口座からの携帯料金引き落としを止められない?

四連休は出かけられた方も多かったようですね。

 

久しぶりの行楽地で気分転換できたでしょうか。

 

私(谷川)は事務所の改装のため、業者さんと一緒に、朝から晩まで汗まみれで荷物の移動などをしていました。

 

そのおかげで、明日の連休明けからは、全ての相談室を個室にしてのご対応ができます。

 

来年の1月からは弁護士、事務員も増えて、より充実したサービスのご提供をしていきます。

 

さて、今では誰もが持っている携帯電話(スマートフォン)。

スマートフォンのイラスト2(アイコン)

「携帯電話の料金」を支払っていますが、その料金の中に通話料の割合はとても少ないのが普通ですね。

 

動画を見たり、SNSを見たり、検索したり、ゲームをやったりしたデーター通信料が料金のほとんどを占めていると思います。

 

では、その料金は誰が支払うのでしょうか?

 

法律の原則に照らせば、「携帯電話の会社と契約した人」支払いの義務を負います。

 

ですから、契約をした人の口座から料金が引き落とされたり、請求書が届いたりするのが法律が予定している形です。

 

もっとも、未成年の子供や働いていない専業主婦(主夫)などは、親や配偶者の口座から引き落としがされているケースも多いです。

 

この場合、契約者が子供や主婦(主夫)であれば、契約者と引き落とし口座の名義人が異なってくることになります。

 

当然、引き落としにあたっては、どこの携帯電話会社も、口座名義人から同意書をもらっていますから特に問題はありません。

 

では、どんな場合に問題となるでしょうか?

 

例えば、次のような場合です。

① 夫婦が離婚したのに、妻の携帯電話料金が夫の口座から引き落とされ続けている。

② 親子の仲が悪くなって、子供が音信不通になっているのに、親の口座から子供の携帯電話料金が引き落とされ続けている。

 

今年(2020年)の7月3日に東京地裁で、のケースについて判決が下されました(8月4日yahoo news・共同通信社)。

 

事例としては、息子が未成年のときに、父親は息子が契約したソフトバンクの携帯電話の料金を支払うとの同意書にサインをしたというケースです。

 

息子と連絡が全くとれなくなってから、毎月10万円近くの料金が父親の口座から引き落とされるようになりました。

スマートフォンを使う男性のイラスト「困った顔」

ところが、ソフトバンクの約款では、契約者(ここでは息子)が手続をとらなければ、支払う人(ここでは父親)を変えられないとなっていました。

 

ここで約款というのは、契約をするときに細かい文字でびっしりと契約の内容を定めている条項(ほとんど読みませんよね?)のことです。

 

ちなみに、同じような趣旨の約款を、NTTドコモもAuも定めているので、ソフトバンクだけが特別というわけではありません。

 

でも、支払う側にしてみれば、連帯債務者でも連帯保証人でもないのに、永遠に支払いの義務を負わされる危険を負うのでは困ります。

 

そこで、東京地裁の判決では、同意書に基づく支払いは携帯電話会社から強制できるものではなく、任意のものであり、これを維持する義務はないとしました。

 

実際、連帯保証人や連帯債務者にするのであれば、それ相応の手続の説明をしてもらわないと困りますよね。

 

今回はのケースでしたが、私が離婚事件などで経験しているのは、むしろのケースの方が多いです。きっと、これは静岡県に限ったことではないと思います。

 

この判決の趣旨からすれば、夫婦の場合にも同じ結論となるかのうせいはあります。

 

この判決に対してソフトバンクは、東京高等裁判所に控訴せずに確定しています。

 

おそらく、上のような約款の取り扱いは、私たち消費者から納得できないものですから、今後、約款の見直しをしていくことになるのでしょう。

 

また、高裁で大きな話題となって確定判決が出てしまうと、これまでの引き落とし分について返還請求の訴訟が起こされかねません。

 

企業の戦略としては、適切な判断だったのだのでしょう。

 

契約者ではないのに口座からの引き落としに同意してしまった方は、困ったときには、「支払いは任意」というこの判決を思いだしていただければと思います。

 

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「契約のお話」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。

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カテゴリー: 契約のお話

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