大雪の予報が最近ありますが、静岡市の市街地ではその気配すらありません。
もし、大雪になったら、私も全く慣れていないので、大きく混乱しそうですが。
さて、今の時点でも、契約に関することなどを扱う民事訴訟で、インターネットを使った裁判手続が始まっています。
私も数件ウェブ裁判をやっていますが、事務所からパソコン画面を通して裁判官、相手弁護士と議論ができるのは便利です。
特に、裁判官と次回期日までにどのような準備をするのか確認して、その内容をデータで共有できるのは裁判手続を早く進めるのに役に立つと思います。
まだ依頼者の方と一緒にウェブに参加したことはありませんが、遠くの裁判所に行かないで事務所で参加できるという点では、きっと便利でしょう。
もっとも、離婚調停や遺産分割調停のような家庭裁判所で行われる事件については、一部は電話を使った手続があるものの、ウェブ手続までは行われていませんでした。
しかし、家事事件、特に調停こそ、広くウェブ裁判が必要だと思います。
例えば、夫の妻に対するDV事件では、夫が裁判所に出頭して、妻がインターネットを通じて弁護士の事務所から参加することで、恐怖を感じにくくなると思います。
また、遺産分割調停では、相続人が全国に散らばっていることも多く、それぞれが近くの弁護士に依頼すればウェブを使って調停に参加することができます。
2022年2月時点では、東京、大阪、名古屋、福岡での試験的な導入がされることが決まっており、そこで問題点を解消できれば、全国の裁判所で行うことになっています。
大きな問題とされているのは、
① 当事者以外の人が画面に見えないところから調停手続を聞いたり指示したりしていないかということです。
例えば、離婚調停で相手方の親がこっそり同席して指示を出すことが考えられます。
また、遺産分割調停では、相続人の夫や妻が、こっそり同席する危険もあります。
ウェブカメラで周囲を確認させるなどの方法をとっているようですが、確認後に死角から入るという可能性もあります。
例えば、ウェブカメラで確認するタイミングを、裁判所がランダム(無作為)に決めるなどして、そのような危険を防ぐなど工夫が必要でしょう。
次に言われているのは
② 録音・録画の危険です。
調停手続は録音・録画が禁止されており、だからこそ、当事者と調停委員が、その場で感じたこと、考えたことを率直に話し合えるのです。
それを、録音・録画されて「あの時にこう言った」と細かいところで衝突しだしたら、まとまる調停もまとまらなくなります。
そして、調停手続がSNSやYoutubeで世界中に配信されてしまったら、当事者のプライバシーや裁判所の守秘義務が意味のないものになりかねません。
使用するパソコンに録音・録画のアプリを入れたり、スマホを見えないこころに置いておけば簡単に録音・録画ができてしまうので、対策は難しいとは思います。
場合によっては、事前に説明と宣誓をさせた上で、破った場合には多額の罰金など刑事罰を入れて厳しく規制する方法も必要かもしれません。
ウェブ裁判は、利用者にとって便利である反面、利用者のプライバシーなど重要な利益を害する危険もあるため、手探りで初めて行くことになるのでしょうね。