最近は、仕事量が適度で、1週間のうち土曜日に半日程度仕事をすれば、日曜日はしっかり休める状態です。
今年の2月~3月頃は、土日休みがない状態が1か月ほど続いて、相当疲れたので、今くらいの仕事量をキープしていけると本当は嬉しいです。
とはいえ、弁護士の仕事というのは、いつどのようなご依頼が来るか、訴訟や破産申立で緊急で提出しなければならないものが来るか分かりません。
気を緩めすぎずにがんばりたいと思います。
さて、今回から何回かに分けて、不貞慰謝料の金額を決めるポイントについてお話していきたいと思います。
例えば、A(夫)とB(妻)とが結婚をしていたところ、A(夫)がC(不倫相手)と不貞行為(性交渉)を行ったため、BがCに慰謝料請求をしていく事案で考えてみましょう。
このケースで、被告側に立った弁護士がまず考えることは、「AとBとの夫婦仲が非常に悪いものではなかったか」ということです。
というのは、平成8年の最高裁判所の裁判例で、「AがCと肉体関係を持った時点で、AとBとの婚姻関係が破綻していれば、不法行為責任は生じない(慰謝料請求権は発生しない)」としているからです。
AとBとの夫婦関係が破綻していると言えるためには、別居しているとか相当の客観的事実が必要ですので、中々そのような事例にあたることはありません。
でも、この最高裁の理屈から言えば、夫婦関係が「破綻」とまで言えなくても、相当程度悪化していれば、慰謝料の金額は少なくなりそうです。
慰謝料というのは精神的損害ですから、仲の良い夫婦について、夫が浮気心を起こして妻の生活を破壊した場合の方が、当然妻の精神的ショックは大きいでしょう。
このような場合には、浮気相手Cに対する慰謝料の金額も大きくなりそうです。
これに対して、夫婦仲が悪くて、夫婦の会話は無い、寝室も別、性交渉も無い、食事も別などという冷え切った夫婦の場合、夫が浮気をしても妻のショックは小さそうです。
このような場合には、浮気相手Cに対する慰謝料額も抑えられた金額になりそうです。
慰謝料額の基準の一つのポイントとして、夫婦仲がどうだったかということが考慮されるということですね。
裁判になると、原告(請求する側)は、いかに夫婦仲が平穏だったかを主張し、被告(請求される側)はいかに夫婦の仲が悪かったかを主張していくことになります。
原告側からは、夫婦や子供でお出かけした時の仲よさそうな写真が証拠として出されたりします。
被告側からは、夫婦仲についてCがAから聞いていた事情を書面化して、陳述書という形で提出したりします。
本当のことは、AとCのみぞ知るのですが、裁判で本当のことを言う人ばかりではありませんので、裁判がもつれて長期化することもあるんですね。
「不倫と慰謝料」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。