ハロウィンも終わりましたね。
もう11月、紅葉の季節に入っています。
前回、①履行遅滞(りこうちたい)について説明しました。
今回は、②履行不能(りこうふのう)について説明したいと思います。
履行不能とは、契約で定めた約束を果たすことが不可能という意味です。
ただ、最初から履行が不可能だと契約は成立しません。
これを原始的不能(げんしてきふのう)と言って、契約は無効となります。
ですから、履行不能というのは、契約の時には約束を果たすことが可能だったのに、その後に約束を果たせなくなった場合を言います。
例えば、中古車を皆さんが購入したとします。
契約をした時には、確かに自動車はあったのですが、中古車ディーラーがもっと高く買ってくれる客を見つけたとします。
中古車ディーラーとしては、少しでも高く売りたいですから、その客に売ってしまい、名義変更も済ませてしまったとします。
そうすると、その中古車ディーラーは、皆さんに自動車を売却して名義を皆さんのもににすることは、常識的に見て不可能ですよね。
この場合を、契約の履行が社会通念上不可能となったとして、履行不能となるのです。
これに対して、契約の時には既に誰かに売却して、名義変更済みという場合は、原始的不能となって、中古車の売買契約自体が成立しないことになります。
では、履行不能となった場合に皆さんは何が言えるのでしょうか?
まず、契約の解除をすることができます。
この場合には、履行は不能ですから、履行遅滞の場合のように期間を定めて履行を催告する必要はありません。
そして、本来の給付、つまり中古車を引き渡すという給付は不能なので、消滅します。
そこで、皆さんは本来の給付に代わる損害賠償請求をすることができます。
そうすると、中古車の価値に相当する請求ができますが、皆さんは代金を支払わなくて済んでいるので、その分を差し引く必要があります。
そうすると、結局、自動車の引き渡しが不能になったことにより、皆さんが自動車を利用できなかった不利益を損害賠償請求することになります。
「契約のお話」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。