婚姻費用地獄

カルビーが今年の秋から、ポテトチップスの筒型商品を発売するそうです。

 

カバンなどに収めやすく、持ち運びしやすいというのがウリとのこと。

 

も、私なんかは、カルビーのポテトチップスというと、

 

「リラックスした時に、袋を適当に破いて、形も味も1個1個が微妙に違うのを、ボリボリと、ゴロゴロしながら食べる」

 

というイメージがあるので、ちょっと違和感が。

 

売れるかどうかが楽しみですね。

 

さて、「地獄」とまで書いた婚姻費用

 

もちろん、夫側にとっての地獄です。

 

妻側に立つと、確かに同居していた時に夫からもらっていた額からは数段低い額で、前の生活レベルを維持できないという点では不満でしょう。

 

しかし、夫から見ると、別居したため自分の生活費が独自にかかるようになって家庭のトータルの生活費は前より相当増えています。

 

それなのに、夫は、離婚していない妻の分も含めて別居している家族の生活費を負担するという理屈自体、相当不満を持っています。

 

もちろん、別居している以上、夫婦仲が良くないことが根本にあります。

 

そのため、「子供には払っても良いけれど妻の分は払いたくない」という夫側のお気持ちをよく聞きます。

 

更に、不信感の塊となっているため、「せめて、子供名義の口座に振り込みたい」と要望しても、婚姻費用分担調停で妻が拒否すると、それもできません。

 

憎い妻名義の口座へ振り込まなければならないんですね。

 

もし、夫が「支払わない!」と滞納したらどうなるでしょうか?

 

そうです。

 

給料を差し押さえられるんですね。

 

しかも、何ヶ月も滞納している場合で滞納額が大きいと、最大給料の1/2まで差し押さえられて持って行かれます。

 

消費者金融から借金した場合でも、債務者の生活を考えて給料の差押は1/4までしか認められていないのに、その2倍を取立されてしまうのです。

 

借金取りより怖いです。

 

差し押さえで、夫の受けるダメージはそれだけではありません。

 

妻が1回、差し押さえの申立をすれば、毎月の給与から自動的に婚姻費用額が妻に持っていかれてしまいます

 

そして、夫は勤務先の社長や経理部長あたりから、給与の支払い手続きを1人だけ特別に扱わなければならず、非常に迷惑していると怒られます。

 

小さい企業では、それを理由にクビを言い渡そうとする社長もいます。

 

そして、借金だらけで夫が破産した場合には?

 

それでも、婚姻費用養育費は税金と一緒で、破産では消えません。

 

逆に妻の立場で言うと、離婚調停解決金」などしてしまうと、破産で消えてしまうので、夫の経済状況に不安があったら、養育費を一時金として合意しておくべきことになりますね。

 

夫の皆さん、婚姻費用養育費は、自分の生活を守るためにも滞納しないでしっかりと払いましょう。

 

また、払えないような金額で合意しないように注意してください。

 

婚姻費用地獄に陥って、夫も妻も不幸な状態にならにために。

 

 

なお、離婚の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。 

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カテゴリー: 離婚のお話 |

自転車にも強制保険?

春らしい天気になってきましたね。

 

天気の良い休日は、犬の散歩も大分快適です。

 

私と暮らしているラブラドールも12才を過ぎ、歩くのも大分きつそうになってきました。

 

階段があるところは、抱き上げる必要があります。

 

メスなので、体重も30kg強ですが、それでもやはり重い!

 

この前は、つまずいて犬もろとも転びそうになりました。

 

何とか、手をついて転倒を防いだ私の頭の横を、何事もなかったようにスタスタと歩いて行くラブ。

 

「少しは心配せんかい!」

と言ってやりたくなりました(笑)。

 

さて、交通事故の怖さは知られていますが、最近自転車事故の怖さも言われるようになってきましたよね。

 

自転車加害者になる事故も増加傾向にあるようです。

 

昨年、自転車歩行者を負傷させた事故は、全国で2,551件というのですから、相当な件数です。

 

ニュースにもなりましがた、平成25年(2013年)には、神戸市で小学生が自転車で歩行者に衝突し、被害者が寝たきりとなってしまう事件も起きました。

 

結果的には、その民事訴訟では、「小学生の親に、損害賠償として9,500万円を支払え」という判決が出ています。

 

もし、その小学生の親が自転車賠償保険や個人賠償保険に入っていなければ、破産になりかねません。

 

このような自転車事故の増加に伴い、弁護士用にも自転車事故などが出されるようになってきています。

 

自転車の特殊な危険性は、

① 思い切りスピードを出ている時に安全に止まるためのブレーキ性能が不足していること

② 無音で走ってくるので、歩行者の後方から走ってくると歩行者が気付かない

というところにあります。

 

今後、高齢化社会になって、歩行者に高齢者が増えれば、なおさら、気付くのにも遅れますし、衝突した時の傷害の程度も重大なものになっていくことが予想されます。

 

となると、事故を起こさないで運転するのが大切になってきますが、注意していても起きてしまうのが事故です。

 

そこで、もし、事故を起こした時に経済的に助けてくれる損害保険への加入がより必要となってきているのでは無いでしょうか。

 

このようなご時世からか、今週の18日に、庫県議会で、対人事故に備えて、損害倍書保険へ加入する義務を定めた条例が可決されたとのことです。

 

つまり、自動車を購入した時に必ず入る自動車損害賠償責任保険(自賠責)と同じように、兵庫県内で自転車を運転する人は、損害賠償責任保険に入らなければならないということです。

 

但し、自動車の場合のような登録制度や無保険に対する取り締まり、罰則は無いようです。

 

そうすると、無理して入る必要が無いとも考えられます。

 

でも、仮に兵庫県での動きが全国化していった場合、事故を起こした時の事責任に大きく関わってきます。

 

つまり、被害者に対する被害弁償が出来ているかどうかに決定的な差が生じんですね。

 

特に、保険加入者が少数派になった時には、世間の目は相当冷たくなってしまう可能性があります。

 

私は決して保険のセールスではありませんが(笑)、もし、今後、皆さんの住む都道府県で同じ条例が成立した場合には、速やかに損害保険に入ることをおすすめします。

 

ちなみに、私の事務所では、事務員が自転車で裁判所や他の法律事務所に書類を届けに行きますので、自転車損害賠償責任保険に入っています。

 

交通事故の民事事件の基礎知識についてはこちらをご参照ください。

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カテゴリー: 交通事故のお話 |

介護施設でのトラブルが増えています

最近、温かかったり、寒かったりと、寒暖の差が激しいです。

 

皆様も、体調には十分にお気をつけください。

 

花粉症の私にはつらい季節のまっただ中です。

 

コンタクトもすることができず、メガネをかける毎日です。

 

本当に「目玉を取りだして、シャワーで徹底的に洗いたい」気分です(笑)

 

さて、私は、県庁にいた頃、福祉の仕事を最初に経験しました。

 

その頃は、本庁だったので当時の厚生省から補助を受け、県自体の事業を行ったり、市町村への事業委託や補助金の交付の仕事をしていました。

 

その知識を買っていただいたのか、弁護士になってからも、社会福祉法人が法人として高齢者の後見人になるという制度の立ち上げを、お手伝いしたことがあります。

 

その制度を開始する前の1年間、そこの部門の非常勤の所長としてアドバイスをしました。

 

そのため、福祉事業に関しては、普通の弁護士より経験が多いとは思います。

 

さて、最近、高齢者の介護施設でのトラブルが非常に多くなっています

 

例えば、先月には東京都大田区の有料老人ホームで食中毒患者が出たと報道されました。

 

入居者65人中16人が集団食中毒になり、1名が死亡したとのことです。

 

そのホームの調理担当者からノロウイルスが出たことも有り、東京都は給食が原因だと判断したそうです。

 

有料老人ホームというと、相当高額で、余程老後の資金を貯めておかなければ入れないというイメージです。

 

それなのに、どうして、一番危険な食べ物の調理について指導管理する費用をしっかりと使わなかったのか、報道からは明確ではありません。

 

もし、高額の入居費を受領しながら、人件費を節約して、職員に過酷な労働を強いていたのであれば、ひょっとしたら、その調理担当者も被害者かもしれません。

 

さて、この亡くなられたご遺族から、ご依頼を受けた場合、弁護士だったらどんな戦略を練るでしょうか?

 

私だったら、調理担当の介護職員に高額の賠償金を支払えるとは思えません。

 

そこで、施設を経営する会社を請求の相手とすると思います。

 

もちろん、責任は「契約した介護契約の内容を守らなかった」という債務不履行を理由として損害賠償請求です。

 

従業員のミスだったら、運営会社には請求できないんじゃないの?

 

と思われた方もいるかもしれません。

 

でも、運営会社が、事業を展開するために入居者又はその親族と契約をして、その事業を行うために介護職員を雇っているのです。

 

これを、民法では「履行補助者(りこうほじょしゃ)」と言って、履行補助者である介護職員のミスは、当然に使用者の責任となるのです。

 

もちろん、運営会社自体の監督責任債務不履行の根拠とすることもできるでしょうし、それも合わせて主張していくと思います。

 

そして、事件をすすめていく中で、「調理担当の職員がノロウィルスの感染を知って厨房に入ったという個人的なミス」と、「十分な衛生管理をワタミの介護㈱が行っていなかったという監督のミス」のとどちらが立証しやすいか検討していくことになると考えます。

 

更に、もう一つ考えられる法律的な主張には、交通事故のケースと同じく、「違法な行為をして他人に損害を与えた」という責任(不法行為責任)の主張も検討するでしょう。

 

その中で、事件を進めながら、事実が判明してきた時点で、メインとなる主張に絞っていくことになるでしょう。

 

そのため、弁護士が事件に着手する時には、たとえ内容証明郵便1本を送るだけでも、判決(場合によっては上級審の判決)までにらんで複数の主張の取捨選択を行っていく訳です。

 

ここで、法律や判例を死ぬほど勉強したというだけでなく、裁判を数多く経験しているという点が、弁護士以外の人達との決定的な違いです。

 

基本6法を十分に理解して、何千件もの判例を勉強した上で、何百件もの裁判をやっている素人とか考えられないですもんね(笑)

 

弁護士が、あっさりと言っているように見える「この方針で行きましょう!」という言葉の裏には、判決をにらんでの多数の方法の取捨選択があるんですね。

 

以前から、何の資格も裁判の経験も全く無い「自称コンサルタント」が弁護士の領域にも入ってきています。

 

法律の判断が必要な紛争で、ご自分が大きな損害を負っていたり、早期の解決が大切な事件を、「コンサルタント」に任せることは相当なリスクを招きます。

 

また、最近は「ビジネスになる」と言われて怪しい「相続コンサルタント」が雨後の竹の子のようにネット上で増えています。

 

実は、私の所にも、様々な提携依頼の電話が来ることもあります。

 

でも、全て、私は断っています。

 

知り合いでもない「自称コンサルタント」からの紹介など、怖くて受けられません。

 

ひょっとしたら、弁護士法で禁止されている紹介料を弁護士以上の額で取っているかもしれません。

 

また、私の感覚では、そのような怪しいコンサルタントと提携しなければ仕事が無いような弁護士や税理士は、自分で勉強して仕事を開拓していく意欲や能力にも問題があるように思えます。

 

皆様も、大切な事件であればあるほど、慎重な判断をしていただければと思います。

 

「日常生活の法律問題」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。

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The Running Man ~ リチャード・バックマン

こんにちは。弁護士の谷川です。

 

変人にしてエンターテイメントの天才。

 

この人を語るにはこんな言葉が適切かもしれません。

 

「え?リチャード・バックマンって作家は何者?」という方も多いと思います。

 

私も当時は、すっかり騙されました。

 

詳しい方は知っているかもしれません。

 

一つは、リチャード・バックマンが書いた作品のうち「The  Running  Man」という本が、日本語訳では「バトルランナー」とされており、SF映画化されたこと。

 

そして、もう一つは、リチャード・バックマンとは仮の顔で、世間に良く知られている顔は、スティーヴン・キングという有名な作家だったということ。

 

仮にキングの名前は知らなくても、映画化された作品はご存じではないでしょうか?

 

例えば、①キャリー、②シャイニング、③ミザリー、④ショーシャンクの空に、④スタンド・バイ・ミー、⑤グリーン・マイルなどなどです。

 

彼は、ホラー小説作家と認識されているかもしれませんが、その枠にとどまりません。

 

「バトルランナー」のようなSF小説

 

「スタンド・バイ・ミー」のようなノスタルジックな小説

 

「刑務所のリタ・ヘイワース(ショーシャンクの空に)」のような人生観とアクションが入り混じったもの

 

「グリーン・マイル」のようなファンタジーっぽい小説

 

など、何でもありの小説家です。

 

キングの話を聞いていると、本を書く時には、構成も考えず頭の中に浮かんできたものを次々と書いていくそうです。

 

まさに、天から舞い降りた話を紡ぎだす小説家ですね。

 

それ故に、話が途中からおかしくなってきて、最初は恐ろしかったのにだんだん変な話になってしまうこともあります。

 

例えば、「It(イット)」という長編ものがそうでした。

 

とはいえ、私から見てですが、わくわくする本にあたる確立は相当高いので、失敗作に当たった時には変人の気まぐれだと我慢するしかありません。

 

さて、私は、数あるキングの小説の中から、なぜこの本を選んだかというと、①見事にキングに騙されたこと、②映画とのギャップの二つをお話したかったからです。

 

まず一つめです。

 

キングは売れっ子作家で、話が舞い降りてくると、ぶっ続けで小説を書き続け、時には多作になりすぎたようです。

 

でも、出版社からは本が読者にいきわたってから次の本を出してほしい(その方がたくさん売れる)という理由で、1年に1冊にして欲しいと要望されていました。

 

そして、キングは、自分の名前が自分を縛っており、実は周りに動かされている人形なのではないかと疑問を持つようになります。

 

ビートルズも昔、同じ悩みを持って、ポールが別の名前で曲を出したいと要望したことがあるそうです。

 

でも、私のようなビートルズファンの方であれば、ポールが歌いだしたら声とメロディーで、数十秒で彼だと分かると思います。

 

そのため、その話は見送られたとのことです。

 

ところが、作家の場合は、名前を変えれば気が付かない人も多いでしょう。

 

例えば、宮部みゆきが時代小説をいくつか書いていますが、あれを別名で出されたら、私は同一人物と見破る自信はありません。

 

リチャード・バックマンの場合にも、キングの大ファンだったくせに、全く無名の作家と信じて本屋で最初の2〜3ページ目を読んで、TVのヴァラエティものを皮肉っている所に共感して買ってみたのです。

 

読み進めると、そのスピード感たるや半端なものではありません。

 

「何だ!このリチャード・バックマンという余り知らないSF作家は!」

 

と驚きながら夕飯も食べずに一気読みしてしましました。

 

それからは、「良い作家を見つけたぞ〜」とウキウキしながら、リチャード・バックマンのシリーズを買い集めていったのでした。

 

キングは、私のような読者に釣り針をたらして、引っかかるのを見て、自分の才能を再確認したかったそうです。

 

後で、真実を発表された時には「・・・・・」と目が点になり、詐欺師にまんまとだまされたことに気付いたのでした。

 

そして、二つ目は「バトルランナー」の映画だけ見た方へ原作との大きな違いを伝えたいことです。

 

キングの原作を映画化したものは、非常に出来が良いものが多いです。

 

その代表が「ショーシャンクの空に」でしょう。

 

ある意味、原作「刑務所のリタヘイワース」と異なる方向で、原作を超えた魅力があると思います。

 

また、キャリー、シャイニング、ミザリー、ペット・セメタリー、グリーンマイル、スタンド・バイ・ミーは、原作に追いつきそうな魅力があると思います。

 

でも、「The  Running  Man」のすばらしさに比べて、映画「バトル・ランナー」の劣化の差はひどすぎます

 

「バトル・ランナー」はB級映画の底辺にあると私は評価していますが、原作「The  Running  Man」は、私が読んだSF小説の中でもトップクラスの評価です。

 

「政府とマスコミが手を握って、情報操作をして国民を支配する」というテーマは、人間が永遠に繰り返す愚行でしょう。

 

今(2015年現在)で言うと、ロシアのプーチン政権あたりが似ているでしょうか。

 

現在の日本も、たとえば、マイナンバー制度がマスコミの大きな批報道もなく、何となく通ってしまった(2015年現在)ように、その愚行から完全に免れているわけでは無いのは、皆さんもご存じの通りです。

 

ただ、そういう面倒なテーマまで考えなくても、主人公の魅力と、スピード感あふれる展開、そして細かい人の心理描写、エンターテイメント小説の面白さの全てをつめこんだような本です。

 

小説好きの方で、「まだ読んだことが無い」という方は、実に幸せです。

 

是非、私のように、リチャード・バックマン=スティーヴン・キングの世界に振り回されて楽しんでいただければと思います。

 

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最近、新聞の見出しに「民法改正」ってあるけど?

ときどき、私もインターネットの無料翻訳サイトを使います。

 

以前、私が、最近、オーストラリアの人を案内する機会がありました。

 

その中で、「ALWAYS~三丁目の夕日」が、いかに日本人の心をゆさぶるかを熱く語りたく思いました。

 

ところが、私の片言のブロークン・イングリッシュでは、とても伝わりません。

 

そこで、日本語でていねいに書いて、翻訳サイトで訳したものを、プリントアウトして読んでもらいました。

 

でも、そのオーストラリアの人は「???」という顔を・・・

 

そこで、今度はそれを日本語に訳して私が読んでみると、確かに単語の一部は合っているのですが、全体としてはわけのわからない文章となっていました。

 

皆さんも翻訳サイトで、そんな経験ないでしょうか?

 

これから、どれだけ翻訳サイトが充実していくか、見守っていきたいと思います。

 

さて、民法改正のお話です。

 

私たちに今の民法が全面的に適用されるようになったのは、1898年(明治31年)のことです。

 

その後、「家制度」の崩壊にともなった、親族関係や相続関係の分野については大改正が一度されています。

 

でも、それ以外の取引の部分については、改正はあったものの、根本的な改正ではなく、つぎはぎだらけで、時代に合わなくなっている条文もあります。

 

つまり約117年間も大改正は行われてこなかったんですね。

 

例えば、時効期間について、お金を貸したら10年間時効で消滅しないのに、旅館や料理店の飲食・宿泊料はたった1年で時効で消滅してしまいます。

 

でも現実には、10年も貸したお金を放っておくことは殆ど無いでしょうし、いくらお店でやっているとしても1年は短すぎです。

 

その他にも、例えば交通事故の損害賠償請求の時には、損害額に事故発生時から年5%の利息がつきます。

 

でも、今の時代どこに5%の利息を保証してくれる金融機関などあるでしょうか?

 

交通事故だと、その元金にあたる損害が数千万から億単位の額になることも珍しくないので、裁判で争っていると莫大な利息がつきます。

 

たとえば、2年間裁判で争って、5,000万円の損害という判決が出た場合には、それに500万円の利息がついてくるのです。

 

これは利率として高すぎで、せめて3%くらいにした方が良いという案が出ています。

 

このように、時代とともに社会の流れに合わなくなっている条文が多々あるので、それらをまとめて改正してしまおうというものです。

 

今年中には国会に提出される予定らしいですが、実際に私たちに適用されるようになるのに少し猶予期間を設けるようです。

 

その間に、私たち弁護士は必至に勉強することになると思いますので、その都度、改正で皆様にお役に立ちそうな情報をここで書いていく予定です。

 

今後、折りに触れて、民法改正について、私たちがどう使えばトクして、どうすれば損してしまうのかについてお話していきたいとおもいます。

 

※ 上記の改正民法は令和2(2020)年4月1日に施行されました。

 

「日常生活の法律問題」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。

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上を向いて歩こう ~ 建物所有者の怖い責任

ご存じ、坂本九の歌った歴史に残る名曲ですよね。

 

作詞・作曲とも本当にシンプルでありながら、独自の世界観を表しており、私も大好きな曲です。

 

「一人ぼっちの夜」と歌いながら、何故か人の温かみが伝わってくる不思議な詞とメロディーです。

 

これは計算して出来るレベルではないでしょう。

 

世界中でヒットし、特にアメリカではビルボード誌(アメリカの週刊音楽誌)の3周連続第1位となり、この記録は、日本のミュージシャンが未だに破れない記録とのことです。

 

私も犬の散歩を夜遅くしている時に、ふと夜空を見上げて、考え事をすることはありますが、昼間町中を歩いている時には上はほとんど見ません。

 

皆さんの多くもそうですよね?

 

でも、札幌で最近起きた「札幌かに本家」の看板落下事件を聞くと、街中でも上を向いて歩かなければいけないのかと思ってしまいます。

 

この事故で、看板が当たった21才の女性が、首と頭の骨を折って意識不明の状態となってしまったそうです。

 

もちろん、被害者は気の毒であり、私たちも何時同じ事故の被害者になるか分からないという怖さはあります。

 

でも、皆さんが加害者となる可能性を考えてみたことはありますか?

 

今回の事故では、加害者は、民法で定める「土地の工作物の責任」を定めた民法717条1項の責任を、被害者に対して負います。

 

「札幌かに本家」の看板は「土地の工作物」にあたるので、その設置や保存に問題があれば、㈱札幌かに本家が損害賠償責任を被害者に対して負います。

 

もし、21才の女性が植物状態になってしまったら、その損害額は2億を超える額になると予測されます。

 

そこで、質問です。

 

皆さんは、TVアンテナ、壁に直接とめた玄関灯、その他の建物付属物がご自宅の建物にあったりしますか?

 

もし、これらの取り付け方が不十分で、強風や台風で飛んでしまい、誰かの頭にあたって同じ傷害を与えたら、同じ責任を皆さんは負う可能性があります。

 

そして、第1次的には、「占有者=実際にそこを使っていた人」が責任を負います。

 

今回の事件で言うと「㈱札幌かに本家」が占有者にあたります。

 

そして責任が非常に重いため、この占有者は、自分から損害の発生防止措置などの管理をしっかりしていたことを証明しなければ損害賠償責任を免れません。

 

看板自治も大分錆び付いていたようですから、今回の事件では「㈱札幌かに本家」は責任を負わざるを得ないでしょう。

 

でも更におそろしいのは、札幌かに本家が定期的に検査をして、固定ボルトなどを新品に変えていたのに事故が起きてしまった場合でも、今度はビルの所有者が無条件で責任を負うのです。

 

ですから、究極的には、土地の工作物を所有している人は、自分に何の過失が無くても、突然数億円の責任を追及されるおそれがあるんですね。

 

そうすると、例えば、皆さんが持ち家のアンテナや屋根の一部が壊れてその破片が通行人に当たった場合には、皆さんは無条件で損害賠償責任を負うことになる可能性が高いです。

 

被害者も気の毒ですが、加害者も相当重い責任を負わされます。

 

ですから、持ち家を取得した場合には、火災保険の中などで、土地の工作物責任までカバーするような特約に必ず入ることをお勧めします。

 

私も、土地の工作物責任を追及されるのが怖いので、事務所も建物からはみ出るような看板はつけずに、壁に文字を直接貼り付ける形式のものにしてもらっています。

 

上を向いて歩けば防げるような事故なら良いのですが、どうもそうは行かないようです。

 

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カテゴリー: 日常生活の法律問題 |

隣人は子供嫌い

東京都の「ふるさと回帰支援センター」の調査によると、2014年の調査で移住希望県が1位だった長野を抜いて、山梨がトップに立ったそうです。

 

ちなみに2位は長野、3位は岡山、4位は福島、5位は新潟だそうです。

 

寒さが苦手な私にとっては、寒い所への移住は勘弁願いたいので、(静岡県が一番好きなのは置いて)万が一移住することになったら、第1希望は沖縄第2希望は広島といったところでしょうか。

 

広島は、何回か遊びに行った時の町の雰囲気が好きだったことと、サッカーや野球で育成重視のスタンスをとっていることで良いイメージを持っていることです。

 

もちろん、瀬戸内海に面していて晴れの日が多いということも大きな理由です。

 

人それぞれとも思いますが、普通に考えると、北海道か沖縄あたりが上位に来そうですが、アンケートを東京で取っていることや母数が2,885人と少ないことから、日本人全体の傾向では無いような気もします。

 

さて、本日は不動産売買トラブルのお話です。

 

私たちが住宅を購入する時には、新築はもちろん、中古住宅でも、土地や建物に注意が行きがちです。

 

でも、隣人のことも忘れずにチェックしなければなりません。

 

裁判で本当にあった事件ですが、隣人が極度の子供嫌いで、不動産を買ったのに住めなかったケースがあります。

 

新築であれ、中古であれ、一戸建てを購入する動機の中に、お子様のために広いスペースや子供部屋を取ってあげたいというものも多いと思います。

 

そして、いざ、住宅を買ってみたら、入居の準備に行く度に、隣の人から「うるさい!」と怒鳴られたり、「前の住人(売主)みたいに追い出したるわ、覚悟しいや」と言われました。

 

更には、ステレオの音を大音量にしたり、ホースで水をかけてきたりしました。

 

皆さんだったら、こんな住宅に引っ越してきたいと思いますか?

 

当然、買主も前の住人である売主や仲介業者が、この事実を知って隠していたのでは無いかと疑問に思い、確認してみました。

 

すると、売主はもちろん仲介業者も、前の購入希望者が住宅の中を見に行った時(これを「内覧」といいます)に、やはり隣人から「うるさい!」と言われて売買が見送られたことがあったことが判明しました。

 

しかし、それを言ったら売れないと思い、買主が「同じ子供を持つ親として聞いておきたいのですが、本当に近隣に問題はありませんか?」と売主に聞いた時にも、売主は「問題ありません」と答えていました

 

でも、実は売主は住んでいる時に、「うるさい!」と何度も怒鳴られたり、洗濯物に水をかけられたり、泥を投げつけられたりしていたんですね。

 

この場合、売主や仲介業者に責任は生じるのでしょうか?

 

大阪高裁は、売主や仲介業者に対する買主からの損害賠償請求を認めました。

 

このような隣人に大きな問題があり、買主にとってそれが購入の動機に大きな影響を与えるようなケースでは、売主も、仲介業者もその事実をしっかりと買主に説明する必要があるとしたんですね。

 

確かに、この事例ほどひどくなくても、隣人がどんな人かは、住む時にはとても気になりますよね。

 

住宅の購入には、色々な注意と説明が必要だということです。

 

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カテゴリー: 不動産のトラブル |

一番初めの趣味は読書

こんにちは。弁護士の谷川です。

 

私は「考える」「感じる」ということが、私自身の人生そのものだと思っています。

 

弁護士という仕事が気に入っているのも、思考停止になることが許されず、常に「感じて」「考えて」「判断する」ことが求められるからだと思います。

 

そして、私のそのような人生観を作ったのは、まぎれもなく読書です。

 

私の読書は趣味というより、水や食べ物に近いもので、本が無いと苦しくなってしまいます。

 

特に誰からも読書を勧められた訳でも無いのに、いつの間にか読書中毒になっていました。

 

親から言われたのは、2~3才の頃から、絵本を十数冊持たせておけば、おとなしくしているという性格だったようです。

 

逆に、絵本がないといつのまにかどこかへ出かけてしまい、怪我をしたり泥だらけになって帰ってくるので、親としては、絵本を購入したり、当時の「移動図書館」なるものをフル活用していたようです。

 

良く両親が本を読んでいる姿を見れば、子供も自然と本好きになるといいますが、私の直系血族においては、そのような歴史は全くありません。

 

逆に、私が小学生の頃、親に「どうして本を読まないの?」と聞いたような記憶があります。

 

歩きながら本を読む自分の方がおかしいと気づいたのは中学生になってからでした・・・

 

その後も、本の世界に入り込んでしまうと周囲の物音が自動的にシャットアウトされてしまうので、友人の呼びかけに答えなかったりして、「本バカ」とか言われていました。

 

ですから、私の趣味の中で最も歴史の長いものが読書ということになります。

 

読書の感想を書く習慣がありませんでしたが、最近「読書メーター」なるアプリが出来て、他の方の感想も読めるようになったので、時折書き込みながら楽しんでいます。

 

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カテゴリー: 事務所の弁護士の趣味など雑談 |

シェパードがチワワに突進?

「イヌ派」、「ネコ派」って良くいいますよね。

 

私が、前回、ネコの話ばかり書いてしまったので、私が完全なネコ派だと思われた方も多いかもしれません。

 

でも、実は、同じくらいイヌも大好きです。

 

現在も、12才のラブラドールレトリバーと暮らしており、このラブ(メス)も、私の言うことしか聞きません。

 

他の人の指示は怒鳴りつけられても聞きませんが、私の言うことは普通の声で指示するだけで、しっかりと聞いてくれるので、「違うイヌ?」と獣医さんや散歩仲間に冗談混じりに言われます。

 

もちろん、私のもともとの能力などではなく、私が必死で本を読んで調べたり、「飼い主のしつけ教室」へ通って努力した成果ですが・・・

 

さて、犬に関して、6日の金曜日、大阪地裁で出された判決が新聞に掲載されていました。

 

事案は犬同士のトラブル。

 

シェパードの飼い主が駐車場に鎖でつないでいたところ、その鎖がはずれてシェパードは路上に飛び出して、散歩していたチワワに突進!

 

シェパードが噛んだりはしなかったようですが、その直後、チワワは急激な興奮による心不全で死亡してしまったそうです。

 

民法では、動物の占有者=動物を保管する者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を原則として負うとしています。

 

その上で、動物占有者がしっかりと管理していたことを立証した場合だけ責任を免れるとして、飼い主に重い責任を定めています。

 

ですから、この場合も、鎖がはずれるような管理をしていた飼い主は、しっかりとした管理をしていなかったとして損害賠償の責任を負うのです。

 

なお、この飼い主のシェパードは数日前にも逃げ出していたようです。

 

家族にとっては可愛い犬なのでしょうが、他の犬に突進していく性格の犬であれば、その性格を考慮して、きめ細やかな飼い方をしてあげないと、愛犬も可愛そうです。

 

これに対して、チワワは15才と高齢だったため、興奮による心不全も因果関係があると判断されたのでしょう。

 

この判決で、法律的な視点から1点、犬好きの視点から1点、注目するところがありました。

 

一つ目の法律的な視点は、損害の内容です。

 

今までの判決の原則的な理屈では、物を壊されても、損害の内容はその物の時価であり、慰謝料は発生しないはずです。

 

更に、物の価値は時価で図るので、例えば自動車であれば、耐用年数や現実の取引価格を基準にします。

 

これをチワワに当てはめると、小型犬の寿命年齢である15才のチワワは、自動車で言うと耐用年数を経過しており、これをほしがる人もいないでしょうから取引価格も無く0円ということになります。

 

もちろん、愛犬・愛猫を機械と同じように扱うことには、私も大きな抵抗はあります。

 

でも、牛や豚を何の躊躇も無く殺して、殆ど毎日食べている私たちが、「動物は物ではない!」と偉そうに言えるのでしょうか?

 

私としては、やはり犬や猫の価値自体は物として計算するしかなく、本来の損害(主観的価値)は飼い主の慰謝料として換算すべきだと思います。

 

つまり、牛・豚や他人の犬よりも、自分の犬の方が可愛いのは当たり前ですから、自分の愛犬や愛猫が怪我を負ったり、死亡すれば、精神的に大きな傷がつくのが普通です。

 

社会通念から言って、自動車を事故で廃車にした時とは比較にならない精神的傷害を負うでしょう。

 

その意味で、今後、特に犬の事故が多いですが、死亡した犬の飼い主の慰謝料は、もっと高額にすべきだと思います。

 

不貞行為で夫や妻が傷ついた精神的傷害を、婚姻年数や不貞により夫婦が離婚したか、などの個別の客観的事情から判断していますよね。

 

とすれば、死亡した犬の飼い主の心の傷も、

 

① 一緒に暮らした年数

② 室内犬か否か

③ 毎日の散歩の回数や時間

④ 飼い主の収入に対する犬にかけていた費用の割合

など、客観的な事実から精神的損害も十分に計ることができると思うのです。

 

この判決では、報道によると葬儀費を含む約20万円+弁護士費用2万円の合計約22万円が損害とのことです。

 

こういう場合、弁護士費用は、損害額の1割程度ですから2万円は当然の額です。

 

そして、慰謝料18万円で、葬儀費用を加算して20万円とのことです。

 

とすると、やはり、葬儀費用は業者に依頼して2万円程度でしょうから、チワワ自体の価値は寿命年齢に来ているので、ほぼゼロ円~数千円だと積算したのでしょう。

 

その上で、民法上「物」と扱われる犬について、その飼い主に相当額の慰謝料を認めたもので、画期的だと思います。

 

ただ、イヌ好きの個人的な感覚ですが、15年も一緒に暮らしてきたチワワの死亡については、高額で売っているチワワよりも確実に多い額、つまり30万円~40万円程度にして、

 

「買主の心の傷は販売価格より確実に大きい」(新しいイヌを購入すれば済むという問題ではない)

 

という性質を明確にしても良いのでは?と思いました。

 

次に、犬好きのもう一つの視点で気になったのは、判決が「体格差のあるシェパードに突進されたのは脅威だった」としている箇所です。

 

「犬の心が読めるのか!?」という突っ込みは置いておいて、過去の歴史から言われているチワワの特性から考えてみましょう。

 

チワワの飼い主さんいらっしゃいますか?

 

私が昔調べた所では、チワワの多くは相当気が強くて、大型犬にも向かっていく性格のものが多いと書いてありました。

 

とすると、15才のチワワも興奮したのは事実でしょうが、シェパードに立ち向かっていって力を使い果たしてしまったのではないでしょうか?

 

シェパードも、本当に獰猛な性格なら、一発でチワワをかみ殺しています。

 

でも、接触しただけですんでいるのは、チワワの最後の気迫に押されて立ち向かえなかったように思えます。

 

最後まで、強気を捨てなかった15才のチワワに拍手です。

 

「日常生活の法律問題」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。

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カテゴリー: 日常生活の法律問題 |

相棒は愛猫

こんにちは。弁護士の谷川です。

 

私が動物好きだというお話は以前もしたと思います。

 

特に、一緒に生活ができる、犬・猫・鳥には目がありません。

 

現在も、ラブラドールレトリバー1頭と雑種の猫1匹、アメリカンショートヘア1匹の合計3匹と一緒に暮らしています。

 

生まれつき動物は好きでしたが、更に大好きになったのは素晴らしい動物たちとの出会いからです。

 

小学生の頃の友達の家の柴犬との出会い、とても賢い文鳥との出会い、そして、心から信頼できる相棒だった猫との出会いが私を動物好きへと導いてくれたのです。

 

そのうちでも、特に忘れられないのは、相棒猫との出会いでした。

 

私が大学を卒業して静岡県庁に入庁してわずか3ヵ月で、私の父が突然死してしまいました。

 

52才という若さでした。

 

無くなった年齢の若さや、予測できない死亡という結果からショックも大きかったですし、まだ妹が大学3年生だったので、その将来も考えてやらなければならず、私は仕事から帰ってくると、落ち着いて部屋にいられず、深夜に一人で考え事をしながら散歩するのが日常となっていました。

 

すると、当時あったイチジク畑の脇に拳ほどの大きさの真っ白な塊があるのが目に飛び込んできました。

 

「何だろう」と近寄ってみると、真っ白な毛にブルーグレーの瞳、ピンクの耳をした絵本から抜き出てきたような子猫でした。

 

しばらく、絶句して見ていると、その子猫は一言も鳴かずにジーッと私の目を見ています。

 

私は、その子猫の前にキャンプで使うような紙皿が置いてあり、わずかばかりのドライのキャットフードが置いてあるのに気がつきました。

 

後から調べて分かったのですが、子猫のときは目の中にある虹彩という部分に色がしっかりとついていないため、ほぼすべての子猫は、その目は薄く濁ったような「あい色」になっているそうです。

 

これをキトンブルーと呼び、それは生後20日前後から薄れていき、本来の目の色になっていくそうです。

 

そうすると、その子猫は少なくとも生後1ヵ月以内に捨てられたものだと推測されます。

 

その年齢の子猫がドライのキャットフードを食べられるはずもなく、おそらく捨てられてから全く何も口にせず、全世界を恐怖の対象と見ていたのでは無いかと思います。

 

私が、見つめ合いに負けて、その子猫を両手の平ですくい上げたとたん、私の目をみながら、か細い声で何度も「ニャー、ニャー」と鳴き始めました。

 

よほど心細かったのを我慢していたんだろう」と思わせる鳴き声でした。

 

もう、こうなってしまえば、捨てることはできません。

 

自宅に連れて帰って、母親に説明して飼うこととなりました。

 

キャットミルクなどという上品なものが無かった時代ですので、私が牛乳を生暖かく温めてあげると、嬉しそうに飲んでいました。

 

だんだん、彼(雄猫でした)の目の色はブルーグレーからエメラルド色に変わりましたが、真っ白な美しい毛並みとピンクの耳と肉球はそのままでした。

 

もちろん、捨てられていたのですから、雑種の日本猫なんですが、私が「相棒」として今も忘れられないのは、彼の聡明さと優しさ、そして私だけを特別扱いしてくれたことです。

 

母親も私と同じくらい猫かわいがりをしていたのですが、なぜかいつも私のそばにいました。

 

私が帰ってくるのを待ち構えていて、下駄箱や廊下の影から飛びかかってじゃれてきたのを今でも思い出します。

 

冬は、私が風呂から出てくるのを洗面所で待っていて、「相棒、分かってるだろ、早く座ってくれよ」とばかりに鳴いて要求してきます。

 

私が自分の部屋へ行って座ると、お風呂で私の体が温まっていることを知っているため、すぐに膝の上に寝てゴロゴロ言っていました。

 

何千時間、彼を膝の上にのせて何百冊の本を読んだか数えきれません。

 

また、肩こりの時に、肩に当てて振動させて肩こりを和らげる電動マッサージ器を使っていると、必ずそばに来て、「俺も肩こってるんだけど」とトントンと私の腕を肉球で叩いてきます。

 

「まったく、しょうがないな~」と言って肩に当ててやると、全身を床に伸ばして目を細めてゴロゴロ言っていました。

 

そして、彼は非常に平和主義で、家族の喧嘩を止めに入ってくれました。

 

家族で喧嘩していると、座っている私の肩に両手を乗せ、私の耳の側で「相棒、喧嘩はみっともないぜ」とばかりに、大きな声で鳴いてきます。

 

そして、泣いている人がいると、その涙を舐めに行ってあげていました。

 

私が、「彼は猫だけれども、自分より器が大きいな」と感心した一例です。

 

とにかく、自分で考えて動く猫で、その考え方が優しくて聡明なのです。

 

他にも、交通事故が怖いので、時々ヒモをつけて庭に出してやっていたのですが、自分が出たい時には、そのヒモをくわえて玄関まで持って行って、家族を呼んだりしていました。

 

常に、私に対して、面白くて大切なメッセージを発信してくれていたので、ペットというレベルで考えることは出来ず「相棒」と呼ぶにふさわしい存在でした。

 

「あんなに聡明で優しいネコは見たことがない」というのが家族全員の共通意見でした(母親は実家で5~6匹のネコを飼った経験があります)。

 

これで、私に「ネコ好きになるな」というのが無理な話です。

 

彼を高齢と病気の併発で失った時には、心の一部が死んでしまったような寂しさを覚えましたが、ペットロスに至らなかったのは、彼と会わなければ、あのような暖かくて楽しい時間は持てず、父親の死を乗り越えることが、より大変な作業になっていたからです。

 

彼を失って15年以上たちますが、彼の勇姿は私の心の中にしっかりと残っており、これは一生の宝物として失うことは無いでしょう。

 

P.S.何か懐かしくなって、アルバムを探したら1990年当時の相棒の写真が出てきました。写真を更に撮影したので画像は粗いですが自分の記念のためにアップしておきます。 

出会った時から、人の目をじーっと見るのが癖でした・・・

出会った時から、人の目をじーっと見るのが癖でした・・・

 

 

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