あっという間に年末ですね。
今年の12月は28日が土曜日なので、そこから年末年始に入られる方も多いと思います。
あと、もうひと頑張りですね。
さて、裁判や調停を起こしたときに、相手が預金や保険などの財産を裁判所に出さないことがあります。
民事の裁判や調停の第一の目的は紛争の解決です。
でも、証拠の提出を拒否したり隠した者勝ちとなってしまったら、世の中の人が裁判や調停そのものを信頼しなくなります。
そうなると「信頼できない国家機関は必要ない」ということになりかねません。
そこで、法律は、このような場合に証拠の提出を受けられる方法を用意しています。
例えば、相手が明らかにゆうちょ銀行に預金があるのに、それを隠しているとしましょう。
その場合には、裁判所に「調査嘱託」という手続を申し立てると、裁判所からゆうちょ銀行の預金残高や履歴について開示するよう申し入れをしてくれます。
ゆうちょ銀行は、もともとは国の機関だったわけですから、このような裁判所の申し入れには応じてくれます。
ところが、昔から民間だった金融機関の対応はまちまちです。
裁判所からの申し入れといっても「調査嘱託」は任意の手続ですから拒否してもそれ自体が違法となるわけではありません。
そのためか、「預金者の同意が必要」という理由で回答を拒否する金融機関が少数ですが、現時点では静岡県内にもあります。
弁護士や裁判所も、経験や噂で静岡県内に本店・支店があるどこの金融機関が拒否しているのか(拒否しそうか)は知っています。
さて、この拒否に意味があるのでしょうか?
拒否する金融機関は、預金する人に向けては守秘義務の徹底をアピールできるメリットがあるのでしょう。
しかし、拒否したとしても、裁判所は「文書提出命令」という強制的な命令を発動することができますから、結局は単なる時間稼ぎにしかなりません。
結果的に、預金を隠し続けて、最後の命令が出てバレてしまったら、それ自体で不利な判決は出ませんが、その当事者の全体的な信用はがた落ちでしょう。
他の主張や供述についての信用性にも一定の影響を及ぼすと思います。
そのため、多くの弁護士は、どうせバレる預金を隠したりせず、裁判所に提出した方が良いとアドバイスします。
それでも、依頼者が提出を拒否する場合にはやむを得合う争うことになるのですが、あまり有利な争い方ではないと思います。
証拠隠しがまかり通るような裁判はできるだけ無くしていきたいものですね。
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