若い弁護士は避けた方が良い?

俳優の堺雅人氏が最近のインタビューに応えて、こんな話をしていました。

 

「注文がきたら、それをきっちり仕上げる“町の工務店”のような感覚でやっています。」

 

「反対に『僕はこういう俳優になりたいから、こういう役はやりたくありません』というのもありません。」

 

「まさに私の仕事感覚と同じだ」と、思わず膝を打ってしまいました。

 

まあ、私は堺雅人氏のような天才ではないので、その点は違いますが・・・

 

俳優と同じように弁護士だって、何の事件が来るかなんて予測できません

 

例えば、国選弁護人の担当日に、余りに被害者が可愛そうで、全然反省の色が見えない被疑者・被告人の担当になることだってあります。

 

まれに弁護士によっては、そういう事件の配点を拒否する人もいるようです(基本、選任に応ずるかは自由なので、全く違法ではありません。)。

 

でも、私は、担当日には、事件の種類を選ばずに選任に応ずることにしています。

 

別に私は世間的に見て「正義の弁護士」と言われたいこともありませんし、大変な事件を時折やることは、自分の成長につながります。

 

しっかりした「町の工務店」のように、弁護士としての仕事をコツコツやるだけです。

 

これについて、話すと長くなりすぎてしまいますので、詳しい考えはまたの機会ということで。

 

さて、弁護士選びをするときに、「若い弁護士は避けた方が良い」という迷言があります。

 

仮に、ホームページに、細かい分析も無く、このようなことを書いている弁護士がいたら、むしろ、その弁護士を避けた方が良いです。

 

多分、そういう弁護士は、弁護士経験を相当年数積んだ中堅やベテランが多いのではないかと思います。

 

最近、司法改革で、司法試験が昔ほど難しくなくなったので、弁護士が大量に増えています。

 

もちろん、増えているのは若い弁護士です。

 

そのような若手弁護士に仕事を取られないかと恐れていることから、そのような宣伝方法をとるんですね。

 

確かに、弁護士に経験は必要です。

 

事件の読みをするには、一通りの最後までの手続を経験していないと出来ないからです。

 

ですから、さすがに「弁護士1年目ですが、何でも出来ます」と言われると、首をひねりたくはなります(過払金の請求のように素人でも簡単にできる事件であれば分かりますが)。

 

ただ、他の仕事もそうだと思いますが、3年くらい死にものぐるいで仕事に取り組むと仕事の全体像が見えてくるというのは、社会人の皆様なら経験があるのではないでしょうか?

 

では、3年死にものぐるいで仕事に取り組んできた人柄の良い新人と、上司へのご機嫌伺いで課長になった経験20年のベテランと、皆様が仕事を頼む場合どちらを選ぶでしょう?

 

それと似たことが弁護士にも言えるんですね。

 

もちろん、例えば20年間以上も誠実に仕事に取り組んできた弁護士も数多くいますので、そのようなベテラン弁護士には、新人弁護士は全く敵わないでしょうが・・・

 

もっとも、それだけの仕事をしてきた弁護士は、放っておいても依頼者の行列ができますから、新人弁護士をおとしめるような宣伝をする必要は全く無いんですね。

 

実は私も、医師選びで同じような失敗をしたことがあります。

 

昔、私の舌に腫瘍ができて、手術をせざるを得なくなった時に、大きな間違いをしました。

 

色々なHPを観て、年齢的に中堅で、東大・京大クラスの大学を卒業しており、様々な立派な肩書きを持ち、その病院でも部長クラスの医師を選びました。

 

その医師の見立てでは、「白板症」という病気で、放っておくと10%の確率でガンになるということでした。

 

私も舌を切るなんて嫌でしたが、それを言われては切らざるを得ません。

 

局部麻酔で手術をしました。

 

ところが、どうしたことでしょう!

 

私の手術中に、若い看護師に

 

「この器具、新しいよね。どうやって使うんだっけ?」

 

全て看護師にセットしてもらっているではありませんか。

 

極めつけは、術後の説明。

 

「ガンではなかった。もう悪い物はとったから大丈夫」

 

私も不信感を持っていましたから、

「白板症だったんですよね?」

と確認しました。

 

そうすると、言いにくそうに、

「いや、ただのおできみたいなもので・・・」

と言うではありませんか。

 

私も更に、素人でも理解をしようと、

「それでは、例えば、私の唇の下に子供の頃からイボがありますが、そのような類いのものですか?」

と聞いたところ「まあ、おできのようなものです。」という回答。

 

それじゃ、そもそも切る必要がなかったのでは?

 

術後に舌が痛くて、「しゃべれない、食べられない、眠れない」という私の苦痛は、いらない苦痛だったのでは?

 

と問い詰めたくなりましたが、切った後のまつりです。

 

言っても意味はないと思ってあきらめました。

 

「医師も弁護士と同じで、高学歴で立派な肩書きを持っている中堅でも、いたずらに馬齢を重ねた無能な人がいるんだな」

 

と勉強になりました。

 

こんなこと書いたら、皆さんも、どの医師や弁護士を選んだら良いか分からなくなりますよね(笑)

 

すみません。

 

信用できる人の口コミとご自分との相性が一番ということでしょうか。

 

くれぐれも、ホームページに書いてある「根拠の無い決めつけ」や「立派な肩書」や「学歴」に騙されないようにしてください。

 

「弁護士のお話」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。

弁護士ブログ村→にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ うれしい顔

カテゴリー: 弁護士の視点from静岡

コメントは受け付けていません。