暑い日が続きますね。
静岡では、最高気温が34度を超える日が続いているので、てっきりどこも暑いのかと思っていました。
でも、東京からいらした方が「静岡は暑いですね~」と言っていたり、北海道に旅行に行った友人が「寒くて、上着がないと過ごせなかった」と言ったりするのを聞くと、静岡が特に暑いのかもしれません。
ただ、北海道といっても私が聞いたのは稚内の話だったので、比較はできないかも?
さて、相続でなかなかお互いに納得できないことの一つに特別受益があります。
特別受益というのは、相続人の一部の人が、他の相続人よりも被相続人(亡くなった方)から生前にお金をもらうなどの援助や利益を受けていることです。
この特別受益が認められると、その特別受益を受けた人の実際の相続分が減って、他の人の相続分が増えるような調整がなされます。
ただ、被相続人から援助を受けていれば何でも特別受益になるわけではなく、「特別」なものでなければなりません。
そこでどこまで利益を得れば「特別」の受益と言えるのかが問題になるのですね。
遺産分割調停で紛争になるケースとして、被相続人(例えば父親)が相続人3人のうち1人だけを大学に進学させて学費を払っていた場合です。
確かに、他の相続人から見れば、自分は高校までしか学費を払ってもらっていないのに、他の兄弟姉妹は大学の費用まで払ってもらったというのは不公平に感じるでしょう。
特に、大学は学費の他に、アパート代や仕送りがあると、私立大学では4年間で総額1,000万円を越えることも多いでしょう。
そうすると、他の相続人は
「自分は高校までしか援助を受けていないのだから、1,000万円の利益を受けた相続人は、相続の時に精算しないと不公平だ。」
と言いたくなるでしょう。
しかし、特別受益と認められることは少ないのが実務です。
というのは、親には子供に対する扶養義務があるからです。
ある程度の大学へ進学できる成績の子については進学させ、そうでない子は高校を卒業して働いてもらうというのは、親の扶養の方法として十分あり得ますよね。
これは親からの贈与的なものではなく、むしろ親の扶養義務だとみることが多いのです。
また、大学といっても、国立大学なら学費は安いですが、私立大学の医学部なんて言ったらとんでもない費用がかかりますよね。
これらの判断は、親が子を育てるときに、子供の成績や進学希望、将来のこと、その時点での親の経済状況などそれぞれの家庭の事情の中でしていきます。
これを他人(裁判所)から、親の判断が不公平だったと決めつけることは難しいのです。
もっとも、1人だけ大学へ進学させてもらった相続人が特別受益を認めるのであればそれは精算しても構いません。
もっとも、逆に相続人の中で1人だけ差別されていて、
「非常に成績が良かったのに大学に進学させてもらえなかった」
という主張はしてみる価値があるかもしれません。
何故なら、証明がしやすいからです。
その主張をするときには
① 自分が通っていた高校が進学高だったこと
② その中でも良い成績をとっていたこと
③ 自分の学歴が高卒であること
④ 他の相続人が全員大学に通学していたこと
などを証明すれば良いと思います。
そして、例えば①は偏差値が載っている本で証明できますし、②は成績証明書で証明できます。
③と④はさすがに相続人(兄弟姉妹)全員が「違う!」と嘘をつくことはないでしょう。
万が一そういうことがあっても、
③は自分が高卒後即勤務したというような就職証明書を会社に出してもらう
④は大学の卒業証明書の発行の請求を裁判所を通じてやってもらう(送付嘱託)
という方法で証明も可能でしょう。
大学でさえ特別受益とするのが難しいのですから、
「1人だけ私立高校へ進学した。」
という高校の学費の不公平を特別受益とする主張は認められないと考えて良いでしょう。
もともと、親が子供達に「不公平」と思わせないような育て方をしておけば良いとも言えます。
しかし、逆に親の立場から見ると、自分の可愛い子供達が、自分の遺産で争うということは想像できない(したくない)のも事実です。
その意味では、親から見た兄弟姉妹の姿と、兄弟姉妹の間でそれぞれが感じている姿との間には実は大きなギャップがあるのかもしれませんね。
相続の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。