お盆休みに入られた方も多いのではないでしょうか。
今年は、コロナウィルス感染防止のため移動の自粛を求めている都道府県もあり、帰省する人が少ないようですね。
感染を気にしないで行動できる日が早く来ると良いと思います。
さて、令和2年7月21日に最高裁がリツイートについて注目の判決を下しました(7月22日・読売新聞)。
ツイッターでのリツイートによる著作人格権の侵害を認定したものとして、ニュースなどでも話題になりました。
ツイッターは、短文の投稿を自分の投稿ページに気軽に書き込みできるということで多くの人が利用していますね。
ツイッターの青い鳥のマークを見たことがある方は多いのではないでしょうか。
この事案は、プロの写真家が自身のサイトに掲載した写真(写真の上部に「転載禁止」、下部に写真家の氏名を入れた写真)を、誰かが無断でツイートし、更にそれがリツイート(他人のツイート内容を自分のページで再掲載)された事件です。
リツイートしたときに上下がトリミング(削除)されて、転載禁止の文字も氏名も削除されてしまいました。
そこで、写真を掲載(ツイート)した人が、自分の写真の氏名表示を勝手にトリミング(削除)されない権利(著作人格権)を侵害されたとして、ツイート社に発信者情報開示を求めたものです。
発信者情報開示とは、「ツイッター社が保管しているリツイートした人との契約情報(名前、電話番号又はメールアドレスなど)を明らかにするよう求める手続」です。
そこから、リツイートした人の情報を辿って、損害賠償の請求などをすることになります。
写真の氏名部分のトリミング(削除)はツイッター社のソフトが自動的にしたもので、リツイートした人は意識していないかもしれません。
でも、最高裁は著作人格権を侵害したのはリツイートした人だとしました。
トリミングは自動的に行われるもので、リツイートがなければ作動しない付随的なものなので、リツイートした人がトリミング機能を使ったという認定なのだと思います。
ただ、先ほどご説明したとおり、これはツイッター社に発信者情報開示、つまりリツイートした人の契約者情報を開示すべきことを認めた判決です。
ただ、元の写真の権利者からリツイートした人に対する損害賠償請求が認められるかは、別の問題です。
今回の判決に基づく発信者情報開示請求により、発信者を特定することはできるでしょう。
その後に、更に、損害賠償請求をしていくか検討することになるのでしょうが、仮にそこまで請求した場合には、様々な争点が予想されそうです。
例えば、
・リツイートが社会一般で気軽に行われていることをどう評価するか?
・リツイートによる表現の自由を萎縮させることにならないか?
・リツイートした人に過失があったと言えるか?
など様々なハードルがあると思います。
今回のリツイートが、損害賠償請求を認めるほど違法性がある行為か?については、皆さんも色々な意見があろうかと思います。
そのような問題意識が、裁判になった場合には、法律の解釈論として争われることになるでしょう。
ただ、これからは、プロの写真家の写真のように、写真それ自体の価値が高いものについては、リツイート前に「転載禁止」の文字が入っているかを注意した方が良いのでしょうね。
インターネットと法律の過去記事はこちらをご参照ください。