最近、「兎の眼」という本(著者:灰谷健次郎)を読みなおしました。
学校もののストーリーです。
高度成長期の日本を舞台に、「お嬢様育ち」の小学校教師を主人公として、自閉症の子、ADHDの子、その他の社会的弱者に教えたり、教えられたりすることで、「教育とは何か」を考えさせる物語です。
今回、改めて、「『お嬢様育ち』の教師が様々な問題に体当たりして初めて見えてくるものがあること」を考えさせられました。
最初から世間ずれしたり、達観したりしているような人(耳が痛いですが・・・)には、決してできないことだと思います。
「人間教育」という点で見れば、私たち日本人が歴史の中で育んできた倫理観というものを、しっかりと教えることは非常に大切だと考えさせられました。
弁護士の仕事も、決して綺麗な仕事でもカッコいい仕事でもありません。
何かの拍子に倫理観から外れたことをしやすい仕事と言えます。
だからこそ、原理原則から踏み外している時(例えば、加害者側の代理人・刑事弁護人になる時)には、少なくともその自覚が必要なのだと思わされました。
やはり良い本というのは、何度でも読んでみるものですね。
さて、小説、映画、ドラマなどでポピュラーになってきている性同一性障害や同性愛。
とはいえ、日本では、それを「権利」と把握する傾向は薄いように思えます。
自分が自分らしく生きたいという権利(憲法13条)、異性間の恋愛や結婚と同じように平等に扱ってほしいという権利(憲法14条)に含まれるか否かを正面から扱った最高裁の判決は出ていません(2016年4月現在)。
実は、この問題についての先進国?アメリカでは、2015年6月に連邦最高裁判所で判決が出ています。
この最高裁の判決では、正面から同性の結婚を権利として認めています。
つまり、結婚する権利は、アメリカにおける基本的な権利だと位置づけて、同性間の結婚も例外ではないとしています。
従って、各州の法律の規定を根拠として
① 同性カップルに対する婚姻許可証を発給しない州
② 他州で合法的に発給された婚姻証明証を認めない州は
憲法違反だとしています。
具体的には「法の適正手続条項及び法の下の平等保護条項」(合衆国憲法第14条修正)に違反するとしました。
この判決によって、アメリカのどの州でも同性のカップルに婚姻許可証を発行しなければならないことになります。
そして、一旦、ある州で合法にその婚姻許可証が発行された場合には、他の州でもこれを認めなければいけないことになります。
結論としては、アメリカのどの州でも同性カップルの婚姻許可証の発行が出されるようになったということです。
日本で同じことが行われるとすると、どの市区町村でも婚姻届の受理がされて、戸籍に婚姻の記載がされるということですね。
この判決は、夫婦の概念も変えるものでしょうね。
husband(夫)やwife(妻)と言った言葉も使わないようになるのかもしれません。
皆さんは、日本でも同じ判決が出されたら賛成でしょうか?反対でしょうか?
現時点では、意見は分かれるかもしれませんね。
「憲法のお話」のブログ過去記事についてはこちらをご参照ください。