最近、やりきれない刑事事件が続いていますね。
北海道の高校生が母と祖母を殺したとされている被疑事件なども、仮に付添人(少年事件の場合には「弁護人」のことをこう呼びます。)になった場合には、相当、慎重にすすめる必要がある事件でしょう。
私自身も断片的な情報からですが、色々考えてしまいます。
その高校生が、幼児の頃、家庭内で虐待を受けているとして児童相談所の指導が入っていること、門限が厳しいと言って夕方走って帰っている姿が目撃されていること、部屋が「離れ」にあることなどが今のところ気になる事実です。
その高校生が「しつけ」だと思っている行為が、具体的にどのような内容だったのか、付添人や家庭裁判所の調査官は詳しく聞き取る必要があるでしょう。
逆送(普通の成人と同じように刑事裁判を受けること)するかどうかも、家庭裁判所も悩むし、仮に逆送された場合には検察官も悩む点が多い事件のように思えます。
今後もこの事件の推移には、注意して見ていきたいと思います。
さて、「話し上手は、聞き上手」ということわざがあります。
これは、「本当に話が、上手い人は、他人の話もよく聞いて、その上で自分の話をする」という意味ですよね。
弁護士にもこれは当てはまるのでしょうか?
このことわざを数字にしてみると、30分の相談時間があった場合には、15分ずつしっかりと時間をとって話をするのが良いように思えます。
対等な友人同士だったら、確かにそうでしょう。
でも、少なくとも弁護士が相談を受ける時の適切な比率は相当違うと思っています。
相談時間が30分であれば、最低でも20分程度は、相談者から事実や気持ち、考え方などの情報を引き出す作業が無いと、適切な法的アドバイスはできないでしょう。
特に、厳しい時間制限のある市町村役場や法テラスなどでの無料法律相談では、時折、質問を入れて、ご相談される方を誘導しながらお話を聞くことが必要です。
そうすると、弁護士がアドバイスをするタイミングで一番良いのは何時だと思いますか?
そう、最も、ご相談者の情報を取得した相談時間の終わりの段階ですよね。
その時が、一番、的確なアドバイスをすることができることは間違いありません。
ですから、ご相談の早い段階で弁護士が主導権を握って、一方的に話しをするような法律相談だった場合には要注意です。
ご相談の時すら話を良く聞いてくれないのであれば、依頼後にその弁護士が依頼者の考え方や気持ちをくみ取ってくれるどころか、話をする時間すら十分とってくれない可能性が高いです。
ですから、弁護士を選ぶ判断基準としては、
① 相談時間の中で、自分が話す時間をどれだけとってくれたか
② どれだけ自分が話しやすい雰囲気をつくり、誘導をしてくれたか
③ 相談終了の前に、自分の話した内容を前提としたアドバイスをしてくれたか
というのが重要なポイントになります。
ただ、ご相談される方も、自分の話を思いつくままに話していたのでは、せっかくのご相談の時間が無駄になってしまいます。
できるだけ、感情を抑えて、弁護士の質問や誘導に乗るように努力していただくと、より適切なアドバイスが出来ると思います。
これらを、まとめると、弁護士の法律相談においては、「雰囲気上手、話の引き出し上手」であることが最も大切だと思います。
弁護士は、立て板に水のように、なめらかに話が出来るという意味での「話し上手」である必要は全くありません。
むしろ、弁護士自身がそのような話し方をしていた場合、おそらく、ご相談者は「アドバイス」というより、「説教」「おしつけ」という印象を受けるのではないでしょうか。
そのような弁護士が「頼もしい」などと勘違いすることが無いことを祈ります。
そして、しっかりと話を整理しながら聞く時間をとってくれて、最後に的確なアドバイスをくれる弁護士に依頼するようにしていただければと思います。
「弁護士のお話」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。