ゴールデンウィークも終わり通常業務に戻られていると思います。
事務所は暦通りに開いていましたが、さすがに飛び石の2日(月)と6日(金)は仕事が入らないから、たまっている書面を作ることができるだろうと予定していました。
しかし、突然の刑事事件が2件も入ってしまいました。
結局、接見に行ったり、警察署の刑事課の警察官に昼間会いに行ったりと、結局、予定していた仕事は半分も出来ませんでした。
「想定外も想定内に」といつも心がけているので驚きでは無いのですが、ちょっとゴールデンウィーク気分は味わえませんでした・・・
さて、遺産分割をするにあたって、各相続人が相続する分を実際に定める場合、どの時点を評価の基準時にするのでしょうか。
例えば、父親のAさんが死亡して、子Bさんと子Cさんが相続人となったとします。
この場合、Bさんが生前に株式をAさんからもらっていて、CさんはAさんから土地・建物をもらっていたとしましょう。
そうすると、Bさんのもらった株式、Aさんのもらった土地を特別受益といって、一度遺産に戻さなければなりません(持ち戻し)。
では、その戻す時に、BさんとCさんは価格に評価すると、一体幾らもどさなければならないのでしょうか。
株式のような有価証券は日々価格が変わりますよね。
土地も価格が変動しますし、建物は古くなると価値がどんどん減っていきます。
実務では、まず、遺産分割は相続開始時(Aさんの死亡した時)に存在した遺産を分配することですから、その時点を基準とします。
ですから、BさんとCさんは、父親Aさんが死亡した時の価格を戻すことになります。
その上で、BさんとCさんの具体的な相続額を算出できます。
では、遺産分割の時にもBさんとCさんは、その額をもらえば相続完了となるのでしょうか?
実はマズいことがあります。
それは、Aさんが死亡した後、遺産分割まで数年経っていた間に、例えばBさんがもらった株式を発行した会社が破産してしまったらどうでしょう?
この場合、株式が無価値となったことで全体として遺産が減ってしまっているので、Aさんが死亡した時点を基準とするとBさんとCさんが相続すべき遺産が不足してしまい、遺産をそもそも分けることができません。
そこで、実務では、Aさんが死亡した時点でのBさんとCさんが相続する額の割合で、遺産分割時の遺産を分けることにします。
つまり、Bさんの株式はあったこととして、特別受益を戻した上で、BさんとCさんの相続額を決めて、その額の割合で遺産を分けるのですね。
このように、価格が変動する財産が遺産に含まれている場合には、どのように分けるのが得なのか、しっかりと計算する必要があるんですね。
相続の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。