平昌オリンピックの男子フィギュアスケートで、羽生結弦選手が金メダル、宇野昌磨選手が銀メダルという素晴らしい結果を出しましたね。
リアルタイムでTVで観ると、こっちまでハラハラしてしまいます。
オリンピックの上位争いをする選手たちに同等の技術があるのは分かっていましたが、それを出し切るメンタルの強さも実力の大切な一部だと感じました。
さて、企業などで働いていると、給料(賃金)を毎月もらいますよね。
給料(賃金)とは「労働の対価」のことで、労働基準法で支払義務が明確に定められています。
これに対して、退職金については労働基準法は支払義務を定めていません。
ですから、退職金を請求するためには、働いている方(労働者)と企業(使用者)との間で何らかの取り決めがあることが必要です。
取り決めとは、例えば企業が就業規則や労働者との契約で退職金を支給すること、その金額の算定基準を定めていることを言います。
ですから、何の定めもない企業では、労働者は原則として退職金を請求できません。
「でも、前に辞めた先輩は退職金をもらっていたのに」
というケースもあるでしょう。
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そのような場合に、果たして企業は他の労働者に退職金を支払わなければならないのでしょうか?
これが、例えば、その先輩が特別に会社に貢献したことを理由に退職金をもらっていたのであれば、別の人には支払わないことが前提でしょう。
この場合には、退職金を請求できません。
これに対して、それまで辞めていった先輩が全員、ほぼ同じ基準で退職金をもらっていることもあるでしょう。
例えば、「勤務年数×月額賃金給料」というような基準がほぼ当てはまれば、使用者と労働者の間で退職金支払の合意があったと見ることもできます。
つまり、退職金の支払が就業規則にも雇用契約にも定められていない場合には、退職金の支給金額が算定可能な程度に明確であることが必要ということです。
労働者側から言えば、退職金を請求できるかどうかは、前例の記録や基準がしっかりと証明できるかで判断することになります。
使用者側からすれば、全ての従業員に退職金を支払わないのであれば、「原則として退職金は支給しないが、その時の企業の経営状況が良いからこの従業員には支払う」など、個別性を明確にしておく必要があるでしょう。
いずれにせよ、退職金は賃金と違って労働者の権利ではないので、使用者も労働者も慎重に対応する必要があるでしょう。
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