野外ライブの法的責任はどこに

梅雨も明けて、セミの声が聞こえてくるようになりました。

 

暑い季節の到来ですね。

 

夏になると、お祭り、花火、野外ライブ、スポーツ観戦など野外でのイベントが増えますね。

 

さて、野外は楽しいですが、建物がないが故に起きてしまう事故もあります。

 

過去に野外ライブで不幸な事故が起きて、裁判となっています。

 

野外ライブに向かう女性が落雷で死亡してしまったという事故です。

 

この事件で遺族が主催者する会社に対して損害賠償請求の訴訟をしたことに対して、19日に最高裁判決が出ました。

 

結論としては、「請求棄却」つまり遺族の請求を認めませんでした

 

この遺族の損害賠償責任の法的な根拠は、ライブに訪れるお客さんの保護義務違反です。

 

つまり、天候によっては雷が落ちる可能性があるので、ライブの主催者は会場内のお客さん、会場に向かうお客さんに対して、避難誘導する義務があり、これを怠ったというものです。

 

確かに、ライブが始まってから雨が降り始め、雷が相当鳴り響いたのにライブを継続していれば、主催者の責任が生じる場合もあると思います。

 

この事案でも、雷が鳴り始め落雷の危険が迫っていると予測をすることが出来る天候でした。

 

もっとも、その予測ができるときから死亡事故が起きるまでの間は十数分しかありませんでした。

 

会場には多数の人がいますから、整理しながら避難させなければ大事故になるおそれがあります。

 

ですから、落雷の危険を感じたとしても、即座に「避難して下さい」とアナウンスするわけにはいきませんよね。

 

また、野外でライブをする場合には、成人であれば落雷の危険はある程度自分で判断できますから、自己責任で避難する行動も求められるでしょう。

 

そのため、落雷の危険を予測できるときから例えば15分程度で全員を避難させる行動を起こさないというだけで、主催者に保護義務違反はないと判断されたのです。

 

亡くなった方は気の毒ですが、野外でのイベントにおいて、自然による危険については個々人もある程度責任を持つというのが最高裁の考えということになります。

 

夏の事故には皆さんも十分気をつけつつ、イベントを楽しんでください。

 

「時事とトピック」のブログ過去記事についてはこちらをご参照ください。

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カテゴリー: 時事とトピック

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