架空請求のお話をしたので、1回前のお話からの続きです。
クーリングオフの多くは、8日間という短い期間内にする必要があります。
では、内容証明郵便での郵送なんて方法で間に合うんでしょうか?
仮に、このブログをご覧になっている皆さんの中に、今日で申込書面又は契約書をもらった日から8日目だった方がいたとします。
今からあわてて、最寄りの本局に行ったとしても、今日中に郵便が到着するのは無理ですよね。
でも、あわてる必要はありません。
クーリングオフによる取り消しの意思表示は、期間内に発送さえすれば良いのです。
ですから、今日の日付をもらえるうちに、郵便局の本局まで行って(又はインターネットで)発信の手続を済ませてしまえば良いのです。
これを、法律の世界の用語で「発信主義(はっしんしゅぎ)」と言います。
実は、民法では、取り消しの意思表示は、相手に届いて初めて効果が発生するのが原則とされています。
取り消される相手の方からすれば、相手からの意思表示を見てもいないのに、知らないうちに契約が消えてしまうんじゃ困りますから、当然ですよね。
これを、「到達主義(とうたつしゅぎ)」と呼んで、法律上の意思を伝える場合の大原則となっています。
ところが、消費者被害は、この民法の原則では守りきれません。
まず、8日間(ケースによっては10日間~20日間)という短い期間に、消費者に、郵便を届けることを要求することは無理があります。
何より、民法のとおりに、到達して初めて効力が生じるとしてしまうと、
悪質な業者が
① 「届いていない」とウソを言ったり
② ウソの営業所を消費者に教えていたり
③ 本社や営業所を転々として郵便が届かないようにする
ということが必ず起きるからです。
このように、当事者を対等に扱う民法では消費者の利益を守りきれないので、特定商取引法などで、特別な定めを色々と置いていることになります。
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