池井戸潤の直木賞受賞作「下町ロケット」が、とうとうドラマ化されるようですね。
「半沢直樹」「花咲舞が黙ってない」「ルーズヴェルトゲーム」「ようこそ我が家へ」など、次々とヒットを飛ばしているので、間違い無く視聴率は高くなるでしょう。
原作も、私自身、「ようこそ我が家へ」と並んで最も好きな著作です。
これからのドラマを楽しみにしている方も居ると思うので、内容には触れないでおきますね。
ドラマが終わったら、感想などを書いてみようかと思います。
さて、心理的虐待で離婚をしたいというご相談を最近よく聞くようになりました。
いわゆるモラルハラスメントと括られることが多いですが、私は「モラハラ」という言葉は、モラルの基準が曖昧なので、使わないようにしています。
具体的にどのような精神的虐待行為を夫(妻)はしたのか?
それによって、夫(妻)は、どのような被害(例えば、うつ病などの精神疾患)を受けたのか。
これを明確にしていかないと、法律で定められた離婚の条件である「婚姻を継続し難い重大な事由」があるかどうかは判断できないと思います。
例えば、平成16年の東京地裁の判決では、次のような事情があったケースで妻の夫に対する離婚の請求を認めています。
① 飲酒をした時に、妻をなじったり、妻の家族の悪口を言った。
② 酔いが回ると、粗野な言葉で近所に聞こえるような声で妻を罵倒した。
③ 妻はもともと温和で大人しい性格だったため、面と向かって反論ができず、大きなストレスをためてしまった。
④ 夫には、妻への罵倒を改める気配が全く無かった。
⑤ 妻は精神的に傷ついて、夫と別居して1年以上が経過している。
というような事情です(「原因別離婚裁判の分析 裁判所が認定した離婚原因」出版社:三協法規出版から引用)。
この判決では、暴力などが無いことや、夫のもともとの性格が原因のこともあり、悪意は余りないことを考慮して、妻からの慰謝料請求は認めませんでした。
つまり、「婚姻を破綻させる行為」だけれども、「慰謝料を発生させる程の違法性は無い」ということです。
確かに、精神的虐待だけで慰謝料が発生するには、少なくとも「うつ病への罹患」などの客観的に判断できる損害の発生が必要ということでしょう。
離婚を請求する方に悪い点が少ないケースでは、相手になる夫(妻)側の事情が慰謝料請求できる程悪くなくても、離婚が認められるケースが地方裁判所では増えてきているように思えます。
「モラハラ」で離婚できるという訳ではありませんが、夫婦の一方に悪い点が少なく、一方的にイジメ続けられているというようなケースでは、離婚が認められやすくなったということでしょう。
もっとも、夫婦が離婚する場合には、双方とも
「自分は悪くなく、相手が一方的に悪い」
と思い込んでしまっていることも多いので、客観的に見ることができる友人などに相談してみることが良いかと思います。
離婚の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。