相続で寄与分を主張する前に

最近、東京へ行ったところ、東京地方での最高気温は11℃となっていました。

 

同じ日の静岡市の最高気温は15℃。

 

新幹線で1時間弱の距離で温度が4℃も違うとさすがに東京駅で降りた時に「寒いな」と感じます。

 

静岡から偉人が出ないのも、この暖かな気候でのんびりしすぎなのかもしれませんね。

 

さて、相続で当事者間では、重要な争いになる「寄与分きよぶん)」。

 

これについて、東京家庭裁判所からの情報をもとに、少し突っ込んだお話しをしたいと思います。

 

「寄与分」とは、親族関係から通常期待されるよりも多く亡くなった人(被相続人~ひそうぞくにん)の財産の維持や増加を、特別に助けたと認められる人に与えられる取り分です。

 

良く、「親の世話をした」ということが争われますが、同居の子が食事の世話とか病院への送迎をした程度だと、子が親に対する扶養義務を果たしただけなので、寄与分とは扱われません。

 

寄与分が認められるためには3つの重要な要素がありますので、これを覚えておくと良いと思います。

 

まず、1つめは、被相続人の主張する親などを助けた行為(寄与行為)が、親などが死亡する前の行為であることが必要です。

 

ですから、親名義の土地・建物の固定資産税を支払ったり、管理の費用を負担したり、葬儀費用を負担しても、それは寄与分の対象にはなりません。

 

もっとも、さすがに葬儀費用は領収証や請求書を出したうえで、相続人全員の合意で遺産から支出することが多いです。

 

お寺に支払うお金は領収証も請求書も出ないのが普通ですが、相続人の間では、「このお寺なら50万円」とか相場観があるようで、その額でもめることも少ないです。

 

次に、2つ目は、寄与分の法律的な要件を充たしていることが必要です。

 

寄与分の法律的な要件とは

 亡くなった人の財産の維持・増加をすることが、亡くなった人にとって必要不可欠であったこと

 その相続人のした行為が「特別な貢献」と認められること

 亡くなった人から対価をもらっていないこと

 財産の維持・増加行為が短期間ではなく、相当の期間あること

 実際にその維持・増加行為で、遺産の価値が維持されたり、増加したという事実があること

の5つです。

 

相当ハードルが高いですよね。

 

ですから、「親の世話をしたこと」が寄与分ではなく、その世話をしなければ、特別にヘルパーを依頼しなければならないので、その費用が浮いたという点が寄与分なんですね。

 

そのため、同居している親の世話の場合には、特にヘルパーに頼むほどではないという場合には寄与分に入りにくいです。

 

この場合、例えば、気難しい親の世話を献身的にした同居の子には大きな不満が残ると思います。

 

でも、その気苦労を客観的に証明するのが、非常に難しいのが現実です。

 

3つめは、遺産の維持や増加をした行為について、領収書などの客観的な裏付け資料が必要ということです。

 

例えば、高額の施設入所費用を負担していたとかであれば、施設費用の引き落とし口座の名義で裏付けがとれますね。

 

これに対して、毎日の食事を作って運んでやっていたという場合には、一々スーパーや薬局のレシートを保管していないといけないことになります。

 

自分がノートにメモをしていただけでは裏付けが無いといわれてしまいますので、日々の記録とレシートなどを、亡くなる前からしっかりと保管しておく必要があります。

 

このように、寄与分というのは、認めてもらうためには被相続人が亡くなる前に、しっかりと知識がを持っていることが重要となります。

 

その知識を得られるように、次回から、寄与分を典型的な場合分けをして、ご説明していきますね。

 

相続の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。 

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カテゴリー: 相続のお話

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