今日は、債権回収の研修に講師として行ってきました。
① 債権の回収を依頼されてて確実な回収の段取りをする立場
② 会社の自己破産を申し立てて債権の回収を止めてしまう立場
③ 裁判所から破産管財人に選任されて総債権者のために公平な分配を図る立場
と3つの立場になることがあるため、その3方面からのお話をしてきました。
会社であれ、個人であれ、貸付金や売掛金などの債権を確実に回収することは経営のために非常に大切です。
実は、債務者が本当に危なくなってからでは債権回収は遅いと言えます。
債務者のキャッシュフローが滞ってしまうと支払自体ができなくなりますし、仮に弁護士から破産や再生の通知が来てしまうと、その後に抜け駆けで返済を受けると、後で破産管財人から否認されて返還を求められる場合があります。
そうならないためには、様々な注意が必要なのですが、注意するいくつかのポイントがあります。
この傾向があると、会社の経営には要注意という事項です。
会社の本業以外の投資や運用、例えば変動の激しい株式への投資やFX(外貨取引)などに社長が入れ込みすぎている場合は危ないです。
特に、手元資金が少なくても大きな取引が簡単にインターネットで出来るようになってきています。
この場合に一気に大きな損失を会社や代表者が抱え込むことがあり、その損失を埋めるために会社資金を使って突然経営が傾くことがあります。
この場合には、経営者が会社から借り入れる形をとることも多いため、決算報告書に経営者の多額の借入金が記載されていたら、会社の資金流用を疑っても良いでしょう。
もっとも、こっそりと別口座を作って利用して、帳簿にすら記載しないケースもあるので、決算報告書だけでは分からないこともあります。
また、逆に社長や取締役から会社への貸付金が多額な場合も危ないしるしです。
会社が金融機関からの借入審査をパスできない状態になっているために、役員個人の資産をつぎ込んで経営を何とか持たせている場合もあるからです。
そして、社長が技術畑でビジネスの知識やリスク管理に疎い場合にも要注意です。
中小企業では、なかなか社長に意見を言える人はいません。
特に、技術開発に熱心な社長にコストに見合った開発費の投入などをアドバイスしようものなら、解雇されかねません。
しかし、投入した技術開発や設備投資に見合った売上が上げられなくて破産する会社は非常に多いです。
取引先会社の社長の話の中で「コスト感覚が足りない」と感じたら、より注意して過剰な開発費や設備投資がされていないか見ておく必要があるでしょう。
そして、危険なしるしを発見した場合には、
① 回収出来る債権はすぐに回収し
② 期限が先のものについては、何か担保に取れないか検討し
③ 新しい取引は控えるか、するとした場合には支払期限を今までより短縮する
などの対応が必要でしょう。