暑い日が続いていますね。
ニュースを見ていたらアフリカのサハラ砂漠あたりでは50℃を超える最高気温を記録したとのことです。
私が読んだサハラ砂漠に関する本には、高温、乾燥、砂で肺が炎症を起こしてしまうので外出を控える必要があると書いてありました。
日本でも昨日、埼玉県の熊谷市で41.1℃を記録して、日本最高記録を塗りかえたと報道されていました。
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こんな記録更新はなくてもいいような気もしますね。
さて、今回は相続のお話です。
相続が起きたときに、遺産がどのようになっているかは気になりますよね?
ご自分は相続しないというつもりでも、遺産の価値は確認する必要があります。
なぜなら、遺産にはプラスの価値のあるものだけでなく、借金のようなマイナスになるものも含まれるからです。
相続のときに、「私は相続を放棄したから関係ありません。」とおっしゃる方がいます。
確かに、家庭裁判所に相続放棄の申請をしっかりとして、受理証明書を受け取っていれば相続人ではないので関係ないといえます。
ところが、遺産分割協議書という書面にご自分の取り分ゼロで署名した場合を「放棄」と思っている方も多いです。
遺産分割協議書に署名する形だと、お金や不動産などの財産は相続しませんが、借金は、それとは無関係に相続されることになります。
そのため、相続を親族の話し合いで処理する場合には、遺産の価値がプラスかマイナスかをしっかりと計算しておく必要があるのです。
この計算をするにあたって、遺産の中で金銭的な評価をするのが難しいものとしてよくあるのが土地・建物や株式です。
今回は株式を例にして考えてみますね。
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まず、相場のある株式については、その相場で価格が決まりますから、それほど評価は難しくありません。
相場がある株式の株価は、インターネット検索で「○○会社 株価」と打ち込めば、ある程度正確な株価がすぐに出てきます。
例えば、東京証券取引所に上場されているような株式だったら、売却予定の日を決めてその日の1株の最終価格(終値)を基準にすれば、これに株式数をかけるだけで金銭的評価ができます。
そのため、実際に相続で金額が問題になる株式は、証券取引所への上場などがなく、相場が分からない中小企業の株式です。
そして、相続ではむしろ中小企業の株式を相続するケースの方が圧倒的に多いのです。
このような中小企業では、インターネット検索をしても株価は出てきません。
そこで、基準となる一般的な計算方式が採用されますが、その方式も一つではなく様々な方法があります。
よく使われる基準だけでも、
① 純資産方式
② 配当還元方式
③ 類似業種比準方式
④ 収益還元方式
などがあります(そのくわしい内容はひとまず置いておきます)。
相続税の申告については税理士が使う評価基準がありますが、弁護士が関わるような紛争のときにはその基準もただの参考資料にすぎません。
相続税で使われる基準は課税の面からなされるのに対して、紛争の中での価値は需要と供給、つまり「どれだけ株式が欲しいか?」が基準となるからです。
例えば、毎年の決算報告書で利益が出ていないように見えても、貸借対照表や実際の評価では会社に多額の資産があれば、会社の代表者(社長)は株式を手放したくありません。
ですから、株式を相続した相続人は、会社が赤字決算でも株式の評価を高く交渉できることもあります。
逆に、会社で一定の利益を出していても、デザイン会社のデザイナーが社長の場合には、その利益は社長個人の能力で生み出したものです。
そのため、社長から「会社の株式は要らない」と言われて、新会社を設立されてしまったら、相続した株式はほぼ無価値となってしまいます。
このように、相続で株式の評価をする際には、上の①~④の計算方法は参考にはなるものの絶対ではありません。
そして、注意しなければならないのは、会社の顧問税理士が株価の評価をして相続人に伝えてくるときです。
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会社の顧問税理士は社長と信頼関係があるので、社長に有利な株価=他の相続人に不利な株価の算出をすることが現実に見受けられます。
そのため、株式を相続したときには、ご自分にとってその評価が不利になりやすい事情があるかを十分に考えてから遺産分割協議書に署名・押印をした方が良いと思います。
では、熱中症にならないよう十分な水分補給をして、暑い夏をのりきっていきいましょう。
相続の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。