ヤフーニュースを見ていたら、「おじさんLINE」という名前で女子高生などにからかわれているスタイルのライン投稿方法があるようです。
おじさんの特徴的なライン投稿のクセをまねした投稿を友達同士でやって笑っているとのこと。
その特徴としては、
絵文字や顔文字、スタンプを乱発すること
それほど親しくないはずなのに毎日メッセージを送ってくること
相手の生活の様子を知ろうとするかのような質問をならべること
句読点が多く文が長いこと
すぐに食事などへ誘うこと
などだそうです。
「句読点が多い」という点には私もドキリ。
読みやすいだろうと思うことで、かえってオジサンLINEになってしまうとは・・・
でも、よくよく考えたら私は本当に「オジサン」なので、オジサンLINEとなるのはむしろ自然かもしれませんね 笑
さて、依頼者の方の雑談や学生から時折受ける質問として
「殺人を犯しても無期懲役になるけれど、実際には刑務所から出てこれるんですよね?」
というようなものがあります。
まず、無期懲役刑というのは刑期が終身にわたるもの、つまり刑務所に入ったら死ぬまで出られないという刑です。
といっても、刑務所を出る手段はあります。
それは「仮釈放(かりしゃくほう)」という手続です。
受刑者が無期懲役刑で刑務所に入って10年が経過すると、全国8か所にある地方更生保護委員会という組織に仮釈放の申請をすることができます。
これだけを知識として持っていると、「人を1人殺すくらいだと10年で刑務所を出てこられる」という誤解をしかねません。
しかし、仮釈放がみとめられるのは10年経過しただけではダメで、更に「改悛の状(かいしゅんのじょう)」(犯罪を十分に反省して再犯しないと認められること)があることが必要です。
そして、実際の運用としては、最近の4年間では平均で約31年経過していないと仮釈放されていません。
もっとも、これは「無期懲役刑でも31年受刑すれば出てこられる」という意味ではありません。
なぜなら、31年経過したから出られたのではなく、「改悛の状」つまり反省と更生の可能性が認められたから出られているからです。
刑務所で31年間監視し続けられながら「この人は犯罪を心から後悔していて、今後は犯罪を犯さないだろう」と認めてもらうのは相当難しいです。
そのため、無期懲役刑の受刑者を見ると、毎年、仮釈放される人の数より、刑務所で死亡する人の数の方が多いのです。
例えば、
平成26年には仮釈放者が6人に対し、獄中死している人は23人
平成27年には仮釈放者が9人に対し、獄中死が22人
となっています。
そして、誰も刑務所になんかいたくないでしょうから、30~32年程度で多くの無期懲役刑の受刑者は仮釈放の申請をしているようです。
このとき、仮釈放されないと獄中死の可能性が極めて高くなります。
例えば、平成27年では、39年・40年・42年と3人の長期収容者の仮釈放申請がありますが、全て不許可となっています。
例えていうと、大卒採用の新人が60才で一旦定年退職するまでと同じくらいの長さ刑務所にいても、仮釈放は許されないことになります。
いずれの収容者も殺した人は1人であるため、他の仮釈放された人と比べての判断でしょう。
そして、このように不許可となる人は、ざっと仮釈放の審査を見ていくと全体の4分の3にわたります。
そう考えると、無期懲役刑になった場合、仮釈放で出所する人の3倍くらいの人が刑務所に入ったまま人生を終えているということになります。
そして、仮釈放で刑務所を出られたからといって完全に自由ではありません。
あくまで、「仮」の釈放ですから、一生保護観察に付されて、何か違反したら刑務所に逆戻りです。
また、現時点で出所した受刑者は30年以上のインターネットすらない時代に収容されていますから、現代社会についていくことは難しいでしょう。
出所しても職を持って働くことは非常に難しい上、友人や親戚の援助や交際を復活できる人は希です。
いずれにせよ仮釈放後の人生は茨の道です。
やはり仮釈放以前に、無期懲役刑になるような犯罪が起きない社会を作っていくことが大切なのでしょう。
刑事弁護についての基礎知識についてはこちらをご参照ください。