連日、全国で積雪のニュースが流れていますが、静岡市内にいると別世界の話のようです。
雪のような白いものを見ることはあっても、すぐに止むか雨に変わってしまいます。
雪が積もれば、子供たちは大はしゃぎ、道路は大混乱になりそうです。
もっとも、私の記憶だと、静岡市内での積雪は15年以上前に遡らないと存在しません。
温暖化する世界で、果たして静岡市で雪が積もるのでしょうか・・・
さて、世の中の多くの人が大嫌いな「税金」。
国民の義務だとは分かっていても、一方的に決められてしまうことや、調査や徴収が不公平など不満を持たれている方は多いと思います。
脱税はいけませんが、ルールの範囲内で節税をすることは誰でも気をつけているでしょう。
その節税目的での養子縁組の有効性が争われた事件で、先月、最高裁の判決が出ました。
事案としては、父親Aが死亡した時に、B、X1,X2という3人の子が相続人となったものです。
実は、その中の長男Bは、父親Aの生前に長男Bの子(父親Aから見ると孫)Yと養子縁組をさせていました。
これは、相続税の節約目的のものでした。
つまり、相続税の基礎控除額は、「3,000万円+法定相続人の数×600万円(平成27年1月1日以降の相続)」となるため、Yが養子となれば600万円分の基礎控除が増えるということです。
しかし、これを有効としてしまうとX1、X2は納得できません。
なぜなら、子供が一人増えると、X1、X2の本来の相続分が3分の1だったのが4分の1に減ってしまいます。
それだけでなく、この事案のYは最高裁の判決の時点でも5才のため、実際にYの4分の1の相続分は親である長男Bのものになるというのが通常の感覚です。
そうすると、X1、X2からみれば、長男Bが自分たちの倍の相続をするように画策したように見えたり、父親Aの縁組が不公平に感じたので、養子縁組無効の訴訟を起こしたのでしょう。
これに対して、最高裁は、「相続税の節税の動機」と「養子縁組の意思」とは矛盾するものでなく両立するものだとしました。
つまり、父親Aが自分が死亡した場合の相続税をできるだけ節約したいという気持ちを持ちつつも、孫Yを可愛く思って養子にする意思を持つことは十分あり得るということです。
確かに、国に持って行かれるお金を減らしたいことと、養子にするかどうかとは全く別のものですよね。
この点を指摘して最高裁は相続税の節税目的が主なものとしてあったとしても養子縁組は無効とはならないとしました。
なお、注意しなければならないのは、もし「節税」ではなく「脱税」と言われるような養子縁組をした場合には異なる判決があり得ることです。
例えば、1億円の財産がある人が、相続税を払いたくなくて、12人の知り合いの名義を借りるような養子縁組をした場合には、「そもそも本当に養子にする意思が無い」として養子縁組は無効になる可能性が高いです。
この判決を鵜呑みにして、安易に節税(脱税)目的で養子縁組をしない方が良さそうです。
この事件で一番災難だったのは、知らないうちに養子縁組をされ、被告にされて、生まれてから5才までの間に地裁・高裁・最高裁と3つも判決を受けたYちゃんだったような気もしますね。
「親族間のトラブル」のブログ過去記事についてはこちらをご参照ください。