久しぶりの投稿になります。忙しさにかまけてサボってしまってすみません。
梅雨入りしてスッキリしない天気が続きますね。
真夏日と比べてどちらが良いかと言われると難しいですが。
さて、最近、消費者や中小企業の相談を受けた弁護士の話題となっていることがあります。
無料求人広告のトラブルです。
「お試しで無料で求人の広告をお引き受けします。」
これだけ聞くとすごくおトクな感じがしますよね。
でもウマい話には裏があるのです。
無料で申し込んだはずが、一定期間を過ぎると自動的に有料期間に入ってしまい、その前払料金を請求されるのです。
金額は16万円~30万円くらいの額が多いようです。
最初の無料申込のFAXやホームページ画面に、内容を判別しにくい文字で一定期間には自動的に有料になる旨が書かれています。
「それを前提に申し込んだのだから有効だ!」と強く請求してきます。
こんなとき、申し込んだのが消費者だったら、消費者契約法、特定商取引法、電子消費者法などで保護されるので、契約の効力を争うのは比較的簡単です。
ところが、求人広告を申し込むのは消費者ではなく、企業人=商人のため、消費者保護のための法律が適用されないのです。
でも、中小企業や個人商店などの担当者の知識は消費者と変わらなかったりします。
その状況を利用するトラブルは昔から色々と手を替え品を替え起きています。
例えば、高額なビジネスフォンを個人商店や中小企業に何のメリットもないのに、あたかもトクするかのような説明をしてリース契約をする問題が流行った時期もありました。
それが形を変えて、今では就職売り手市場を利用して、無料求人広告を使って欺そうとする業者が出てきているというわけです。
もちろん、全ての業者が悪質というわけではありませんが、無料から有料への変更にあたって、しっかりと意思を確認しない業者は怪しいと思って良いでしょう。
では、消費者保護の法律が適用されない以上、お手上げなのでしょうか?
必ずしもそういうわけではありません。
①無料期間の広告の効果、②有料期間についての十分な説明の有無、③業者の資料の内容や書き方、③その業者が全国で同様のトラブルをおこしていないか、などから契約の有効性を争うこともできると思います。
裁判になったときには興味深いモデルケースになるのでしょうが、請求額からして弁護士に依頼して裁判までやらないことが多いようです。
消費者は知識がない弱者だから保護するけれど、商売をやっている人は自分でしっかりと判断できるから保護しない。
一見妥当に見える法律の趣旨と実態(知識のない商人が数多くいること)のスキマを狙ったトラブルは今後も起きてくると思います。
法律で一律に商人を保護することはできないでしょうから、裁判例の積み重ねに期待するしかないですね。
ひとまず、無料求人広告の誘いにはご注意を。
「契約のお話」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。