お盆休み、どのように過ごされましたか。
全国でコロナウィルスでの発症が報道されるので、気をつかわれた方も多いのではないかと思います。
さて、映画やドラマなどで判決の言い渡しはクライマックスですよね。
「被告は、原告に対して1億円を支払え」
とか
「被告人は無罪」「被告人を死刑に処する」
などという判決は重大な結論ですから、当然、当事者や弁護士・検察官にとって非常に大切のものです。
しかし、民事訴訟の多くは、判決日には誰も出頭せず、当事者席には誰も座っていない状況で裁判官が判決主文(判決の結論部分)を言い渡します。
私も一度民事訴訟で静岡地方裁判所の判決日に出頭したことがありますが(私や依頼者には出頭の意味があったので)、法廷に入ってきた裁判官が「あれっ?」と意外そうな顔をしていたのが印象的でした。
その例外として、判決に原則として出頭する種類の事件が弁護団が組まれているような社会的に意義のある判決の場合です。
この場合は、判決の場を通して社会に訴えかけたいことがありますし、テレビカメラが入ることで更にその効果があるからです。
私も、静岡県内で富士ハウス㈱という建築会社が破産して住宅ローンを組んだ方が大きな被害を受けた事件などで、弁護団の一員として出廷した経験があります。
これに対して、刑事事件では、弁護人も検察官も必ず出頭します。
刑事訴訟法では、一定の重い事件(死刑または無期、3年超の懲役が定められた犯罪)を審理するときには、弁護人が出頭しないと審理できないと定めています(必要的弁護事件)。
これを裏返すと、軽い犯罪の場合や「審理」ではなく「判決言渡」だけの場合には弁護人の出頭は不要とも読めます。
しかし、実務上は、弁護人も必ず判決言渡には出頭して判決内容を確認します。
場合によっては、期限内に控訴しなければならないこともありますから、早めに知っておく必要があるからです。
検察官の場合は、刑事事件では判決言渡に常に出頭しなければなりません。
こう見ると刑事事件では判決日も出頭するので、出頭を忘れることはなさそうです。
でも、実は弁護士や検察官の仕事に力を入れる割合としては「判決言渡」よりも「審理」の方がずっと重いのです。
弁護士は、民事でも刑事でも、精一杯法廷で証人尋問などを行うと、「あとは結果を待つだけ」という気持ちになります。
例えて言うのであれば、「陸上競技でゴールした後、自分のタイムや順位を確認するのを待つ」という感じでしょうか。
そのため、判決日を忘れやすい傾向があるのは事実です。
それは検察官も同じようで、今月、検察官が窃盗事件の判決日に出頭しなかったことが報道されています(8月12日 産経新聞・共同通信社)。
弁護人も平成29年に、やはり刑事事件の判決日に出頭しなかったことが報道されていました。
やってはいけないミスではあるのですが、判決日だけを忘れやすいという傾向は仕事の性質上あることは事実です。
もっとも、ほとんどの弁護士や検察官は、手帳やgoogleカレンダーなどへの記入を工夫して、忘れないようにしていますのでその点はご安心を。
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