暖かい日が増えて、春の雰囲気が出てきましたね。
弁護士の谷川です。私の事務所の近くのお堀沿いの桜も花が咲き始めて、今週末あたりが満開になりそうです。
さて、最近のニュースで、特別養子縁組のあっせんを長年行ってきた民間団体が、突然の事業停止をしたことが報じられていました。
特別養子縁組とは、一般の養子縁組よりも様々な点で実子に近い取り扱いをしようとする制度です。
例えば、虐待を受けていたり、経済的な問題から、実の親と暮らせないことが生まれてから早い段階で分かっているケースが典型的と言われています。
例えば、養子の年齢が6才未満であることが必要であったり、戸籍の続柄に「養子」ではなく「長男」などと実子と同じ記載がされたりします。
実の親との法律的な関係も、養子縁組とともになくなるため、実の親を扶養する義務もなく、相続も生じません。
そのため、実の親からの援助がなくなる分、養親についても厳しく判断していきます。
養親のいずれかの年齢が25才以上であることが必要だったり、家庭裁判所がチェックをして許可をすることが必要だったりします。
このように、実子に近い制度であるため、養親の方も迎え入れるにあたって、愛情を注ぐ覚悟をしているでしょう。
実親ではなく養親であることを子どもに伝えるのか?
もし伝えるとしたら、子どもが何才になったときに話すべきか?
受け入れてからも大きな悩みはあろうかと思います。
子どもに養親であることを伝えたとき、子どもからは
① 自分の実親がどのような人か?
② どのような事情で特別養子縁組となったのか?
という質問は必ずあるでしょう。
①は自分のルーツを知りたいという人の根本的な欲求でしょう。
また、②も、やむを得ない事情があったことを確認したいという気持ちから知りたいと思うでしょう。
このような情報を一番多く握る立場にあるのが、実親と養親を繋いで特別養子縁組を成立させたあっせん団体です。
そのため、あっせん団体は、特別養子縁組後もサポートできる体制でなければなりません。
ところが、これまで法的な保護が不足していたため、様々な問題が起きていました。
今回の団体は、情報の管理が不十分だったり高額なあっせん手数料(230万円~270万円など)や寄付金名目で多額の現金を取得するなどの問題があったそうです。
そこで、行政指導だけでなく、養子縁組あっせん法を制定して、3年ほど前から規制が厳しくなっています。
特別養子縁組のあっせんは、人の幸福の手助けにもなりますが、一歩間違うと人身売買と同じことにもなりかねません。
これからも、法律や行政を通じて適切な制度を作っていって欲しいものです。
「日常生活の法律問題」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。