某NPO法人での保護ネコのカレンダーに、ウチのネコたちが使われることになりました。
二匹でウィンクのベストショット。
食欲も旺盛で、毛並みも大分良くなってきました。
ガリガリにやせ細って、ノミ・ダニだらけで保護された時からはウソのようです。
ただ、先住ネコの餌や私の食事まで狙いに来る野生の本能だけは健在です。
「今食べなければ死んでしまう」というギリギリの極限状態に1カ月もいたからなんでしょうね。
さて、「争点整理(そうてんせいり)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
たぶん弁護士や裁判官などの法律実務家でないと、あまりイメージがわかない言葉だと思います。
でも、訴訟になると非常に大事な思考方法であるとともに、大切な手続きなんですね。
「判例タイムズ」という法律実務家が良く読む法律雑誌で、「争点整理で7割決まる!?」という特集が組まれてした。
つまり、裁判の手続で行われる「争点整理」という争点の整理手続を行えば、判決結果の7割は見えてくるという意味です。
具体例でお話していきますね。
例えば、父親の相続人である子供3人のうち、長男が遺産全額の3,000万円を勝手に使い込んでしまったとしましょう。
そうすると、弟と妹がいたとすると、その2人は、相続人として自分の取り分である1,000万円をそれぞれ返還するように請求していくことになります。
これに対して、長男としては、
① そもそも、父親のお金を受け取っていない
② 父親に貸していた3,000万円を、生前に返してもらった記憶はあるが、勝手に使ったりしていない
③ 妹も親から結婚の時に3,000万円以上を借りていて返していないから、その債務と相殺(妹への請求と行ってこいでゼロに)する
などと反論してくることが考えられます。
この①~③のように、当事者の言い分が食い違っている部分を「争点」と呼びます。
ですから、ここでの「争点」は最初は3つあることになります。
しかし、弟や妹の弁護士が、
「父親の死亡後に3,000万円が、父親名義の口座から長男名義の口座に振り返られている銀行の作成した書面の原本」
を証拠として提出したとします。
そうすると、その時点で長男の代理人弁護士としては、①と②の争点について争っても余り意味が無いことが分かります。
何故なら、銀行から見れば大したことの無い3,000万円のお金の動きについて、ウソの記載をすることは考えられません。
ですから、その書面が弟や妹の偽造でもない限り、長男が父親の遺産3,000万円を1人で受領してしまったことは明らかなんですね。
裁判所も、事件解決のためには、段階的に事件を整理していかなければなりません。
そこで、裁判官から長男の代理人弁護士に質問がなされます。
「銀行の作成した書面を否定できるだけの、信用性の高い証拠の提出は予定していますか?」
そこで、長男の代理人弁護士の手元にこれを否定する証拠(例えば、銀行が作成した書面が弟や妹の偽造だとすることを証明できる証拠)が全く無い場合には、ここに拘るより、③で争った方が有意義だと判断せざるを得ません。
そこで、
「特にありません。」
と答えると、裁判官から
「それでは、①と②についての主張や証明の作業は一旦終わらせて、今後は③の点について主張をして、証拠もそれに限定していきましょう。」
との確認があります。
そこで、原告である弟・妹の弁護士と、被告である長男の弁護士が同意をすると、今後は③の争点に絞って訴訟を進めていくことになります。
すると、弟の方は争点が無いことになり、ほぼ訴訟での勝利が見えてくるという訳です。
争点も、整理後は1つになりますので、同じ時間を使うのであれば、より内容の濃い主張やしっかりと証拠を集める時間をとることができます。
そして、③の争点について十分に主張・立証を尽くした後で、和解できるかどうか確認をして、無理そうだったら、法廷で裁判官が話しを聞くという尋問手続に入ることになります。
このように、当事者の争点を一つずつ、これ以上の立証ができるかどうかを確認しながら、潰していく手続を「争点整理」と言うんですね。
だから、長男と妹が和解するにしても③の争点について、長男と妹のどちらが有利な証拠を出せるかで、裁判官が提案する和解案も異なってくるということになります。
これに対して、弟は「来月中に一括払いで900万円払ってくれるのなら、100万円は免除する」というような和解案を提案することで、確実に現金を確保するという方法もとれることになります。
「争点整理」によって、このような和解の内容や判決の結果まで予測できるようになってきます。
だから、「争点整理で7割決まる!?」というタイトルも、確かにそう言えそうなんですね。