先日、静岡市内のコメダ珈琲店で一服しました。
テーブルの横には「冬のサービスメニュー」という三角柱のメニューが。
そのメニューとは、
① (食べきれないものは)お包みいたします
② (充電がないぃぃいぃ)充電器貸し出します
③ (冷めてしまったものは)温めなおします
④ (寒がりなあなたに)ひざ掛け貸し出し
というものでした。
ちなみに、同じコメダ珈琲店でも、静岡市内の他の店にはこのようなメニューは置いてありませんでした。
喫茶店というビジネスは、決して流行りでも、先が明るいというジャンルのものでもありません。
でも、ここのコメダ珈琲店は何時もお客さんで一杯で、休日になると必ず順番待ちになります。
喫茶店で「メニュー」と聞いた時に「売ること」から入ると、商品を魅力的にメニューに書くことばかり考えてしまいます。
でも、多くの人が喫茶店に行く理由って何でしょう?
「家には無い雰囲気で、快適に会話・読書・仕事・勉強などをしたい」というのが今の多くの顧客のニーズではないでしょうか。
それを考えると、このコメダ珈琲店のサービスメニューには、「ビジネス=仕事=人のためになること」という来客者からの発想が表れています。
「成功するには、それだけの理由があるな~」と思わされました
さて、本論ですが、前からに引き続いて遺産分割における寄与分のお話しについて、ご説明していきたいと思います。
今回は、親や兄弟姉妹の介護をしたことが寄与分と認められるのは、どのような場合か考えてみましょう。
相当ハードルが高いことに驚かれるのではないかと思います。
まず、第1に亡くなった方(被相続人)が「介護をどうしてもしなければならないような病状にあったこと」が必要です。
ですから、ただ高齢というだけではダメですし、被相続人が施設に入所していれば、介護は施設の人がやっているので、これもダメです。
もっとも、施設に入所する費用を立て替えてやっていれば、立替金の請求を遺産分割の時に請求できます。
私の経験上では、多くの場合は被相続人の口座から施設の費用が引き落とされていることが多いようですが。
第2に、前回ご説明したとおり、相続人の介護が「扶養義務の履行」の範囲内でなく、「特別の」貢献をしたと認められることが必要になります。
例えば、毎日のように被相続人の自宅を訪問して食事やトイレ・お風呂の世話をしてあげていたなどのケースであれば認められるでしょう。
時々、訪問して様子を見たり、お弁当を持って行ってあげたりした程度では寄与分は認められません。
第3に、被相続人からお金をもらったり、相続人の生活費を被相続人の口座から引き落とすなど、介護を無償でやっていないケースでは寄与分は認められません。
ですから、寄与分を否定する側の相続人は、他の相続人が親・兄弟姉妹(被相続人)から、何か経済的な利益を受けていないか調査して主張することが必要となってくるんですね。
第4に、介護が相当長期間に継続していることが必要です。
一般的には1年以上必要と考えられるようです。
つまり、被相続人の病状が急激に悪化して、亡くなる直前の数ヶ月看病しただけでは、その内容にもよりますが、基本的には寄与分は認められにくいということになります。
第5に、相続人の生活の中で、介護が中心になるほどの重さがなければいけないと言われています。
相続人が自分の仕事はしっかりとやりながら、帰りに立ち寄って食事とお風呂の世話をする程度だと、寄与分は認められにくいと言えるでしょう。
第6に、介護をすることで、専門職のケアマネージャーとか介護する人を雇わないですんだため、具体的に被相続人の財産が減らないですんだという因果関係が必要です。
ですから、専門職の介護者を依頼する必要が無いようなケースでは寄与分は認められないということになります。
そして、最後に、介護タイプの寄与分で最も苦労するのは、証拠による証明です。
単に、寄与した相続人が主張をするだけでは、他の相続人から否認された場合に、裁判所としても判断が困難です。
例えば、自宅介護の場合、スーパーで買ったレシートと介護日記を合わせて保管しておけば、その日時から介護を客観的に説明し易いと思います。
このように、寄与分は認められにくい上に、介護タイプでの寄与分は更にハードルが高いため、記録と証拠をしっかりと保管しておく必要があるんですね。
逆に、介護タイプの寄与分を否定したい相続人は、上にあげた要件に沿って、しっかりと理由をつけて否定していけば効果的ということになります。
相続の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。