最近、アマゾンのビデオで昔のドラマを見ています。
最近では、過去にヒットした「僕のヤバイ妻」というドラマを楽しんでみています。
そのドラマにも離婚届が出てくるシーンがありました。
見たところ、本物の離婚届の用紙を使っているようです。
さて、日本では夫婦で話し合って離婚届を市役所などに提出する協議離婚が87.2%を占めています。
残りの12.8%が、家庭裁判所における調停離婚、裁判離婚などになります。
そのうち、法律にくわしくなくても自分でやれる手続が離婚調停です。
この離婚調停は、夫婦では話し合いができない状態にあるときに、家庭裁判所の調停委員に間に入って解決を目指す手続です。
夫婦が話し合いをできない理由はさまざまですが、その一つにDV(家庭内暴力)があります。
多くは夫の妻に対する暴力であり、妻がは逃げるように別居に至ったケースが多いです。
ところが、家庭裁判所に申し立てる申立書には、自分の住所を書く欄があります。
そして、申立書の写しは相手(この場合には夫)に送られます。
ここに正直に今住んでいる住所を書いてしまうと、夫が妻のところに来て、また暴力をふるわれるなど身体や生命の危険があります。
そこで、裁判所の手続においては、DVなど危険がある場合には、次のような住所を隠す手段が認められています。
① 申立書には別居前の住所(夫と同じ住所)を書く。
② 家庭裁判所に教えた連絡先については「非開示の希望に関する申出書」を提出する。
③ 調停申立を弁護士に依頼しているときには、連絡先は弁護士の事務所を書く。
このような対応により、安心して調停の申立ができるのですね。
また、調停が始まったときに、裁判所に提出した証拠、例えば源泉徴収票や給与明細書のコピーなどは相手も見たり、コピーしたりできるのが原則です。
そのため、住所や勤務先を知られたくないときには、勤務先の名前や住所が書かれている所をマジックなどで塗りつぶして提出する必要があります。
更には、調停日当日に、相手(夫)とばったり出くわすと、事件になってしまう可能性もあります。
そこで、「進行に関する照会回答書」(これは家庭裁判所でもらえます)に、顔を合わせないような配慮をして欲しいと書いて提出することで危険を回避できます。
また、家庭裁判所では、原則として対面で行う手続もありますので、その手続で顔を合わせてしまったのでは、精神的に参ってしまいます。
この場合には、事前に家庭裁判所に対面で手続を行うと、精神傷害、身体の不調の危険があることを診断書などを提出して説明します。
そうしておけば、当日、顔を合わせないで手続を勧めるように家庭裁判所も配慮してくれます。
本来は、調停手続でも双方の手続保障という意味で、夫婦の両方を公平に扱う必要があります。
しかし、DVなど特殊な場合には、片方にだけ秘匿を認めて、調停手続が安全に上手くいくようにしているのです。
また、明かなDVでなくても、相手と顔を合わせると精神的に不安定になってしまうような時には、家庭裁判所で状況に合わせて顔を合わせないなどの配慮をしてくれるようになっています。
不安があるときには、まず家庭裁判所の調停係に聞いてみるか、お近くの弁護士に無料相談されると良いと思います。
離婚の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。