「内定」には法律的に重要な意味が!

「圏外旅行」という旅行プランがあるそうですね。

 


スマートフォンを持つと、SNSやLINE、メールなど便利な反面、常に拘束されている息苦しさがあり、そこから解放されるための旅のプランだとか。

 

何となく分かる気もしますが、私は「携帯電話」というものが出来た時から、反対派で、相当の年数、携帯電話自体を持たないという抵抗活動を一人で地道に(笑)やってきました。

 

その抵抗を打ち砕かれてしまった時から、全て諦めたので「もう今更・・・」と思っています。

 

今では、既にiPhone6+を購入して、スマートフォンを仕事で使い倒していますが、休日には音楽を聴く以外には決して使いません。

 

実は、プライベートでは、すごく旧型のガラケーのままという「ささやかな抵抗」をまだ続けているんです(笑)

 

さて、来年4月就職に向けての採用活動は基本的に既に終わっていますよね。

 

次の再来年4月に向けての就活の選考開始時期について、経団連が政府の要請を受けて後ろ倒しにしたというのはご存じの方も多いと思います。

 

今年までは、採用の正式な選考開始時期が大学4年生の4月~だったのですが、2015年に4年生になる大学生については、選考開始時期が8月~と4ヵ月後ろ倒しになったと言うのです(2016年~は6月となる予定)。

 

経団連に加入している企業についての自主規制なので、表向きはこのルールを守るのでしょうが、実質的には、どうやって優秀な学生をライバル会社に取られないように先取りするか戦略を練っているようです。

 

例えば、インターンシップによる学生の長期囲い込みやOB訪問と称して実質は面接活動を行ったり、採用する側も相当、工夫が必要で大変だと思います。

 

私もサラリーマン時代に、前職が採用人事担当だった係長が上司になった時に、どんな基準で採用しているか聞いたことがあります。

 

その上司は、

「一言で言うと、採用担当者に「この人と一緒に仕事をしたい」と思わせることができるかどうかだね。」

ということでした。

 

では、普通の社会人はどんな場合にその人と一緒に仕事をしたいと思うのでしょうか?

 

これは、明らかで

「その人が入ることによって、他の人の仕事が楽になるような場合」

です。

 

つまり、他の人の仕事が楽になるということは、他の人はその余裕を、新しい分野の開拓だったり、営業の量や質を再検討したりする余裕ができることになり、組織全体の力が強くなるからです。

 

ここ十数年は、就活マニュアル的なものが出てきて、皆採用面接で同じような意見を言うようですが、それは全て「自分が採用されるため」の発言なんですね。

 

それでは、企業の採用担当者は興味を示しません。

 

私は企業の採用担当者の方が「自社のHPを見てこないような学生は要らない」と言っているのを良く聞きます。

 

これも、マニュアルに言われているので、HPを見て、創業者が誰で、創業の理念の内容は何か、現在の代表取締役が誰か、組織はどうなっているかなどの知識を入れてくる学生も多いのかと思います。

 

確かに、何も見てこない学生に比べればアドバンテージでしょうが、採用担当者が言いたいのはそんなことではないと思います。

 

私が思うには、おそらくHPを見て、自主的に分析した上で、その会社や公的機関に入って、自分がどんな貢献ができるのかイメージしてきて欲しいという意味だと思います。

 

そのイメージの内容が実務と異なっていても全く構わないと思います。

 

学生だから、企業や公的機関の仕事内容を正確につかめないのが普通でしょう。

 

その年齢にふさわしい常識さえ備えていれば、私だったらその姿勢を買うと思います。

 

では、学生が頑張って、めでたく採用内定通知をもらったとしましょう。

 

では「内定」とは法的にはどのような意味を持つのでしょうか?

 

言葉の雰囲気からすると、労働契約はまだ成立していないようにも見えます。

 

しかし、これは企業の採用担当者の方にも注意していただきたいのですが、「内定」の通知を出した時点で、企業学生との間に労働契約成立するのです。

 

もっとも、その契約は普通の労働契約と少し異なり、「解約権留保付労働契約」と言われています。

 

では、企業側としてはは、その「解約権」を自由に使って、いわゆる「内定取消」をできるのでしょうか?

 

この「解約権」の行使は相当厳しく制限されることを、企業の採用担当者も学生も知っておく必要があるでしょう。

 

単に、内定を多く出しすぎて余剰が出てしまったとか、内定後に営業状況が悪くなったからなどという会社の都合での内定取消は認められません。

 

内定を取消できる事情(内定取消事由)は、

 採用内定時点で、知ることができず、また知ることが期待できない事実が内定後に判明し、

 それを理由に内定取消をすることが客観的に合理的と認められ、会通念上も相当と認められる場合

に限定されるのです。

 

つまり、企業側の都合としては、単に「営業状況が悪くなった」というのではなく、新規採用を全て中止しなければ、企業の存続が危ういというような場合でなければならないのです。

 

JALの破綻の時に、内定取消が大きな問題となりましたが、あれくらい危険な状況でないと、企業側の都合での内定取消はできないんですね。

 

逆に、学生側の事情で内定取消が認められるケースもあります。

 

内定後に、刑法にあたるような犯罪行為を犯した場合や学歴や成績など採用の重要な判断要素となる事実について、嘘をついていたことが判明した場合などです。

 

学生としては、内定をもらったら、少なくとも飲酒運転(就職後もですが)や学生のノリで悪行がインターネットや新聞で報道されたりしないように注意する必要があるでしょう。

 

せっかく内定が出たのですから、企業側にとっても、学生側にとっても、幸せな本採用になるのが望ましいですよね。

 

労働問題のブログ過去記事についてはこちらをご参照ください。

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カテゴリー: 労働事件のお話

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