3連休の初日、どこかへ出かけられている方も多いと思います。
良い天気らしいので、旅行も楽しいでしょうし、家でゆっくりするのも快適ですね。
私は、ちょうど静岡でユーミン(松任谷由実)がコンサートをやるので、それを聞きに行く予定です。
さて、今回は借金の問題、特に自己破産のお話です。
借金が多額になってしまった場合には、以下の3つの方法により生活を立て直していきます。
① 利息をカットして、毎月の支払い額を減らせば返済が出来る人には、弁
護士が各債権者と交渉して和解する任意整理
② 裁判所の決定により5分の1程度に借金を減らして無利息で支払う個人
再生
③ 返済の予定が全くたたない人の生活再建のための自己破産
です。
自己破産をする場合、ご相談では「破産するとどうなるでしょうか?」という破産後のことについてのご質問が多いです。
確かに、破産の決定を裁判所がした場合に、自分の生活や財産はどうなるのかは大切です。
これに対して、弁護士は破産申立の前の事情を気にします。
どうしてでしょうか?
それは、自己破産のご依頼を受けたのに、その目的を達成できないことを怖れるからです。
例えば、
自己破産の申立をしたのは良いけれど、結局、借金の免除がされないとか
破産決定後に、破産管財人という監督者から依頼者に支払を命じられたりとか
してしまうと、しっかりと依頼を果たせないことになるからです。
弁護士が気にすることの一つとして、ご依頼を受けた後やその直前に債権者に返済をしていないか?があります。
破産に至る原因は、ご相談者それぞれによって違います。
クレジットカードやキャッシングを普通にしているうちに、それに頼りすぎるようなケース。
病気・退職・残業が極端に減るなど、突然訪れるケース。
会社経営や個人事業をしていて、売り上げ不振や設備の過剰投資が引き金になるケース。
ただ、いずれの場合にも弁護士が破産申立前に気にする事情の一つとして、「一部の債権者にだけ返済していないか?」
があります。
そして、私が特に注意していることは
① 身内や友人からの借入金を除外したり、返済していないか?
② 大切な取引先にだけ、買掛を返済していないか?
です。
確かに、恩義のある人に迷惑をかけたくないというのは、人として普通の感情です。
しかし、借金に苦しんで、全ての債権者への支払を続けることができなくなったとき(これを「支払不能」と言います)には、「債権者平等の原則」が働きます。
お金に余裕があるときであれば、どこの債権者にいくら支払うのかは約束の範囲内で自由にできます。
ところが、支払不能になったときには、全ての債権者に支払えないので、破産による配当で債権額の割合で返済するしかありません。
その意味で、支払不能になっった時点で、債務者の財産は、全ての債権者へへの支払の原資となるものと扱われます。
そんなときに、「迷惑をかけたくない」「これからお世話になるかもしれない」といった個人的な事情で、不平等な返済をすることは許されないのです。
そして、一部債権者への支払は、裁判所に破産申立をしてから大きな問題となるのです。
例えば、身内や一部の取引先にだけ、支払不能後に50万円を返済していたとしましょう。
このようなことをすると、まず、裁判所はその調査と回収の確認のため破産管財人という監督人をつけます。
そして、その破産管財人が、破産法の一定の条件を満たすと考えた場合には、返済した身内や取引先に50万円の返還を請求していきます。
任意に返還しない場合には訴訟を起こして行きます。
結局は、迷惑をかけたくないと思って返済したことで、もっと大きな迷惑をかけてしまうことになるのです。
これを見ていくと、借金の相談をされる方は、破産申立前に、「どこまでがセーフか?」ということを弁護士と十分に話し合っておく必要があります。
そういう意味では、
自己破産申立前に、どこまで破産手続の行く先を読めるか?
が破産申立をする弁護士にとって一番重要な能力かもしれません。
借金問題ご解決方法についてはこちらをご参照ください。