8月も終わりになりつつあっても、秋の気配はまだまだですね。
この地球温暖化が今のペースで続くと、100年たたないうちに気温上昇・熱波・気候激変・海水面の上昇などによって、地球は人が住めない星になるという記事を読みました。
予測の正確性は置いても、今の幼い子どもたちに良い未来を残していきたいものです。
さて、近年、インターネットの中傷による被害が相次いでいます。
中傷により死を選ぶという悲惨な事件が起きたり、心に大きな傷を負ったりするケースは確実に増えていると感じます。
かといって、どこかの国のようにインターネットの表現そのものに規制をかけたのでは、私たちが自由に表現したり、必要な情報を得ることが難しくなります。
そんな中、法務省は侮辱罪の厳罰化を法制審議会に諮問していくとのことです。
インターネットで人を悪く言うことについては、名誉毀損罪でも処罰されます。
ただ、ネットの場合、短文で投稿されることもあり、抽象的な批難、例えば「キモい」という言葉なども多いです。
この場合、具体的な事実を示していないので名誉毀損罪には該当しません。
そこで、そのような場合にも処罰できる「侮辱罪」という犯罪が定められているのですが、その刑罰は「拘留(30日未満)又は科料(1万円未満)」と非常に軽いです。
軽いが故に時効期間も短く、1年間となっています。
そのため、刑を「1年以下の懲役・禁錮」と「30万円の罰金」と重くして、時効期間も3年と長くなる改正案となっているようです。
このようなネットでの中傷は、被害者に対して、多数の人が攻撃的な侮辱をしているケースもあると思います。
その場合、共犯として扱うのか、一人一人単独犯として扱うのかは、おそらく事件の性質によるのでしょう。
多数の人の連続的な侮辱的投稿で被害者が大きな傷を負った場合には、立件はされそうです。
これを共犯として立件した場合、他の人の投稿をどれだけ読んで意思を共同していたか?という「共謀」の点は争いになりそうです。
刑事事件で加害者を特定できれば、被害者や遺族から刑罰とは別に、民事で損害賠償請求もやりやすくなるでしょう。
なお、この改正案のように刑罰による規制は、事後規制といって、表現行為を事前にはストップせず、表現した後での処罰となります。
その意味では表現に対する規制の程度は緩いものではあります。
もっとも、「侮辱」にあたるか否かというのは、表現の内容によって判断されるものですから、時の政府(警察)が介入し過ぎることにも問題はあります。
政策や与党に対する批判を警察が取り締まるようになったら、それはそれで危険でしょう。
処罰するには、単なる言葉だけでなく前後の文脈から解釈したり、加害者と被害者の関係性や被害の実質的な程度を見ながら検討する必要はあると思います。
その点では、個人の権利の対立を調整していく裁判所の役割が、更に大切になると言えますね。
インターネットと法律の過去記事はこちらをご参照ください。