いよいよ、年末ですね。
当事務所も、本日、12月28日が最後の仕事日となります。
今回は、私が色々と消費者関係の委員をやっていることもありますので、消費者の被害についてお話したいと思います。
契約のところでは、民法のお話をしました。
昔は、契約の問題解決は全て民法でしていました。
消費者が、しっかりした会社と取引をするのであれば、それでも特に問題はありませんでした。
しかし、皆さんも聞かれたことがあるかもしれませんが、消費者の被害は次から次へと形を変えて発生しています。
例えば、
① 高齢者の一人住まいを訪問して高いフトンや浄水器を売りつける
② 街角で声をかけて不当に高いエステの契約や美顔器を購入させる
③ 先物取引・外国為替証拠金取引(ここでは「投資」と考えてください。)などで「必ずもうかるから」などと言って、お金を受け取り、大きな損害を被らせたりする
などなどです。
上の①②の取引で、普通の消費者は、フトン・浄水器や美顔器にどれだけの価値があるのかや、適正な値段を知りません。
また、③については、どのようにお金が動くのか、どの程度の危険があるのかを正確に把握していない方がほとんどだと思います。
なので、契約書にハンコを押してしまった後や、損害が発生してしまった後に、知り合いや親・兄弟などに相談して「だまされたかも!」と気付くことも多いでしょう。
ところが、民法の世界では、しっかりした判断ができる市民同士が、取引をすることを前提にしています。
そのため、民法では、取引は自由にできることにしていて、どちらか一方だけを助けたりしません(これを「契約自由の原則」と言います。)。
そこで、一方が「詐欺(さぎ~だますこと。)」とか「強迫(きょうはく~おどすこと)」など、よほどひどいことをしないと、一回した契約を「やっぱりやめた」とは言えないのが民法の原則です。
でも、消費者がうっかり契約をしてしまうケースは、「詐欺」や「強迫」までは行かないけれど、
「重要なことに事実とちがうことがあった(隠していた)」とか
「絶対にもうかる。」「絶対に(美顔器やエステで)きれいになる」と言われた
「一旦は断ったのに会社や自宅に何度も来られて困って契約してしまった」
ということの方が多いんです。
このような、業者が積極的にだまそうとしたとか、脅したとまでは言えないケースについても、業者よりも、消費者の方の味方になって助けてくれる法律が3つあります。
それは、
① 消費者契約法(しょうひしゃけいやくほう)
② 特定商取引法(とくていしょうとりひきほう)
③ 割賦販売法(かっぷはんばいほう)
です。
これらの法律は、民法の原則の一部について特別な定めをして、消費者を助ける条文をいくつかおいています。
なので、消費者が事業者(法人や営業をしている個人)と契約をした場合には、民法や商法(しょうほう~商人のための法律です。)と、①~③の法律の両方が使われることになるんです。
これから、消費者の問題のお話では、民法(商法)の他に、この3つの法律で、どうやって消費者が権利を守ることができるのかお話ししていきます。
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