「自分でやれる離婚調停(後編)」の動画をアップしました

たくさんの方々のメールマガジンへのご登録ありがとうございました。

 

今後ともよろしくお願いいたします。

 

さて、今回は、離婚調停の動画の後半のご紹介です。

 

動画はYou Tubeにアップしてあります。

https://www.youtube.com/watch?v=dGCFDY3bPoo

 

お話しの流れは以下のとおりとなりますので、プリントアウトするか、ご参照いただきながら聞いていただくと、より分かりやすいと思います。

 

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1 どのような服装で行ったら良いの?

 → 普段着で良いが、何でも良いという訳では無い。

 → 服装よりむしろ態度の方が大切。

 

2 何か資料を持って行く必要があるの?

 → 申立書を提出する時→戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)は必須。

→ 年金分割を請求するなら「年金分割のための情報通知書」も必要。

→ 財産分与を求める時には、自分や相手の財産(預金通帳のコピーな

  ど)が分かる資料を提出する。

 

3 終わるまでにどれくらい日数がかかるの?

 → 離婚調停の場合、期間は大まかに言って半年~1年くらい。

→ 調停の期日が、1ヵ月~1ヵ月半に1回程度開かれるので、合計3

  回〜10回程度となる。

 

 → 時間は2時間程度で、1日に以下の3コマの時間が予定されている。

  ① 午前10時~午後12時頃

  ② 午後1時10分頃~午後3時頃

  ③ 午後3時10分頃~午後5時頃

 

4 どのような形で終わるの?

  → 調停成立(解決)又は調停不成立(不調)で終わる。

 

 → 調停が成立して調書が作られると、養育費などの金銭の請求について  

  は強制力があることに注意。

 → 離婚調停が不成立(不調)で終わったが、どうしても離婚したけれ

  ば、離婚訴訟によるしかない。

 

5 DVの場合の注意点は?

 → DV=ドメスティック・バイオレンス=家庭内暴力

 

 → 住所を配偶者に知られたくない場合には、申立の時に「非開示の希望

  に関する申出書」を提出する。

 

 → 調停期日での初回や最終回にも会いたくない(精神的に会えない)よ

  うな場合には申し出をする必要がある。

 

 → 暴力を受けた時の診断書・現在の主治医の診断書などを一緒に提出す

  ると良い。

 

6 弁護士はつけなければならないの?

 → 離婚訴訟と違って、弁護士は必須ではなく、むしろ8割程度の離婚調

  停は弁護士なしで行われている。

 

 → もっとも、事件の中には弁護士をつけるのが遅れて、精神的・経済的

  に大きな損失をすることもあるので、不安になった時には、早めに無料

  相談をうまく利用しよう。

 

7 最後のおさらい

離婚調停を申し立てる時にこの項目のチェックを忘れないように!

① 離婚の請求

② 親権者の指定

③ 養育費の請求

④ 財産分与の請求

⑤ 年金分割の請求(年金が少ない方が申し立てる)

⑥ 慰謝料の請求(発生する時)

⑦ 婚姻費用分担調停の申立

⑧ 面会交流の申立

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離婚の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。 

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カテゴリー: 離婚のお話 |

「自分でやれる離婚調停(前編)」の動画をYou Tubeにアップしました

最近、芸能人の不倫騒動が報道されていますね。

 

その資料としてLINEの会話が公開されています。

 

これは、不貞行為の訴訟でも良く証拠として出されるものです。

 

「どうしてこのLINEの記録が漏れるのか?」

 

疑問ですよね。

 

私の経験から色々と推測はできるのですが、これは公開のブログでは書きにくい内容です。

 

メールマガジンで配信しているので、興味のある方は、トップページの左下にある「メルマガ登録」からアドレスだけをご登録いただければ幸いです。

 

さて、離婚調停について、ご自分で行う場合の注意点については、このホームページの離婚のご説明にも書いてあります。

 

もっとも、動画でお話しした方が分かりやすいと思い、私(谷川)が、ご自分で離婚調停をしようする方や弁護士に相談するか迷っている方向けに、道外でご説明することにしました。

 

2回に分けてご説明しますので、今回は前半編のご紹介です。

 

動画をYou Tubeにアップしました。

https://www.youtube.com/watch?v=dGCFDY3bPoo

 

この動画を聞くのに、以下に書いた内容をプリントアウトするなどして、見ながら動画を聞いていただくとより分かりやすいと思います。

 

よろしければ、資料を見ながら動画をご覧ください。

 

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1 裁判との違いは?

 → 家庭裁判所の建物を使っているが、裁判ではなく、調停委員を介した

  話し合いの場。

 

2 離婚調停にかかる費用って高いの?

 → 申立費用は、弁護士に頼まなければ非常に安い。

 

3 申し込みの手続きは大変なの?

 → 家庭裁判所の家事事件担当の窓口で、申立用紙をもらう。

 → 調停申立書は3枚複写の用紙になっている。

 → そのうち1枚は相手(夫・妻)に送付される。

 

4 相手が裁判所に出てこないとどうなるの?

 → 一応の罰則はあるが、効力は低い。

 → 離婚調停の場合は、不出頭の場合、何も決まらずに調停前の状態に戻

  る。

 → ただし、婚姻費用分担調停や面会交流調停など、審判移行もあること

  に注意。

 

5 相手と顔を合わせることになるの?

 → 家庭裁判所によって運用が違うが、

  ① 第1回に手続の説明をする

  ② 調停の最終回

  には、夫婦同席を裁判所から求められることもある。

 → それ以外の話し合いの場面では、直接、顔を合わせて離婚の話をしな

  いような配慮がなされている。

 

6 部屋の配置はどうなっているの?

 → 「申立人待合室」と「相手方待合室」に分けられて、待機している。

 → 待合室には、調停委員が呼びにきてくれる。

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離婚の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。 

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幼少期の性的虐待と加害者への損害賠償請求

「24人のビリーミリガン」というお話しを聞いたことがあるでしょうか。

 

アメリカで実際にあったレイプ犯の話です。

 

その犯人ビリーミリガンは、幼児期に義父から過酷な性的虐待を受けて自殺しようとしたことをきっかけに、それを止めるための別人格が発生しました。

 

そして、ビリーは自殺を図る危険人格として、本人の中でリーダーシップを取る別人格によって眠らされるのです。

 

ビリーが目覚めるたびに、何か悪い事が起きています。

 

ビリーはそれに気づき、また自傷行為を開始して、他の人格に眠らされます。

 

このノンフィクションを書いたのが、「アルジャーノンに花束を」でヒューゴー賞を取ったダニエル・キイスです。

 

世の中に「多重人格」というショッキングな精神障害を知らしめた一人です。

 

幼少期の性的虐待が、大人になってから様々な精神障害を引き起こすことは、今では法律家にとって常識ですが、当時は驚きをもって迎えられました。

 

昨年、最高裁で出された判決でも幼少期の性的虐待が問題となったものがあります。

 

このケースでは、4才〜9才にかけて、叔父から姦淫を含む性的虐待を受けていた女性(昭和49年生まれ)が、虐待を受けている当時に離人症とPTSDを発症しました。

 

離人症とは、多重人格と類似の症状で、自分が考えて行動しているのに、それを自分がやっている実感を感じられない症状を言います。

 

そして、更に、平成18年(32才の時)には、うつ病を発症しました。

 

そこで、その女性は平成23年4月に叔父に対して、不法行為を理由とする損害賠償請求訴訟(請求額:3,270万円)を起こしました。

 

不法行為というのは、違法に人の生命、身体、精神、財産などに損害(傷害)を与える行為で、この場合加害者は被害者に損害賠償の義務を負います。

 

ところが、この不法行為に基づく損害賠償請求権については、民法で請求できる期限消滅時効除斥期間)が定められています。

 

現在の民法では

① 被害者が損害および加害者を知った時から3年間

② 不法行為の時から20年間

のいずれかの要件を満たすと損害賠償請求ができなくなります。

 

とすると、うつ病の症状が続いている以上、①の要件は充たしませんが、性的虐待が終わったのが女性が9才の昭和58年ですから、②の要件を充たしてしまいます。

 

これを法律を通常通り解釈すると不法行為による損害賠償請求は認められないことになります。

 

札幌地方裁判所は、法律に忠実に判断し、被害者の女性の請求を認めませんでした。

 

そこで札幌高裁に控訴したところ、次のような判断をして女性の請求が認められ、最高裁でもこれが支持されたものです。

 

その考え方は次のようなものです。

 

不法行為という条文が定められた趣旨は、加害者と被害者との間で、加害者に金銭で賠償させることにより、加害者被害者との間で損害の公平な分担を図ろうとしたものです。

 

そして、確かに、②の起算点は「不法行為の時から」となっていますが、そもそも損害が一定の潜伏期間を経て生じるような性格のものの場合、一律に不法行為の時から20年で切ってしまうと、損害の公平な分担という法律の趣旨に反します

 

そこで、従来の判例では、じん肺訴訟・水俣病訴訟・B型肝炎訴訟などのように潜伏期間がある被害で、②の起算点被害(損害)の全部または一部が発生した時からとしていました。

 

この論理を、性的虐待を受けた子が、大人になって発症したうつ病についても適用し、子供の頃の離人症・PTSDとは分けて、大人になって発症したうつ病について損害賠償請求を認めるとしたのです。

 

最高裁は、子供の頃の離人症・PTSDについては②の要件を充たしてしまうため請求できないとしながら、うつ病については認めたうえで、判決で3,040万円の賠償を認めました。

 

ここで、被害者の請求額の殆どを認めていることから、法律の表面的な解釈上は子供の頃の離人症・PTSDを排斥しながら、実質的な金銭面では認めようとしたものと言えるでしょう。

 

つまり、札幌高裁、最高裁の裁判官たちは、法律を解釈しつつも、余りの幼児虐待の過酷さに涙と怒りを禁じえなかったと推測できます。

 

こんな所にも、細かく見ていくと裁判手続の背景が推測できたりします。

 

最後に、ダニエル・キイスの本の冒頭の言葉を。

「幼児虐待の犠牲者たち、とりわけ、隠れた犠牲者たちへ・・・」

 

「親族間のトラブル」のブログ過去記事についてはこちらをご参照ください。

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相続の寄与分~介護タイプは認められにくい?

先日、静岡市内のコメダ珈琲店で一服しました。

 

テーブルの横には「冬のサービスメニュー」という三角柱のメニューが。

 

そのメニューとは、

① (食べきれないものは)お包みいたします

② (充電がないぃぃいぃ)充電器貸し出します

③ (冷めてしまったものは)温めなおします

④ (寒がりなあなたに)ひざ掛け貸し出し

というものでした。

 

ちなみに、同じコメダ珈琲店でも、静岡市内の他の店にはこのようなメニューは置いてありませんでした。

 

喫茶店というビジネスは、決して流行りでも、先が明るいというジャンルのものでもありません。

 

でも、ここのコメダ珈琲店は何時もお客さんで一杯で、休日になると必ず順番待ちになります。

 

喫茶店で「メニュー」と聞いた時に「売ること」から入ると、商品を魅力的にメニューに書くことばかり考えてしまいます。

 

でも、多くの人が喫茶店に行く理由って何でしょう?

 

「家には無い雰囲気で、快適に会話・読書・仕事・勉強などをしたい」というのが今の多くの顧客のニーズではないでしょうか。

 

それを考えると、このコメダ珈琲店のサービスメニューには、「ビジネス=仕事=人のためになること」という来客者からの発想が表れています。

 

「成功するには、それだけの理由があるな~」と思わされました

 

さて、本論ですが、前からに引き続いて遺産分割における寄与分のお話しについて、ご説明していきたいと思います。

 

今回は、親や兄弟姉妹の介護をしたこと寄与分認められるのは、どのような場合か考えてみましょう。

 

相当ハードルが高いことに驚かれるのではないかと思います。

 

まず、第1亡くなった方(被相続人)が「介護をどうしてもしなければならないような病状にあったこと」が必要です。

 

ですから、ただ高齢というだけではダメですし、被相続人が施設に入所していれば、介護は施設の人がやっているので、これもダメです。

 

もっとも、施設に入所する費用を立て替えてやっていれば、立替金の請求を遺産分割の時に請求できます。

 

私の経験上では、多くの場合は被相続人の口座から施設の費用が引き落とされていることが多いようですが。

 

第2に、前回ご説明したとおり、相続人の介護が「扶養義務の履行」の範囲内でなく、「特別の」貢献をしたと認められることが必要になります。

 

例えば、毎日のように被相続人の自宅を訪問して食事やトイレ・お風呂の世話をしてあげていたなどのケースであれば認められるでしょう。

 

時々、訪問して様子を見たり、お弁当を持って行ってあげたりした程度では寄与分は認められません。

 

第3に、被相続人からお金をもらったり、相続人の生活費を被相続人の口座から引き落とすなど、介護を無償でやっていないケースでは寄与分は認められません。

 

ですから、寄与分を否定する側の相続人は、他の相続人が親・兄弟姉妹(被相続人)から、何か経済的な利益を受けていないか調査して主張することが必要となってくるんですね。

 

第4に、介護が相当長期間に継続していることが必要です。

 

一般的には1年以上必要と考えられるようです。

 

つまり、被相続人の病状が急激に悪化して、亡くなる直前の数ヶ月看病しただけでは、その内容にもよりますが、基本的には寄与分は認められにくいということになります。

 

第5に、相続人の生活の中で、介護が中心になるほどの重さがなければいけないと言われています。

 

相続人が自分の仕事はしっかりとやりながら、帰りに立ち寄って食事とお風呂の世話をする程度だと、寄与分は認められにくいと言えるでしょう。

 

第6に、介護をすることで、専門職のケアマネージャーとか介護する人を雇わないですんだため、具体的に被相続人の財産が減らないですんだという因果関係が必要です。

 

ですから、専門職の介護者を依頼する必要が無いようなケースでは寄与分は認められないということになります。

 

そして、最後に、介護タイプの寄与分で最も苦労するのは、証拠による証明です。

 

単に、寄与した相続人が主張をするだけでは、他の相続人から否認された場合に、裁判所としても判断が困難です。

 

例えば、自宅介護の場合、スーパーで買ったレシートと介護日記を合わせて保管しておけば、その日時から介護を客観的に説明し易いと思います。

 

このように、寄与分は認められにくい上に、介護タイプでの寄与分は更にハードルが高いため、記録と証拠をしっかりと保管しておく必要があるんですね。

 

逆に、介護タイプの寄与分を否定したい相続人は、上にあげた要件に沿って、しっかりと理由をつけて否定していけば効果的ということになります。

 

相続の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。 

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カテゴリー: 相続のお話 |

「いい弁護士の選び方」という本を読んで

新年、おめでとうございます。

 

今年が皆様にとって良い年となることをお祈りいたします。

 

年末年始の休暇のために、読む本を買いだめしに書店に行ったところ、比較的新しい(昨年の8月出版)「いい弁護士の選び方」(発行所:株式会社翔泳社)という本があったので、購入してきました。

 

著者の大坪孝行氏は、士業コンサルティングを主要業務とする「株式会社アンサーブ(2010年設立)」の代表取締役です。

 

最近は、「士業」つまり弁護士・公認会計士・税理士・司法書士・行政書士など「士」がつく職業のコンサルティングが流行っているようです。

 

「専門的知識はあるけれど、営業が下手な人が多い」という視点から、コンサルの対象として一つの職域になっているようです。

 

この本を読んで、同じ感想の部分と違和感のある部分で、皆さんの参考になりそうな事項を、いくつかピックアップしてみました。

 

【ピックアップ1~同感】

「ここ最近、インターネットやSNSの普及により、弁護士以外の一部の士業が違法と思われる広告を平然と出している事例を見かけることがあります。」

「決してそのような広告に飛びつくことはないよう、注意して下さい。」

 

これは、最近では分野として相続・離婚・交通事故が多く、無資格者や行政書士が事実上交渉まで立ち入っているケースが多いようです。

 

交渉をする場合には、交渉を有利に進めるためや、交渉がうまくいかなかった場合に備えて裁判手続の知識が必ず必要です。

 

裁判で戦って勝てない事案で、強気の請求を曲げないと大損失を招くでしょうし、逆に判決見込み額が、交渉時の請求額より明らかに多ければ、強気の交渉で良いでしょう。

 

その判断は、訴訟経験のある弁護士しかできないでしょう。

 

【ピックアップ2~違和感】

「そもそも弁護士の委員会活動とは弁護士会内の委員会活動なので、相談者の立場で言えば、正直なところあまり意味がありません。」

 

私は、「委員会活動は仕事に意味は無い」と言い切る弁護士がいたら、むしろその方が相談者にとっても良くないのではないかとと思います。

 

確かに、委員会活動は弁護士会に登録する弁護士が行う公益的活動ですから、仕事そのものとは言えないでしょうし、委員会活動ばかりやっている弁護士もいないでしょう。

 

しかし、委員会活動も弁護士が行うという以上、法的発想と無縁ではありません。

 

例えば、私が現在(2915年1月現在)所属している委員会を例に考えてみます。

 

「消費者問題委員会」では、今被害が生じている消費者問題(例えば、未公開株の購入詐欺など)の110番という電話相談や社会的に大きな問題となっている事件の集団訴訟(例えば、富士ハウス㈱の倒産により家の建築が途中で止まってしまった被害者のための調停や訴訟)などを必要に応じてやっています。

 

そして、活動の中では、同じ事務所だけでは得られない多様な消費者問題の訴訟外の交渉や訴訟のやり方、加害会社が金銭を回収できる相手なのかどうかなどについて経験を聞くことができます。

 

これは、本や事務所内だけでは得られない体験でしょう。

 

「法教育委員会」では、中学校まで行って法的な考え方を分かりやすく伝える出前授業を行っており、これは相談者の方に法的問題を分かりやすく伝える能力の向上に大いに役立っています。

 

会内のルールの文言を検討をする「会則等改正委員会」は、法律解釈の力や契約書の文言チェックの力を鍛えるのに有益です。

 

このように、委員会活動の中では、普段の仕事とは違う視点で他の事務所の弁護士と法的な議論をすることができ、新たな経験を得たり、法的発想を知ることができるのです。

 

また、委員会活動の中での雑談で、違う事務所の弁護士が興味を持っている分野の新しい判例や地裁のマイナーな判決、困った事案を解決した経験談などを広く聞けるという相互の情報交換という意味でも仕事に有益です。

 

私も全ての委員会に出席できているわけではありませんが(弁護士会には他の仕事もあるので)、出席した委員会の有益な経験は、有形・無形に将来の相談者に還元されているという実感があります。

 

著者が昔、アルバイトとして所属していた事務所の所長弁護士を例に挙げていますが、「意味が無い」とするかどうかは、その弁護士のスタンス次第です。

 

皆さんの中で社会人経験がある方なら、何でも吸収して仕事に生かそうとする人の方が、人としても社会人としても伸びますし、良い仕事もするという経験はされているのではないでしょうか。

 

【ピックアップ3~同感】

「弁護士費用が安いということは、何かしらのカラクリがあります。『弁護士費用が安い=悪い弁護士」では決してありませんが、弁護士が対応するのか事務員が対応するのか等注意点はたくさんありますので、慎重に選ばれることをお薦めいたします。」

 

その通りですね。

 

弁護士費用を、依頼者の経済的事情を考えて善意で安くしてくれる弁護士もいるため、安いから悪いとは決して言えません。

 

ただ、全ての事件を一律に安いとインターネットで宣伝するような事務所は、「安いなりの仕事」しかしないことが多いでしょう。

 

「安いなりの仕事」とは、

弁護士になりたての者を使い捨てのように採用し、安い給与でこき使うことで単価を下げているケースや

法律知識のない事務員(給与も安い)に丸投げのような形で仕事をやらせているケース

です。

 

前者の弁護士は依頼者の利益のために頑張る理由を見つけにくいですし、後者は知識も無く、法廷にも出ていけない点で依頼者にマイナスです。

 

いずれのケースでも、決して依頼者のプラスになることはなく、ボスの弁護士だけが懐に金銭を入れるためにやっていることでしょう。

 

【ピックアップ4~違和感】

知人や友人の紹介の次にお薦めなのが「ポータルサイトで探す方法」です。

 

ポータルサイトは、金銭だけ出せばどこの法律事務所の弁護士でもホームページでも紹介してくれます。

 

ポータルサイトというのは、いわば弁護士マーケティングをお金で丸投げしているにすぎません。

 

むしろ、自分で経営戦略を練れない(つまり仕事ができない)証拠になりかねないので、信用性が低いものと私は見ています。

 

なお、この著者の会社が「つなぐナビ」というポータルサイトを運営しており、上記記載の後に、「つなぐナビ」を図中で紹介していることにも着目した方が良いと思います。

 

【ピックアップ5~同感】

「事務所規模」「肩書」「マスコミ出演歴」「専門分野」の記載に騙されてはいけない。

 

確かに、事務所規模が大きかろうが、1人の事務所だろうが、弁護士の実力とは全く関係は無いでしょう。

 

実際に仕事をしてくれるのは、皆さんの目の前の弁護士だけです。

 

弁護士同士は、大まかな方針や悩んだ箇所だけを相談しあうことはあっても、基本的には1人で仕事をしていきます。

 

また、よほどの大企業の訴訟でもない限り、1人でやらないと、訴訟では特に一貫性の無い主張になって、失敗するリスクが増えると思います。

 

弁護士以外の肩書をたくさん書いてあるホームページは、それが仕事と直接の関連性が無い場合には、逆に人としての中身に不安を覚えてしまいます。

 

【ピックアップ6~同感】

「弁護士から直接連絡が来るのはいい法律事務所」

 

依頼者にとって「いい法律事務所」とは、依頼者のために親身になって頑張る弁護士がいる事務所です。

 

そのような弁護士は、簡単な日程調整や事務手続などを除き、事件の内容については必ず自分で事情聴取をします。

 

事務員が事件の内容まで連絡してくるような事務所は避けた方が良いでしょう。

 

【ピックアップ7~違和感】

「趣味」「出身地」など弁護士業務に関係なさそうな内容がホームページに記載されている事務所は避けた方が良い。

「皆さんもぜひさまざまな飲み会や趣味の場に足を運び、弁護士を探してみてください。趣味の場で出会う弁護士とは意気投合しやすいので、お薦めですよ。」

 

違和感は内容よりも、上記2つの記載が矛盾している所に強く感じました。

 

著者が本質的に言いたいことは、

「弁護士が依頼者と共通する趣味や価値観を持っていれば、雑談やコミュニケーションがとりやすく、精神的にも楽なうえに、良い仕事にもつながりやすい」

ということだと思います。

 

それ自体は当たっていると思いますが、それだけの深い趣味があれば、ホームページでそれを紹介していない方が不自然です。

 

なぜなら、依頼者は弁護士という「機械」を動かすのではなく、「人」に依頼するので、「弁護士がどういう人か」も重要な判断要素だからです。

 

私もブログで、一般に理解してもらえそうな趣味の一部についてはご紹介しています。

 

その内容がマニアックすぎたり、自慢に見えたりするのであれば自然とその弁護士に好感を持たず、相談にもいかないと思います。

 

そして、共通の趣味であればあるほど、その内容が浅いものか、深いものか判断できてしまいます。

 

そういう意味では、趣味の内容の方が、専門的な説明よりも、弁護士の人間性を計るのにごまかしのきかない部分なので、共通の趣味を持つ人ほど、内容を良く読んで人間性を判別すべきでしょう。

 

【ピックアップ8~違和感】

いい弁護士の条件の一つである「紹介が多い弁護士」は、・・・ブログを書いていない。

「そんな時間があるのは暇な弁護士だけだ。」

 

これによると、私はブログを思い切り書いていますので、「紹介が多い弁護士」ではなく、「暇な弁護士」という結論になりますね(私はFacebookもTwitterもやっていますが、著者がそちらは評価しているのもちょっと分かりません。)。

 

私も多くの弁護士と同じように忙しいと思いますし、開業したてで仕事が無い時期を除いては、「暇な弁護士」に出会ったことが無いので、上記の記載は何らかの計算に基づくものか、ただの誤解でしょう。

 

紹介案件の多さや他の弁護士・裁判所からの信頼は、ブログを書いているという表面的なことで判断できるのでしょうか?

 

私は違うと思いますが、それはこのブログを読んでいただいている閲覧者が私のブログ内容を読んでご判断いただければ良いことだと思います。

 

なお、私も、さすがにブログ記事はすべて休日に書いて保存してありますので、平日の仕事時間にブログを書いているほど「暇」ではありません。

 

以上、個別のピックアップをしましたが、全般的に言うと、この本は、個人の民事事件のみを対象にした場合には、当たっている箇所もありますが、誤解や著者の宣伝のための情報もあるという印象でした。

 

なお、文末に数人の弁護士が(おそらく「いい弁護士」という趣旨で)紹介されています。

 

これらの弁護士が著者のポータルサイトに登録されていなければ(著者にお金を払っていなければ)、その情報の公平性と著者の良心を信用できるのでしょう。

 

弁護士選びにも、色々な見方があるので、複数の情報源から判断した方が正確な判断ができそうですね。

 

「弁護士のお話」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。

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カテゴリー: 弁護士の視点from静岡 |

相続の寄与分~「扶養義務の履行」とは?

クリスマスも終わり、もう年末ですね。

 

事務所は25日で終了しているのですが、私自身の仕事は今日も含めて何時ごろ一区切りつくのかちょっと不明です。

 

新しく弁護士が加入しましたので、来年からは今年よりも迅速なご対応ができます。

 

ご紹介はこのホームページの弁護士紹介欄で追ってさせていただます。

 

来年の始動は、例年私が担当している司法修習生の指導の開始日に合わせて、1月5日からとなっております。

 

よろしくお願いいたします。

 

さて、相続寄与分について、タイプ別に考えてみましょう。

 

今回は療養看護型、例えば親の看護をした子がその負担を「特別の寄与」として相続の時に主張できるのはどのような場合かということです。

 

これを考えるにあたって「扶養義務の履行」という言葉を理解しておく必要があるので、今回はこれをご説明します。

 

これは、

「子供が親を看護したとしても、年老いて働けなくなった親を子が扶養するのは法律上の義務として規定されているので、親の看護は義務を果たした当然のことで、寄与分とは言えない」

という考え方です。

 

この考え方は遺産分割調停では、調停委員裁判官から良く言われるので、覚えておくとよいと思います。

 

確かに、親と子の関係だけを切り取ってみれば、そのような考え方が法律的には正しいのでしょう。

 

しかし、兄弟姉妹が複数いる場合に、その間で見た場合、親の看護を一人の子やその妻がしていた場合に、相続割合を均等に分けることに非常に不公平感を感じるわけです。

 

法律上そのように定められている以上、寄与分といえるためには、通常の「扶養義務の履行」を超えた「特別の」寄与が必要となってきます。

 

そのため、寄与分を主張しようとする場合には、「特別の」寄与といえるだけの資料を相続前から用意しておかなければなりません。

 

これに対して、親の看護をしていない相続人の場合には、「特別の」寄与ではないと主張して、寄与を否定していくことになります。

 

遺産分割では、このような紛争が起きるケースが多いので、親の看護をした相続人も、していない相続人も「扶養義務の履行」という言葉をしっかりと理解しておく必要があるんですね。

 

相続の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。

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カテゴリー: 相続のお話 |

相続で寄与分を主張する前に

最近、東京へ行ったところ、東京地方での最高気温は11℃となっていました。

 

同じ日の静岡市の最高気温は15℃。

 

新幹線で1時間弱の距離で温度が4℃も違うとさすがに東京駅で降りた時に「寒いな」と感じます。

 

静岡から偉人が出ないのも、この暖かな気候でのんびりしすぎなのかもしれませんね。

 

さて、相続で当事者間では、重要な争いになる「寄与分きよぶん)」。

 

これについて、東京家庭裁判所からの情報をもとに、少し突っ込んだお話しをしたいと思います。

 

「寄与分」とは、親族関係から通常期待されるよりも多く亡くなった人(被相続人~ひそうぞくにん)の財産の維持や増加を、特別に助けたと認められる人に与えられる取り分です。

 

良く、「親の世話をした」ということが争われますが、同居の子が食事の世話とか病院への送迎をした程度だと、子が親に対する扶養義務を果たしただけなので、寄与分とは扱われません。

 

寄与分が認められるためには3つの重要な要素がありますので、これを覚えておくと良いと思います。

 

まず、1つめは、被相続人の主張する親などを助けた行為(寄与行為)が、親などが死亡する前の行為であることが必要です。

 

ですから、親名義の土地・建物の固定資産税を支払ったり、管理の費用を負担したり、葬儀費用を負担しても、それは寄与分の対象にはなりません。

 

もっとも、さすがに葬儀費用は領収証や請求書を出したうえで、相続人全員の合意で遺産から支出することが多いです。

 

お寺に支払うお金は領収証も請求書も出ないのが普通ですが、相続人の間では、「このお寺なら50万円」とか相場観があるようで、その額でもめることも少ないです。

 

次に、2つ目は、寄与分の法律的な要件を充たしていることが必要です。

 

寄与分の法律的な要件とは

 亡くなった人の財産の維持・増加をすることが、亡くなった人にとって必要不可欠であったこと

 その相続人のした行為が「特別な貢献」と認められること

 亡くなった人から対価をもらっていないこと

 財産の維持・増加行為が短期間ではなく、相当の期間あること

 実際にその維持・増加行為で、遺産の価値が維持されたり、増加したという事実があること

の5つです。

 

相当ハードルが高いですよね。

 

ですから、「親の世話をしたこと」が寄与分ではなく、その世話をしなければ、特別にヘルパーを依頼しなければならないので、その費用が浮いたという点が寄与分なんですね。

 

そのため、同居している親の世話の場合には、特にヘルパーに頼むほどではないという場合には寄与分に入りにくいです。

 

この場合、例えば、気難しい親の世話を献身的にした同居の子には大きな不満が残ると思います。

 

でも、その気苦労を客観的に証明するのが、非常に難しいのが現実です。

 

3つめは、遺産の維持や増加をした行為について、領収書などの客観的な裏付け資料が必要ということです。

 

例えば、高額の施設入所費用を負担していたとかであれば、施設費用の引き落とし口座の名義で裏付けがとれますね。

 

これに対して、毎日の食事を作って運んでやっていたという場合には、一々スーパーや薬局のレシートを保管していないといけないことになります。

 

自分がノートにメモをしていただけでは裏付けが無いといわれてしまいますので、日々の記録とレシートなどを、亡くなる前からしっかりと保管しておく必要があります。

 

このように、寄与分というのは、認めてもらうためには被相続人が亡くなる前に、しっかりと知識がを持っていることが重要となります。

 

その知識を得られるように、次回から、寄与分を典型的な場合分けをして、ご説明していきますね。

 

相続の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。 

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カテゴリー: 相続のお話 |

電話での無料法律相談を有効に使うためには?

寒い日もありますが、例年の12月に比べると今年の静岡は暖かいです。

 

あっという間に年末になってしまい、「時が過ぎるのは早いな」と毎年思わされてしまいます。

 

来年から定期的な講師の仕事が新たに一つ入り、仕事として「法律を知らない人に、分かりやすく伝える」という機会が増えます。

 

弁護士になる前からの目標の一つだったので、楽しんでやって行きたいと思っています。

 

さて、色々な法律事務所のホームページを見ると、初回の法律相談無料だったり、何回でも無料だったりする事務所が増えてきています。

 

私の事務所も、初回の法律相談は無料で、個人の借金会社の経済的な経営不安の問題については、何回でも無料としています。

 

これに対して、電話での法律相談無料としている事務所は、静岡に限らず多くは見かけません

 

私の事務所も電話でのご相談は、依頼を受けた方だけにして、法律相談を電話ではご対応していません

 

その理由は、

① 全国から電話が掛かってきた場合に、件数の多さで対応できない危険があること

② 電話相談の性質上、ご相談者からの資料が無く、情報が不十分な上、席を立って自分が本や過去の記録から調べる余裕も持てないため正確なご回答に自信が無いこと

が主なものとなります。

 

でも、「離婚したいけれどこのケースで慰謝料は請求できるか?」という程度のご相談であれば、事実を正確に伝えていただければ答えらえれるかもしれません。

 

そういう意味では、無料電話相談が、全国のお悩みの方を救っているという面はあるのでしょう。

 

そこで、せっかくなので、私が相談者だったら電話相談を有効に使うためにどうするかを考えてみました。

 

まず、「法律相談」ですから、相談の相手は弁護士でなければ意味がありません。

 

そして、電話をかけても「弁護士が不在」「打ち合わせ中」で出られないと意味がありません。

 

そこで、まず、電話法律相談の前に1回、事前の電話を入れます。

 

そこで、

① 電話口に出てくれる人は弁護士か?

② 何月何日の何時に電話をすれば弁護士に対応してもらえるか?

③ 相談事項のFAXを1枚送って良いか?FAX番号は?

を確認します。

 

は、昔ですが、「無料電話相談」と書いてあって、良く見ると、事務員が「弁護士に相談すべきかどうか」について相談を受けるという???なホームページを見たことがあるからです。

 

これは外注で電話応答サービスを使ったり、その事務所でアルバイトを雇ったりして、相談する方にとって全くの無駄な時間を使わせて、顧客として誘導しようとする悪質な方法だと思います。

 

そのような弁護士の仕事のやり方は考えるまでもないでしょう。

 

は、実際に電話相談をしようと何回電話してもつながらないという無駄を省くためです。

 

特に、携帯電話で電話をした場合に、受付事務員から住んでいる地域(都道府県)などを聞かれた時には、その事務所の所在地の市町村名を言うとつながりやすいとは思います。

 

もともと、無料電話法律相談を、「困った人を救うため」にやっている事務所だったら、電話をする人の住む地域は関係ないため、聞かれないと思います。

 

しかし、「顧客獲得のため」にやっているのであれば、依頼してくれる可能が高い近い地域の人を優先したいので、居住地域を聞くことになるからです。

 

そのため、遠くの地域の事務所に電話する場合には、市外局番のある固定電話でなく、携帯電話でかけた方が相談に乗ってもらいやすいでしょう。

 

更には、電話法律相談の最大の弱点の一つである「弁護士への正確な情報提供不足」を補充するためです。

 

相談前に、弁護士が無理なく一読できる程度の量で、FAXを1枚だけ送付します。

 

1枚だけなら、弁護士も電話を受けながら見ることができるので、ほとんど負担にはならないと思います。

 

例えば、相続の問題であれば、相続関係図を1枚送っておくだけで、相談内容が正確に早く伝わることは間違いないでしょう。

 

これに対して、相続の相談なのに、相続関係図のFAXすら拒むようでは、まともに電話で法律相談を受ける気持ちが無いと言って良いと思います。

 

電話法律相談は、弁護士にとっては相当敷居が高い相談方法です。

 

それを敢えてやっている事務所が、どんなスタンスなのか私自身興味があります。

 

私の今の事務所の体制では、仕事の用件の電話だけでも対応するのが大変な状態なのに、電話での無料法律相談をまともにお引き受けしたら、私の仕事自体が破綻することは明らかです・・・

 

そのため、電話での無料相談は「やりたくても出来ない」という状態にあるのが現状です。

 

「弁護士のお話」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。

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ドロップシッピング詐欺ってご存じですか?

皆さんは、ドロップシッピング詐欺って聞いたことがあるでしょうか?

 

そもそも、「ドロップシッピング」って何?

 

という方が殆どではないでしょうか。

 

ドロップシッピングとは、ネットショップで注文が入った時点で、それを製造業者や卸業者(まとめて「ベンダー」と呼んだりします)から、顧客へ直送させるネットショップの運営方法です。

 

つまり、皆さんがドロップシッピングをやる場合、「とても良い物を作っている製造業者だけれど営業が下手」な会社について、皆さんがネットショップを作って営業をかけるのです。

 

そこでの価格は皆さんが自由に決めます。

 

もっとも、その製造業者の価格より高額にしないと利益が出ないので、その範囲で設定します。

 

その後、皆さんがネットショップで営業をかけて顧客から注文をもらったら、それを製造業者に伝えて、顧客あてに直接製品を発送してもらいます。

 

そして、顧客から振り込まれたお金のうち、製造業者に支払った価格と皆さんの設定した価格との差額が、皆さんの利益になります。

 

これを聞いて「よし。やってみよう!」と思われた方はいるでしょうか?

 

余りいないのではないかと思います。

 

なぜなら、そのネットショップで製品を売って利益をあげるためには、

①「製品が売れる」という見通しを誤らないだけの判断力があること

②その製品を売るだけのネットショップを構築するネットの知識や技術があること

③売れるホームページを作るセンスや文章力があること

④常に進化する検索エンジン(google)への対応ができること

など様々な知識と能力が必要となるからです。

 

簡単には儲からない」ということは、ここまで読んでご理解いただけたと思います。

 

ところが、ドロップシッピング詐欺は、そのハードルを非常に低いものと誤解させて消費者をだますんですね。

 

詐欺業者の標的は「在宅でお金を稼ごう」と考えている人です。

 

そして、詐欺業者は上の①~④はすべて業者側でやるので、標的には「初期投資だけで後は、売れれば自動的にお金が入ってくる」「必ず儲かる」とウソをつくわけです。

 

一番大変な①~④を間違いなくできるのであれば、非常に高いスキルのビジネスの才能があるはずです。

 

だったら、初期投資を消費者からもらわなくても、自分が融資を受けていくつもショッピングサイトを開けば莫大な利益を得ることができますよね。

 

でも、世の中そんなに甘いものではなく、必ずといって良いほど失敗するため、詐欺業者も自分ではやらないわけです。

 

詐欺業者は、その構造を十分知りながら、「必ず儲かる」「月収30万円以上は確実」などとウソを消費者に言って、ネットショップの作成費用例えば100万円を投資として前払いさせます。

 

実際に、売れるはずのないテンプレートに決まり文句を入れ替えるだけのホームページ(ネットショップ)は作ります。

 

そのため、消費者も騙されたと気付くまでに時間がかかります。

 

消費者がクレームを言ってきても、もっともらしい言い訳をしてだまし続けたり、初めのころの消費者にだけ仲介料などの名目の金銭を少し払って、だましだまし詐欺行為を続けます。

 

その間に、詐欺業者は次々とターゲットから入金させて、100人だましたところで、ウソの会社をたたんでしまえば確実に1億円の売り上げが得られるというわけです。

 

会社の名前も、所在地も、皆さんのところへ来た担当者の名前も、電話番号、メールアドレスも、存在する会社でも、本人のものでもないので、後での被害回復が極めて困難です。

 

仮に、損害賠償請求訴訟をおこしたとすれば、勝訴判決が得られるかもしれません。

 

しかし、当の債務者である会社や担当者が不明なのですから、判決が出ても、それに基づく強制的な金銭の取り戻しはできないことが殆どなのです。

 

このように、ドロップシッピング詐欺も、他の消費者詐欺と同様に、損害賠償請求での回復が困難なため、事前に知識を持っておくことで被害を防ぐことが大切になるんですね。

 

インターネットと法律の過去記事はこちらをご参照ください。

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カテゴリー: インターネットと法律 |

行方不明の相続人が居る場合の遺産分割の方法は?

「下町ロケット」(毎週日曜日の午後9時~TBS系列で放映)の視聴率は好調のようですね。

 

私も家族が見ているのを何となく見ているのですが、「やけに原作に比べてディテールが省略されて、進行が早いな」と思っていたら、次回から第2部との話。

 

書店で「下町ロケット2~ガウディ計画」を購入してはいましたが、忙しくて読む暇がありませんでした。

 

ところが、前週の最後に予告編が!

 

まだ読んでいない「下町ロケット2〜ガウディ計画」のストーリーを推測させる危険性を感じて慌ててTVを消しました。

 

家族がTVを見ている時、本の紹介をし出した時に、急いでTVを消すというのが私の習慣になっています(笑)

 

結局、購入した本を無駄にしないよう、やむを得ず仕事を無理やり一段落させて、一気読みしてしまいました。

 

これからドラマを見る人のために、感想は控えておきます。

 

今月発売した本を、同じ月にTVドラマで放映するという経験は初めてでした。

 

このような本の出し方がされるのも、今の出版業界の悪業績から、TVと連携して出版をアピールするためなのかもしれませんね。

 

さて、相続した遺産分割をしようとしたところ、相続人の1人が行方不明だったということが時折あります。

 

特に、相続が始まった後、長期間遺産を分ける話し合いを放置していた場合に、良く起きる事態です。

 

まず、行方不明相続人調査をする必要があります。

 

被相続人(死亡者)の生まれてから亡くなるまでの一連の戸籍事項証明書などを市役所・区役所でとると、行方不明者の最後の本籍地を辿ることができます。

 

そして、その本籍地から戸籍の附票を取り寄せれば、少なくとも住民票所在地は判明します。

 

そこに本人が住んでいれば、手紙で連絡をして、遺産分割の手続を開始すれば良いのです。

 

ところが、住民票所在地にもすでに住んでいない場合もあります。

 

このような場合には、遺産分割をしたい人は、まず不在者財産管理人選任家庭裁判所申し立てます。

 

その申立があると、家庭裁判所が主に弁護士を不在者財産管理人として選任します。

 

そして、不在者財産管理人が、その行方不明者の代わりに遺産分割に参加して、それぞれが合意すれば遺産を分けることができます。

 

そして、相続人の1人が7年以上も生死不明の場合には、遺産分割をしたい相続人は、その行方不明者について失踪宣告申立を行うことになります。

 

この失踪宣告がなされると、その行方不明者は死亡したものとみなされますので、他の相続人の取り分が増えます。

 

ですから、行方不明のまま5~6年も経過しているのであれば、7年経過するのを待って、失踪宣告の申立をしてから遺産分割の手続を行った方が、相続人にとってトクになることが多いのです。

 

では、失踪宣告をして「死亡したとみなされた」のにも関わらず、フラッっと帰ってきて、生きていることが分かった場合はどうなるのでしょうか?

 

民法では、全員が行方不明者が実は生きているということを知らないで遺産分割をしていた場合には、遺産分割自体は有効のままとしています。

 

ただ、分割しても不動産のように遺産だったものが明確に残っている場合には、その残っている分について行方不明だった相続人は、自分の相続分を主張することができるということになります。

 

ですから、失踪宣告が行われて遺産分割する場合には、遺産を全て金銭化して、自分の財産よりもそちらを生活費などに使ってしまった方がリスクが少ないことになります。

 

今後、増えていく問題だと思いますので、皆さんもお気を付けくたさい。

 

相続の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。 

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