称

④ 自動車の色

⑤ 自動車の改造やオプション装備など特徴

などがあると思います。

 

瞬時のことなので、ナンバープレートまでは難しいかもしれませんが、色や古さ、改造部分の特徴など何かしら記憶にあると思います。

 

そして、すぐに、現場に警察官に来てもらって実況見分やってもらうことも大切でしょう。

 

また、現場に目撃者がいる場合には、その人にできるだけ待っていてもらって、警察官事情聴取受けてもらうようにしてもらうと良いと思います。

 

通勤途中など急いでいる人で、警察官が来るまで現場に居られない人だったら、せめて、氏名電話番号聞いておくと、後で警察の捜査をすすめてもらえると思います。

 

以上に対して、被害者に怪我が全くない場合には、相手に明らかな速度違反などの道路交通法違反が無い限り、犯罪にはなりません。

 

そして、道路交通法違反だけだと、警察も人身事故の場合ほど動いてはくれません。

 

もちろん、後で、ムチ打ちなどの症状が出ることもありますから、警察に届け出ておくことは必要だと思います。

 

ただ、当て逃げだけの場合には、中々、加害者を特定することは難しいと思います。

 

交通事故のご相談で、当て逃げの場合に、「泣き寝入りですか」と言われることもあり、ご相談を受けていて、つらい面があります。

 

おなじ加害者が「逃げ」た場合でも、「当て逃げ」と「ひき逃げ」とは、大分違うことに注意が必要です。

 

交通事故の民事事件の基礎知識についてはこちらをご参照ください。

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家事事件手続法の施行 ~ 遠隔地の調停は電話でもできる?

今年が、皆様にとってより良い年となりますように。

 

昨年(昨日)は、大晦日に刑事事件が入ってしまい、警察署に接見に行ってきました。

 

今年も、良い意味で忙しい年にしたいと思います。

 

このブログとともに、今年もよろしくお願いいたします。

 

さて、本日、2013年1月1日から施行される大切な法律があります。

 

それは「家事事件手続法」です。

 

離婚養育費の請求離縁遺産分割調停審判など、家庭裁判所で行われる手続について規定した法律です。

 

改正の理念としては、

 

① 当事者の手続保障の強化

② 子供の意思の尊重・意見表明の強化

③ 利用者にとっての利便性の向上

があげられています。

 

一つ、例をあげてご説明しましょう。

 

調停は原則として、相手方住所地管轄する家庭裁判所に申し立てることになっています。

 

そして、今までは、期日には、当事者又は代理人出頭しなければなりませんでした

 

これが、簡単に通える範囲であれば、特に問題はありません。

 

でも、例えば、自分は静岡県内に住んでいるのに、相手は北海道に住居を移してしまったという場合、毎回の期日に北海道まで行くのは事実上不可能なこともあります。

 

そこで、家事事件手続法では、当事者が遠隔の地に居住しているときに、家庭裁判所相当と認めるときは、電話会議システムテレビ会議システムを使うことができるようになりました。

 

これによると、期日に遠隔地家庭裁判所出頭しないで、電話で調停をすることができることになり、非常に便利です。

 

ただ、離婚調停離縁調停などについては、当事者の意思をより慎重に判断しなければならないので、電話会議システムテレビ会議システムでは調停を成立させることはできません

 

調停成立の時には、ご本人か少なくとも代理人が出頭しなければなりません。

 

この法改正を受けて、当事務所でも、電話会議システム導入しました。

 

ですから、相手方遠方にいるような調停事件でも、当事務所にいらしていただければ、普通に会話をするような形で、調停を進めることができます。

 

既に、何件か、この新しい制度を利用して、手続を進めております。

 

今年から、積極的に、家事事件手続法制度使っていきたいと思っています。

 

離婚の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。 

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メリークリスマス!2012

昨日のクリスマス・イヴ、皆様は、どのようにお過ごしだったでしょうか。

私は、自宅で仕事用に使っているパソコンが壊れてしまったので、新しいパソコンを買いに行きました。

自分へのクリスマスプレゼントというところでしょうか。

前のパソコンはWindows Vistaだったのですが、不具合が多くて苦労していました。

今度のパソコンは、Windows8なので、快適なPC環境が作れるのではないかと期待しています。

ちなみに機種はSONYのVAIOです。

明日、納入されるので、年末年始でいじるのを楽しみにしています。

今日が皆様にとって、良いクリスマスの日でありますように。

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裁判員裁判は違憲?~その4

明日、水曜日は朝から法律相談と遠方の裁判の連続なので、火曜日にアップします。

 

裁判員裁判が違憲かどうかについて、今までご説明してきた争点の他に、あと二つの争点があります。

 

今回は、その二つの争点についてご説明したいと思います。

 

まず、憲法76条3は、「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権をおこなひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」と規定しています。

 

ところが、裁判員裁判では、裁判官は裁判員が賛成しなければ、裁判官だけで判決を下すことができません。

 

とすると、「憲法及び法律」以外のものに拘束されることになり、憲法76条3項に反しないかが問題となります。

 

最高裁はこれに対して、次のような理屈で同条項に反しないとしています。

 

裁判員裁判に関する法律は以前に述べたとおり、憲法が一般的に国民の司法参加を許容しており、合憲だと考えられます。

 

とすると、裁判官がケースによっては自分の意見と異なる結論に従わざるを得ないとしても、それは法律が定めた裁判員制度に拘束される結果であり「法律」に拘束されるものとして、同条項に反しないということです。

 

皆さんはどのように考えられるでしょうか?

 

裁判員裁判の合憲性を争っているのに、裁判員裁判に関する法律が合憲であることを前提として、結論を出すのは結構強引な気もします。

 

次に、二つ目の争点ですが、憲法18条「犯罪による処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」と定めています。

 

とすると、国民に強制的に裁判員としての職務を負わせることは、同条の「苦役」にあたるものとして違憲なのではないかという問題が生じます。

 

最高裁は、裁判員裁判が国民に一定の負担が生じることを認めつつも次のような理由で同条に反しないとしています。

 

裁判員の裁判は、司法権の行使に対して国民を参加させるものであり、参政権と同様の権限を国民に付与するもので「苦役」ということは適切ではありません。

 

更に、裁判員法は、裁判員となることを辞退できる事由を類型的に定め、また、個別の事情を勘案して辞退することも認めています。

 

そして、出頭した裁判員には旅費、日当等の支給により負担を軽減するための対応がなされています。

 

これらの事情を考えれば、憲法18条の「苦役」とまでは言えないという結論です。

 

裁判員制度の運用の仕方にもよるとは思いますが、確かに、現在の運用では、「苦役」とまでは言えないのかなとは思います。

 

「裁判手続で知っておきたいこと」の過去記事はこちらへどうぞ。 

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裁判員裁判は違憲?~その3

師走とは良く言ったもので、12月に入ってから、色々と忙しいです。

 

年末で一区切りつけたいという気持ちが、人間誰しもあるようですね。

 

私も、難問に一区切りをつけて、年を越せればと思っています。

 

さて、裁判員裁判の合憲性について、引き続き考えていきたいと思います。

 

裁判官と裁判員とが「裁判所」として判決を下すことは、「特別裁判所」を設けたことにならないかという問題があります。

 

憲法76条2項は、「特別裁判所は、これを設置することはできない。」と定めています。

 

これは、戦前に、例えば、違法な課税処分を争う場合には、通常の司法裁判所ではなく、行政事件を特別に扱う行政裁判所が扱うこととされていました。

 

でも、行政が行った処分を行政機関が判断しても、適切に法律を適用して解決してくれるとは思えません。

 

そこで、日本国憲法は、裁判を行う権利を司法裁判所のみに持たせて、他の機関が最終的に問題を解決する手段としての裁判を行うことを禁じたんですね。

 

そして、司法裁判所の構成は、憲法上は裁判官によってなされるように規定されています。

 

とすると、裁判員が裁判を行うことは、憲法が禁じている「特別裁判所」を設けることにならないかという問題が生じるんですね。

 

これに対して、最高裁は次のように言って、76条2項に反しないとしました。

 

「特別裁判所」は、通常の司法裁判所の系列の外に置かれ、特別な事件について裁判権をする裁判所を言います。

 

しかし、裁判員制度による裁判体は、地方裁判所に属するもので、それに不服があれば、高等裁判所への控訴、最高裁判所への上告が認められています。

 

とすると、裁判員裁判は、地方裁判所という司法裁判所の制度の中に組み込まれているものであるといえます。

 

また、不服があれば、裁判官だけで判決をする高等裁判所・最高裁判所で審理してもらえます。

 

従って、裁判員裁判は、司法裁判所の系列の外に置かれているものではなく、「特別裁判所」にはあたらないということです。

 

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