私の事務所では、不貞行為による慰謝料の請求をお引き受けすることは、多いです。
私自身、現在5件並行して不貞行為の慰謝料の訴訟をお引き受けしています。
このような訴訟だと、慰謝料請求の訴えを受任しているように思われるかもしれませんが、実は、請求される側(被告)の代理人になるケースの方が多いんですね。
不貞行為の事件があった場合、私は以前は何故か被告側(請求を受ける側)の代理人となることが多かったのですが、最近では半々の割合くらいになっています。
原告側・被告側と、両方の事件の数をこなすことで、攻防の重要箇所も見えやすくなってきているように思えます。
さて、慰謝料請求をしていく場合、まず誰に請求できるのでしょうか。
仮に夫が浮気をして、妻が慰謝料請求をしていくとして考えてみます。
妻は、夫と夫の不倫相手の両方に慰謝料請求をしていくことができます。
「両方に請求できる」という意味が、法律的には少し込み入った話になります。
不倫をした場合、夫と愛人は、妻に対して不真正連帯債務という特殊な債務を負います。
これは、例えば不倫の慰謝料が200万円だった場合、「妻は夫にも不倫相手にも200万円を請求できる」という性質のものです。
では、妻は合計400万円を請求できるのかというと、そうではなく、合計でも200万円しか請求できません。
そのメリットは次のところにあります。
例えば、夫と不倫相手のどちらかが
① 破産したり、夜逃げした場合
② 財産が無いと言って知らん顔をした場合
などに、お金がありそうな片方ににも全額請求できるんです。
つまり、夫と愛人が連帯債務を負うという形で、保証人をつけた場合と似たような形になっているということです。
では、金額はいくらぐらい請求できるんでしょうか?
まず、原則から言うと、いくら請求するかは、本人(浮気された被害者)の自由です。
100万円でも良いし、1,000万円でも別に違法ではありません。
ただ、裁判で認められる慰謝料の額が、100万円~300万円の間になる場合が多いことから、それを基準に請求することが多いです。
つまり、裁判の予測よりも少し多めに、200万円~500万円くらいで、請求していくことが多いです。
結局、不倫にも、精神的に傷ついた度合には様々な事情がありますので、慰謝料の額は、個別の事情を前提に算出されていくことになります。
では、どのような要素を考慮していくのでしょうか?
それは、また次の機会に。
「不倫と慰謝料」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。