弁護士10人から訴えられた!

急に寒くなってきましたね。

 

北海道などでは、雪も相当降っているようです。

 

静岡は、寒いとは言え、まだ薄いコートや上着で対応できる程度なので、やはり暖かいのだと思います。

 

雪も、きっと、今年も一度も積もらないんでしょうね。

 

私の事務所は、窓が全て南向きで、日光を遮る建物も無いので、冬も日中は暖房が要らないほど暖かいです。

 

夏に比べると、事務所内は過ごしやすい感じです。

 

さて、事務所に来られる方が、訴状を持って

弁護士10人から訴えられた

と恐怖と怒りのご相談をされることが良くあります。

 

訴状というのは、訴えを起こす時に、原告が裁判所に提出する書面のことです。

 

そこには、請求する金額や内容、その根拠などが記載されています。

 

訴えを起こす原告は、その訴状を最低でも2通作成し、1部を裁判所分の「正本」として提出し、残りは被告に送ってもらう分(「副本」といいます。)として提出します。

 

裁判所は、その「副本」を裁判所の封筒で、被告に郵送するんですね。

 

訴状には、原告の名前とともに、依頼を受けた弁護士の名前が書かれています。

 

事務所によって、やり方は違うと思いますが、弁護士が複数いる事務所では、依頼者の方から複数弁護士事件を共同してお引き受けする形をとっているところもあります。

 

特に東京など大都市の弁護士事務所では、弁護士の数が多いところがありますので、事務所に10人以上の弁護士がいるところも珍しくありません。

 

そのような事務所が、原告となる依頼者の方から事件を共同受任すれば、訴状にはその事務所の弁護士の名前が全て記載されるのです。

 

そうすると、訴状には原告の名前の上に、「原告訴訟代理人」として、ずらっと10人以上の弁護士の名前とハンコが押されるんですね。

 

それを見て、訴状を受け取った被告の方は、ビックリというわけです。

 

ただ、実際に訴訟に全員が関わることは無く、担当の弁護士1人か、指導役弁護士+新人弁護士の2人が依頼者の方と打ち合わせをしたり裁判所に出す書面を作成することがほとんどです。

 

ですから、訴訟を被告側で引き受ける弁護士にとっては、全く、訴状に記載されいている弁護士の数は気にしません。

 

これに対して、訴状を受け取った被告の方は、訴状が届いたこととのダブルショックで驚く方が多いようです。

 

しかし、本当に注意しなければならないのは、被告ではなく、依頼される原告の方です。

 

つまり、原告の方は10人の弁護士に委任しているという形になっているので、受任後、誰が自分との打ち合わせを継続的にしてくれるのか、誰が自分のために書面を書いてくれるのか、説明してもらわないと分からないということです。

 

私が

複数法律事務所を回って、信頼できる弁護士、自分と相性の良い弁護士を探した方が良い。」

と何度も書いてきています。

 

ただ、それは、相談を受けた弁護士今後も引き続き担当してくれる弁護士同一の場合にしか通用しません。

 

相談の時には、「信頼できる」と思って依頼しても、委任状を複数の弁護士に対して書いてしまうと、いざ訴訟が始まったら、担当が全く違うというケースもあり得るんですね。

 

ですから、複数の弁護士がいる事務所に相談するときに、「この弁護士は良いな」と思ったら、必ず

今後の打ち合わせや相談も先生だけにお願いできるんですよね

という一言で確認しておくことが絶対に必要です。

 

そうしないと、例えば、女性のデリケートな問題を良く分かってくれそうな女性弁護士と相談して契約したのに、「訴訟が始まったら若い男性の弁護士と打ち合わせをすることになっていた。」ということになりかねません。

 

医者に例えれば、事前の診察を手術の経験が豊富な医者に依頼していたのに、いざ手術になると手術経験の浅い医者が自分の身体を切るというようなものです。

 

医者にかかる患者の容態と同じように、弁護士に依頼される方には、一人一人分かってもらいたい個別の細かい事情があります。

 

それは、依頼される方が一番良く分かっていると思います。

 

それを、実際に打ち合わせをしていない弁護士が理解して、担当の弁護士に指導することなど不可能です。

 

ですから、

訴訟結果は1人の事務所であろうと、複数の事務所であろうと、担当弁護士の力量だけで決まる

ということを十分にご理解された上で、原告側で依頼される方は、担当弁護士の確認を忘れないでください。

 

また、訴状や内容証明などを受け取った被告側の方は、弁護士の数に恐怖を感じる必要は全く無いということも覚えておいていただければと思います。

 

「弁護士のお話」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。 

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カテゴリー: 弁護士の視点from静岡

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