最近、私が本や音楽が好きなこともあって、著作権の問題に個人的に興味を持ち出しました。
色々と勉強してみると、インターネットとの関係で、色々な問題も出てきているようです。
まずは、身近な所から、著作権やインターネットのお話をしていきたいと思います。
今回は、本をホームページやブログで紹介することは、著作権を侵害して違法ではないのについて考えてみましょう。
下の3つのパターンに分けて考えてみましょう。
いずれも、著作者の同意は得ていないとします。
① 読んだ本の簡単なあらすじや感想を記載している場合
② 本の表紙をスキャンしたりやデジカメで撮影して掲載している場合
③ 本の内容について、そのままの文章を長々と書いたり、スキャンや撮影して掲
載している場合
まず、基本的に著作物にあたるもの(本はこれにあたります。)については、著作権という権利がありますから、原則的には、著作者の同意なく、多くの人が読むような場へ公開してはいけません。
ただ、この原則論を貫きすぎると、怖くて本についてはなにも書けなくなり、憲法で保障された表現の自由や学問の自由が、必要以上に制限されてしまいます。
そこで、著作権法では、その目的からみて、正当な範囲内で引用されるものであれば、「引用」しても構わないという規定を設けています。
ということは、①のように、論評したり、紹介したりするという正当な目的のために、文章のごく一部を掲載する場合には「引用」として、著作権侵害にあたりません。
もっとも、著作者名など引用元を、明示しておくことが必要です。
では、②の本の表紙はどうでしょう?
確かに、本の表紙は、その内容それ自体ではありません。
本のタイトルも、基本的には著作権の対象にはなりません。
しかし、本の表紙は、色々なデザインや写真が使われています。
ですから、本の内容とは別に、表紙もそれを作成した人の著作物として、著作権による保護の対象となります。
そうすると、「引用」にあたるような場合でなければ、掲載してはいけないことになります。
本のデザインが明確に分かるような形での写真だと、批評・批判の内容にもよりますが、本の表紙のデザインそのものを利用したことになる可能性はあります。
もっとも、本のデザインが鑑賞の対象にならないくらい縮小して、正当な批評のために用いるのであれば「引用」として許される可能性もあります。
いずれにせよ、本の表紙を大きく紹介する場合には、相当の注意が必要です。
③は、本の内容そのものを掲載するものですから、「違法っぽいな」というのは直感的に分かっていただけると思います。
そのとおりで、本の内容をそのまま掲載しているのですから、「引用」とは言えません。
法律的に言うと、著作権の内容としての自動公衆送信権を侵害するものとして、著作権の侵害となります。
サーバに著作物の内容を保管して、自動的に誰もがアクセスして見られる状態に置くことで、著作権の侵害となるんですね。
そうすると、本の紹介をする時には、どのような場合に「目的からみて正当な範囲内の引用」にあたるのかというのが重要になってきますよね。
この判断は、なかなか難しいので、重要なことについて判断に迷ったら、弁護士に相談されることをお勧めします。
「日常生活の法律問題」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。