ここにきて、急激に寒さが増してきました。
皆さんも、風邪などひかないように十分お気をつけください。
さて、インターネットが普及するようになって、自由に書き込みができる掲示板が数多くできました。
その最たるものが「2ちゃんねる」でしょう。
それら、色々な掲示板に、ある会社の悪口を書き込んでしまった場合、罪になるのでしょうか。
たとえばAさんが、「B社の食製品には体に悪い○○という物質が混入されているらしい」と掲示板に書いたとしてます。
この場合、それがウソだった場合には、どうでしょう?
この場合には、信用毀損罪、業務妨害罪や名誉毀損罪になってしまいます。
刑事責任だけでなく、民事上も多額の損害賠償請求をされるおそれがあります。
ちょっとした会社への悪感情から、掲示板にウソの書き込みをすると大変なことになってしまいますね。
それでは、Aさんが書いた事実が本当だったらどうでしょう。
つまり、Aさんは、B社の製品をしっかりと分析して、体に悪い物質が混入されていることを確信して、掲示板に書いたという場合や
内部者の告発的な書き込みの場合です。
まず、信用毀損罪や業務妨害罪は、「事実と異なった内容の噂を不特定又は多数人に伝えること」で成立します。
ですから、真実であれば、事実を指摘しただけなので、信用毀損罪や業務妨害罪は成立しません。
では、名誉毀損罪はどうでしょうか?
条文を見てみましょう。
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役・・・に処する(刑法230条1項)。
この条文からもわかるとおり、名誉毀損で指摘される事実は、真実か否かは問いません。
B社の社会的評価が下がるような事実を指摘すると、それが本当のことでも名誉毀損罪に問われるのが原則なんですね。
しかし、それでは、体に有害な食製品が出回っていることが、世の中に知らされず、多くの人がそれを食べてしまうという不都合な結果も生じます。
世の中のために、真実であれば、明らかにした方が良いこともありますよね。
そこで、刑法は、次の3つの要件をみたせば、名誉毀損罪は成立しないと定めました。
① 指摘した事実が公共の利害に関する事実にかかわること
② 指摘の目的が、もっぱら公益をはかるものであること
③ 指摘した事実が真実であることが証明されたとき
今回の例で言えば、
① 世の中に多く出回っている職制品に、体に悪い物質が混入しているという事実がわかれば多くの人(公共)の利益となりますから、この要件をみたしそうです。
② Aさんが、B社をおとしめるためでなく、世の中のことを考えて、書き込みをしたのであれば、この要件もみたすでしょう。
③ そして、本当に有害物質は混入されているのですから、真実性も証明されたことになります。
従って、この場合には、名誉毀損罪が成立しないとうことになります。
ただ、この判断は非常に微妙なところもありますから、よほど自信がなければ、会社や他人の悪評を書き込まないことをおすすめします。
インターネットと法律の過去記事はこちらをご参照ください。