遺産とお墓とは別もの?

最近疲れやすくなっていたことを、友人の医師に世間話でしたところ、私の体ををジーっと見て

 

「外見はそう変わらないけど、ひょとして急に体重増えてないか?お腹周りは?」

 

失礼な!

 

私のウエストが急激に5cmも増えて、はけないズボンが続出していたことは誰にも秘密だったのに・・・

 

どうも私は、外側から見えにくい所(臓器周辺)に脂肪がつきやすい体質のようです。

 

「仕事のパフォーマンスが落ちるのはもちろんだが、食事制限と運動で体重を減らさないと、5年後には相当危険なことになるな。」と言われました。

 

私の好きな運動といえばジョギングですが、どうも忙しいと時間のムダに思えてここ5~6年、まともにはやれていませんでした。

 

そこで思いついたのが、「音楽を聴きながら走る」ということです(「気づくの遅いわ!」というつっこみは、スルーさせていただきます。)。

 

ただ、それを屋外でやると、自分が危険だったり、他の人に迷惑をかける可能性があるので、やむを得ずスポーツジムに通うことにしました。

 

そして、今1ヶ月続いており、体重は第一段階の目標、3kg減量達成です。

 

そこで、事務員や仲の良い友人や弁護士に「3kgも体重をおとした!」と一生懸命自慢して回ってみました。

 

でも、みんな「へ~」とか、「何か変わんないね。」という薄い反応ばかりです。

 

つまり、「太っても太ったように見えない」ということは、「痩せても痩せたように見えない」ということらしいです。

 

何か、内臓脂肪型の太り方って、いいこと一つもありませんね・・・

 

さて、相続で遺産を分ける時に、土地・建物や預金など経済的に価値のあるものをめぐって争いになるケースがあることは皆さんご存じですよね?

 

でも、それとは別に「お墓をめぐった争い」が生じることもあります。

 

つまり、仏教の場合には、仏壇やお墓を誰が受け継ぐか、葬儀以降の初七日・49日・一回忌・3回忌などを誰がやるかという問題です。

 

宗教の種類によって、色々とありますが、亡くなった方の先祖を敬う宗教的行為を民法ではまとめて祭祀(さいし)と読んでいます。

 

そして、そのような祭祀を受け継ぐことを「祭祀の承継」、祭祀を行う人のことを「祭祀の主宰者(しゅさいしゃ)」と呼びます。

 

弁護士に依頼しないで遺産分割調停に出た場合、調停委員から急に

 

「祭祀の承継者を誰にするかは決まっていますか?」

 

などと言われて意味がわからないことがあるのではないかと思います。

 

これは、民法が土地・建物や預金などお金で換算できるものと、宗教的な色が強い先祖を敬う儀式を分けているからなんですね。

 

ですから、遺産分割調停では、土地・建物、預金などお金を一切受け継がない相続人でも祭祀を承継することができますし、その逆でもOKです。

 

では、どうして争いになるのでしょうか?

 

争いのパターンには2つあります。

 

1つは、相続人の間で、「先祖を受け継ぐのは自分が適切だ」といって、祭祀の承継を取り合うケース。

 

もう1つは、「先祖を受け継いで祭祀なんかやっても、お金と手間だけかかって嫌だ」と言って、祭祀の承継を避けるケース。

 

いずれのパターンも私自身は体験していますが、ここは理屈ではないので、第三者である調停委員や弁護士が説得するにも限界があり、簡単に決まらないことが多いです。

 

では、どうやって決めるのでしょう?

 

まず、第1に優先されるのは、「亡くなった方が指定した人」です。

 

これは、遺言のように書面でなければいけないということはなく、口頭でも構いません。

 

ただ、実際に争いになるときのことを考えると、書面に残しておいた方が良いでしょうね。

 

第2に、指定した人がいない場合には、「慣習による」ことになります。

 

先祖を敬う行為は宗教や地域によって異なるので、亡くなった方の宗教や住んでいた地域でのならわしによって決まるということです。

 

一般的に言われる「長男が家をつぐ」というのは、旧民法で長男が家督相続として財産を含む全てを相続することを前提としているので、その理屈は今の民法では認められません。

 

つまり、亡くなった時点で、その宗教や地域のならわしの内容から祭祀の承継者を指定できるのか、しっかりと確認する必要があるでしょう。

 

それでも、慣習が不明で決まらないことも多いでしょう。

 

特に大きな都市になると、そういう「ならわし」自体が存在しないこともあり得ます。

 

そこで、最後に登場するのが家庭裁判所ということです。

 

祭祀の承継者を巡って争っているケースで、指定も慣習もない場合には、争っている当事者や利害関係人が家庭裁判所に調停を申し立てて話しいます。

 

調停での話し合いでも解決できない場合に、最後にやむを得ず裁判官が祭祀の主宰者を指定する審判を下すことになります。

 

ただ、先祖を敬う行為を誰が行うべきかについて、全く先祖の関わりを持たない裁判官が決めることは適切ではありませんので、その前段階で合意をすることが多いです。

 

なお、祭祀の主宰者になったからといって、たくさん財産をもらえる訳ではありません

 

なかなか理解しにくい感覚なので、遺産分割調停を起こそうと思われている方は、申立前に、

 

祭祀の承継者を誰にしたいのか?

 

それに対する反対はないのか?

 

を検討しておいた方が良いでしょうね。

 

相続の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。

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カテゴリー: 相続のお話

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