皆さんは、ドロップシッピング詐欺って聞いたことがあるでしょうか?
そもそも、「ドロップシッピング」って何?
という方が殆どではないでしょうか。
ドロップシッピングとは、ネットショップで注文が入った時点で、それを製造業者や卸業者(まとめて「ベンダー」と呼んだりします)から、顧客へ直送させるネットショップの運営方法です。
つまり、皆さんがドロップシッピングをやる場合、「とても良い物を作っている製造業者だけれど営業が下手」な会社について、皆さんがネットショップを作って営業をかけるのです。
そこでの価格は皆さんが自由に決めます。
もっとも、その製造業者の価格より高額にしないと利益が出ないので、その範囲で設定します。
その後、皆さんがネットショップで営業をかけて顧客から注文をもらったら、それを製造業者に伝えて、顧客あてに直接製品を発送してもらいます。
そして、顧客から振り込まれたお金のうち、製造業者に支払った価格と皆さんの設定した価格との差額が、皆さんの利益になります。
これを聞いて「よし。やってみよう!」と思われた方はいるでしょうか?
余りいないのではないかと思います。
なぜなら、そのネットショップで製品を売って利益をあげるためには、
①「製品が売れる」という見通しを誤らないだけの判断力があること
②その製品を売るだけのネットショップを構築するネットの知識や技術があること
③売れるホームページを作るセンスや文章力があること
④常に進化する検索エンジン(google)への対応ができること
など様々な知識と能力が必要となるからです。
「簡単には儲からない」ということは、ここまで読んでご理解いただけたと思います。
ところが、ドロップシッピング詐欺は、そのハードルを非常に低いものと誤解させて消費者をだますんですね。
詐欺業者の標的は「在宅でお金を稼ごう」と考えている人です。
そして、詐欺業者は上の①~④はすべて業者側でやるので、標的には「初期投資だけで後は、売れれば自動的にお金が入ってくる」「必ず儲かる」とウソをつくわけです。
一番大変な①~④を間違いなくできるのであれば、非常に高いスキルのビジネスの才能があるはずです。
だったら、初期投資を消費者からもらわなくても、自分が融資を受けていくつもショッピングサイトを開けば莫大な利益を得ることができますよね。
でも、世の中そんなに甘いものではなく、必ずといって良いほど失敗するため、詐欺業者も自分ではやらないわけです。
詐欺業者は、その構造を十分知りながら、「必ず儲かる」「月収30万円以上は確実」などとウソを消費者に言って、ネットショップの作成費用例えば100万円を投資として前払いさせます。
実際に、売れるはずのないテンプレートに決まり文句を入れ替えるだけのホームページ(ネットショップ)は作ります。
そのため、消費者も騙されたと気付くまでに時間がかかります。
消費者がクレームを言ってきても、もっともらしい言い訳をしてだまし続けたり、初めのころの消費者にだけ仲介料などの名目の金銭を少し払って、だましだまし詐欺行為を続けます。
その間に、詐欺業者は次々とターゲットから入金させて、100人だましたところで、ウソの会社をたたんでしまえば確実に1億円の売り上げが得られるというわけです。
会社の名前も、所在地も、皆さんのところへ来た担当者の名前も、電話番号、メールアドレスも、存在する会社でも、本人のものでもないので、後での被害回復が極めて困難です。
仮に、損害賠償請求訴訟をおこしたとすれば、勝訴判決が得られるかもしれません。
しかし、当の債務者である会社や担当者が不明なのですから、判決が出ても、それに基づく強制的な金銭の取り戻しはできないことが殆どなのです。
このように、ドロップシッピング詐欺も、他の消費者詐欺と同様に、損害賠償請求での回復が困難なため、事前に知識を持っておくことで被害を防ぐことが大切になるんですね。
インターネットと法律の過去記事はこちらをご参照ください。