12月に入って町にも店にもクリスマスの音楽が流れていますね。
もうクリスマスと年末が近づいているのか~と時が過ぎる早さを実感しています。
さて、最近のニュースでは天皇陛下が2019年4月30日に退位することが決まったと話題になっています。
ということは、「平成」という元号は平成31年4月30日をもって終了することになります。
次の元号はまだ決まっていないようですが、元号を大学や会社の名前に使うことが多いので、裏では情報戦が繰り広げられているような気がします。
現在の日本国憲法には天皇制は定められていますが、元号は定められていません。
これは、元号法という法律で「元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める」と定められています。
つまり、元号は天皇陛下の地位とセットということになります。
私たちの国でこの天皇制を維持するためには、憲法に天皇制を制度として必ず定めなければいけません。
もし、法律だけで天皇制を定めてしまったら、その法律は「違憲無効」となってしまいます。
なぜなら、世襲(生まれ方)の天皇制を国の制度で定めることは、
「国の統治の大事なことを全て国民が定める」という民主主義や
「生まれによって公的な地位を与えてはいけない」という法の下の平等
という他の憲法の規定に反するからです。
そのため、戦後、現在の日本国憲法を定めるときには、天皇制を維持するためにどのように憲法に位置づけるかが熱く議論されました。
もともと、明治時代に成立した大日本帝国憲法では、天皇陛下には「国の元首にして統治権」を有すると定めて実質的な権力を付与していました。
もちろん、天皇陛下が全てを決めることなどなく、実質的に決めるのは一部の高級官僚や軍部だったわけです。
最近でも、ミサイルを飛ばしている近くの国では、世襲制の元首制度を続けていますが、そのような制度に問題があることは理解できると思います。
そこで、日本国憲法に天皇制を定めるにあたって、「元首」ではないし「統治権」もないことを明らかにするために「象徴」と定めたのです。
このように大きく天皇陛下の地位が変わりましたが、現在の憲法は、手続的には大日本帝国憲法の手続に従って改正したという形をとっています。
新たに制定した憲法ではないのですね。
この憲法改正で、君主主権から国民主権へ変わったという点で、日本を統治する考え方の根本が変わってしまったので、従来の天皇制をそのまま維持することはできなくなりました。
しかし、国民の意識を考えると、天皇制の廃止というのはとても受け入れられるものではありませんでした。
そこで、GHQ(連合国総司令部)と日本の政府とが議論をして「象徴」というところに納めたのです。
現在、天皇陛下は象徴として、外国からの来賓をもてなしたり、内閣総理大臣の任命手続などを行っています。
そして、元号を使うことも、同じように象徴天皇制の表れの一つとなのです。
日常生活や仕事でも、西暦を使う方と元号を使う方に分かれると思います。
実は弁護士の仕事で、西暦か?元号か?を迷うことが良くあります。
特に苦労するのは法廷の尋問のときです。
「あなたは、平成4年5月に〇〇さんと会いましたね?」
などと法廷で質問すると
「西暦でないと分からないです。」
などと言われてしまうことがよくあります。
そのため、準備をするときにも、時系列で質問するときには、平成でも西暦でも言えるようにしいました。
今までは平成で慣れていたので、今度、また年の途中に元号が変わるとなると仕事で苦労しそうです。
おそらく、皆さんの中にも、仕事で時系列のことを話す機会が多い方は同じ苦労をされると思います。
これも、憲法で定められた天皇制から必然的に来るものなので、合わせていくしかないのでしょうね。
「憲法のお話」のブログ過去記事についてはこちらをご参照ください。