今日は、宅地建物取引士(昔の宅建免許)の資格更新の法定講習に講師として行ってきました。
私の講義内容は、不動産売買や賃借のトラブルについてどのような法的な責任が生ずるかということと、トラブル予防策です。
受講者は、資格(宅地建物取引士)を持って不動仲介・売買業を営んでいる方々です。
一見、不動産トラブルの知識というと、土地・建物の売買や借りる時しか使わないように見えます。
でも、実はもっと身近な問題で、例えば相続でも、離婚でも、破産でも、不動産が関係してくることは非常に多いのです。
相続では、遺産に土地や建物があることは良くあるため、それを売却する必要があったり、土地や建物の金額について争いになることは多いです。
離婚するときに自宅があれば、住宅ローンを返済しつつ、それを誰が取得するのかや売却するのかの問題がおきます。
また、破産の場合には、破産する人が土地・建物を持っている場合には、売却する必要が生じます。
事業をしている人が破産する場合には、土地や建物の売却だけでなく、借りている場合にも、貸主にどのようにして返すのかをしっかりとした段取りで考えていく必要があります。
そんなわけで、土地・建物の知識というのは色々な所で役に立つし、弁護士の仕事としては必須なんですね。
良く問題になることとしては、売主や仲介業者(不動産業者)の説明義務違反です。
土地や建物を売買する時には、非常に大きなお金が動くので、買主が契約時に知らなかったことでトラブルになることも多いのです。
中古住宅、中古マンションを買った時には、水漏れが良くトラブルになります。
裁判例で、中古マンションを買った人が、専有部分(自分だけが使う住居部分)に設置してあった電気温水器に、実は買う前に大量の水漏れがあったことが分かりました。
この水漏れが起きないためには、補修が必要だったため、買主は契約の時にしっかりと説明をしなかったとして、売主と仲介をした不動産業者の両方を相手に損害賠償請求をしたのです。
このような多額の紛争では、買主に弁護士が代理人としてついています。
弁護士としては、依頼者のために確実に損害賠償を勝ち取るには、被告には売主だけでなく、仲介業者も入れた方が良いと判断したのでしょう。
この事案の判決では損害賠償責任を両方に認めました。
それぞれの責任は次のようなものです。
売主は、水漏れがしていたことを、しっかりと買主に説明すべきだったという説明義務違反を指摘されました。
仲介業者の方は、売主から水漏れのことを聞いていたのですが、自分の目で見て大丈夫と判断してしまいました。
この点を裁判では、マンションの補修の専門業者などに調査を依頼するなどの調査をしなかったことも、仲介業者の義務違反に入れています。
中古の物件の水回りというのは、後々トラブルになりやすいので、売主、買主、仲介業者のいずれかが、契約の時に、専門業者の見解を聞く機会を持った方が良いかと思います。
不動産トラブルの基本知識についてはこちらをご参照ください。